結論:パターシャフト選びで最も重要なのは「剛性」と「打感」のバランスです
パターの性能を最大限に引き出し、スコアを安定させるために一番大切なこと。
それは、自分の「ミスのクセ」に合わせて、シャフトの素材や硬さを選ぶことです。ゴルフではパターが全ショットの約4割を占めますが、多くの人がヘッドの形ばかりを気にして、それを支えるシャフトの大切さを忘れてしまっています。
短い距離のパットでボールが左右にズレてしまうことに悩んでいるなら、ねじれに強い「高剛性カーボンシャフト」がおすすめです。
一方で、長い距離のパットで距離感が合わず、カップを大きくオーバーしたり届かなかったりする「縦の距離のミス」が多い場合は、適度なしなりを感じられる「スチール」や「複合素材(ハイブリッド)」がぴったりの答えになります。
シャフトはただの棒ではなく、ヘッドがどう動くかをミリ単位でコントロールする「脳」のような役割を持っています。
自分の打ち方が「真っすぐ引いて真っすぐ出す」タイプなのか、あるいは「扇を描くように振る」タイプなのかを知り、それに合った硬さやねじれの少なさを選ぶことが、3パットをなくすための最短コースになります。
なぜパターシャフトを変えるだけで3パットが激減するのでしょうか
多くのゴルファーが、パターのシャフトを交換しただけで、まるで魔法のように球筋が安定することに驚きます。
それには、科学的な理由と、手に伝わる感覚の変化という2つの大きな理由があります。
スチールシャフトの限界と最新カーボンの進化
長い間、パターのシャフトといえば「スチール(鉄)」が当たり前でした。
しかし、昔ながらのスチールシャフトには、どうしても避けられない弱点があります。
鉄は一定の柔らかさがあるため、打つ瞬間に目に見えないレベルで「しなり」や「ねじれ」が起きてしまうのです。
特に最近のパターヘッドは、ミスに強くするために大きく、重くなっています。この重いヘッドを従来のスチールシャフトに付けると、打つ瞬間にヘッドの重さにシャフトが負けてしまい、フェース面が上を向いたり左右に開いたりする原因になります。
一方で、最新のカーボンシャフト(スタビリティやLA GOLFなど)は、とても強くて軽い素材を何層も重ねることで、このねじれを徹底的に抑えることに成功しました。
たとえ芯を少し外して打ってしまっても、シャフトがしっかり支えてくれるので、ボールは目標に向かって真っすぐ転がっていきます。
ミスヒットに強い!トルク(ねじれ)がもたらす恩恵
「トルク」というのは、シャフトの「ねじれやすさ」を表す数字です。この数字が小さいほど、芯を外して打ったときにヘッドがグラつかなくなります。
例えば、カップのすぐそばで止まってしまうような弱い球でも、ねじれにくいシャフトを使っていれば、打つときのエネルギーがロスなくボールに伝わります。そのため、最後にもうひと転がりしてカップに吸い込まれるような球が打てるようになるのです。これは根性論ではなく、物理の力による効果です。
以下に、それぞれの素材の特徴をわかりやすくまとめました。
| 項目 | スチール(標準) | 最新カーボン(LA GOLF等) | 複合素材(スタビリティ等) |
| 主な材料 | 鉄(スチール) | 強いカーボン繊維 | 鉄 + カーボン |
| ねじれにくさ | 普通 | とても強い | 強い |
| 一番のメリット | 自然な振り心地で安い | とにかく真っすぐ飛ぶ | 使いやすさと安定感の両立 |
| 手に伝わる音 | カツッという高い音 | 雑音がなく澄んだ音 | スッキリしたクリアな音 |
| おすすめの人 | 昔ながらの感触が好き | 短いパットを外したくない | 今のパターをパワーアップしたい |
この表からわかる通り、最新のカーボンシャフトは標準のスチールよりもねじれがとても少なく、ミスをしたときの「お助け機能」がとても高いのが特徴です。
この違いが、大事な場面での1打の差につながります。
後悔しないパターシャフトの選び方:3つのチェックポイント
高いお金を払ってシャフトを交換しても、自分の打ち方やパターの形に合っていなければ意味がありません。失敗しないために、次の3つのポイントをチェックしましょう。
1. ヘッドの形との相性(ピン型 vs マレット型)
パターヘッドの重さや重心の場所によって、合うシャフトは変わります。
自分で操作する感覚を大事にする「ピン型」には、手に感触が伝わりやすいスチールシャフトや、少し遊びがあるシャフトが合います。これによって、微妙な距離感やフェースの向きを自分の手でコントロールしやすくなります。
一方で、大きくて重い「大型マレット型」には、その重さに負けないくらい硬くて強いシャフトを組み合わせるのが基本です。
もし重いヘッドに柔らかいシャフトを付けてしまうと、振っている最中にヘッドがグラグラしてしまい、大型マレットの良さである「真っすぐ転がる力」が台無しになってしまうからです。
2. 自分の打ち方のタイプ(直線 vs アーチ型)
人によってパターの振り方は違います。
ボールを真っすぐ引いて真っすぐ出す「直線型」の人は、シャフトが余計な動きをしない、とても硬いモデルを選んでください。
硬いシャフトが打ち方のブレをカバーしてくれるので、機械のように正確に打てるようになります。
逆に、円を描くように振る「アーク型」の人は、少しだけヘッドの動きを感じられる、しなりが穏やかなモデルが向いています。
あまりに硬すぎると、フェースを閉じるタイミングが分からなくなり、ボールを右に外してしまうことがあるからです。
自分の打ち方をスマホで動画に撮って、どんな軌道を描いているか見てみるのが一番の近道です。
3. 打った時の感触(打感)と「振動の吸収」
打ったときに手に伝わる感触は、距離感を合わせるためにとても大切です。
カーボンシャフトはスチールに比べて、打ったときのジーンという嫌な震えを吸収する力がとても優れています。これによって、芯に当たったときの心地よい感触だけがクリアに手に伝わります。
その結果、自分が芯で打てたかどうかがすぐ分かり、距離感を合わせやすくなります。
ただし、ずっとスチールシャフトの「カチッ」という高い音と手に伝わる硬い感触で距離を覚えてきた人は、カーボンに変えたときに「打っている感じがしない」と戸惑うかもしれません。
慣れるまで少し練習が必要なので、買う前に必ず一度打ってみて、自分に合う感触かどうか確かめてください。
【最新】パターシャフトおすすめランキング9選
今、特に人気が高くてプロも使っているシャフトを、良い点も悪い点も包み隠さず紹介します。
1. LA GOLF(エルエーゴルフ):圧倒的な直進性とプロ使用率

PGAツアーの有名選手、デシャンボーが使って世界中で話題になったシャフトです。最大の特徴は、普通のシャフトよりずっと太くて、驚くほど「ガチガチに硬い」ことです。
このシャフトは、どこに当たってもヘッドを絶対にブレさせないという強い意志で作られています。緊張して手が震えてしまうような場面でも、シャフトがヘッドを真っすぐ支えてくれるような安心感があります。「1.5メートルくらいの短いパットを絶対に外したくない」という人には、これ以上の武器はありません。
ただ、悪い点もあります。まず、シャフトが太すぎて、付けられるグリップが限られてしまいます。また、値段がとても高いです。打ったときの感触も「ボコッ」という鈍い音になるので、手の感触を大事にしたい人にはあまり向かないかもしれません。
2. BGT Stability(スタビリティ):リシャフトの定番モデル

カーボンパターシャフトのブームを作ったのが、この「スタビリティ」です。先端に鉄、途中から手元まではカーボンという、2つの素材を組み合わせた作りになっています。
良いところは、どんな形のパターにも付けられることです。普通のリシャフトが難しいパターでも、元々のシャフトを途中で切ってつなげる方法が使えるため、お気に入りのパターを簡単にパワーアップできます。
気になるところは、見た目がかなり太いことです。構えたときに太さが気になって集中できないという人もいます。その場合は、少し細く作られた「Tour(ツアー)モデル」を選ぶと良いでしょう。
3. フジクラ MC Putter:硬さが選べるカスタムの先駆け

「MCパター」は、カーボンの中にゴムのような素材を混ぜて作られています。これによって、カーボン特有の硬さを和らげ、ボールがフェースに吸い付くような柔らかい感触を実現しています。
「SMOOTH」、「FIRM」、「X-FIRM」の3種類があります。
- SMOOTH: とても柔らかく、ゆったりと振ることができます。ロングパットでいつも打ち急いでしまう人におすすめです 。
- FIRM: スチール以上にしっかりしていて、方向性を重視する人向けです。
- X-FIRM: 筆者は過去こちらを使用していました。方向性もさることながら、手に残る打感や振動もばっちりです。
注意点として、シャフトの穴の形が特殊なパターには付けられません。また、無理に付けようとしてヘッドを削ってしまうと、元のシャフトに戻せなくなるので注意が必要です。
4. 日本シャフト N.S.PRO PUTTER SERIES:スチール派の最高峰

「やっぱり鉄のシャフトがいい」という人に一番おすすめなのが、モーダス3パターです。特別な熱処理をすることで、スチールでありながらとても柔らかく、クリアな打感を生み出しています。
劇的な変化はありませんが、標準のシャフトよりもボールの転がりがスムーズになり、カップに届くまでの安定感が増します。値段もカーボンより安く、見た目もピカピカしすぎない落ち着いたシルバーなので、集中して構えられます。コスパを気にするならこれです。
5. UST mamiya ALL-IN:素材の特性を活かした2つの選択肢

マミヤの「ALL IN(オールイン)」シリーズには、全部カーボンのモデルと、先端が鉄のモデルの2種類があります 。
- 全部カーボンモデル: 2メートルくらいの短いパットがよく入るようになるとデータで証明されています。
- 先端が鉄のモデル: 5メートル以上の長いパットの距離感が合いやすく、芯を外してもミスの幅が小さくなります。
見た目が真っ黒でシンプルなのはカッコいいですが、逆に目立たないので「高いシャフトに変えた!」という自慢をしたい人には少し物足りないかもしれません。
6. 三菱ケミカル Diamana™ Putter Series:スムーズな挙動と再現性

「ディアマナ」ブランドのシャフトは、とにかく「クセがない」ことが売りです。自分の思った通りに素直に動いてくれるので、違和感なく使うことができます。
最近の大きなヘッドに合うように設計されているので、最新のパターを使っている人が「もう少し安定させたいな」と思ったときにぴったりです。ただ、シャフトが勝手に助けてくれる感覚は少ないので、自分の技術を活かしたい上級者向けと言えます。
7. KBS GPS:プロも認める剛性とビジュアルの融合

KBSの「GPS」シャフトは、スチールと同じくらいの重さがありながら、カーボンならではの強さを持っています。このシャフトを使うと、打った後にボールが止まらず、最後までラインに乗って伸びていくような転がりの良さを実感できます。
色もいろいろ選べるので、自分のパターをおしゃれにしたい人にも人気です。ただし、手で無理に操作しようとすると、シャフトの硬さが裏目に出てしまい、かえって難しく感じることがあります。
8. 島田ゴルフ:スチール専門メーカーのこだわり

島田ゴルフは、日本でも有名な鉄のシャフトのプロです。ここのシャフトはあえて少し重く作られていて、手の無駄な動きを止めてくれます。
「高いカーボンは手が出ないけど、今のパターをもっと安定させたい」という人にとって、最高の味方です。派手な宣伝はしていませんが、プロも認める品質の高さがあります。
9. KBS CT Tour Putter:スチールシャフトの最高傑作

鉄のシャフトとしての完成度を極限まで高めたのが、この「CTツアー」です。デコボコのないツルッとした見た目で、どこを触っても同じ強さで安定しています。
一番の特徴は、手に伝わる感覚がとてもハッキリしていることです。芯に当たったかどうかがすぐに分かるので、自分のミスを直しやすいです。カーボン特有の「振動を消す感じ」が嫌いな、こだわりの強いゴルファーに向いています。
以下に9モデルの評価をまとめました。
| 順位 | モデル名 | 素材 | メリット | デメリット |
| 1 | LA GOLF | カーボン | とにかく曲がらない | 非常に高い、感触が鈍い |
| 2 | Stability | 複合 | どんなパターにも付く | 見た目が太くて気になる |
| 3 | フジクラ MC | カーボン | 柔らかさが選べる | 付けられないパターがある |
| 4 | 日本シャフト | スチール | 打ちやすく、安い | 変化が地味に感じるかも |
| 5 | UST mamiya | 複合/炭素 | データで良さが証明済み | デザインがシンプルすぎる |
| 6 | 三菱 Diamana | カーボン | クセがなく素直 | 助けてくれる感は少なめ |
| 7 | KBS GPS | カーボン | 球がよく転がる | 自分で操作するのは難しい |
| 8 | 島田ゴルフ | スチール | 重くて安定する、安い | ハイテク感はあまりない |
| 9 | KBS CT Tour | スチール | 手に感覚がよく伝わる | ミスしたときの手の震えも強い |
プロも実践!リシャフト時の注意点とセッティングのコツ
シャフトを交換するとき、ただ挿し替えるだけでは失敗します。パターは一番繊細な道具なので、ちょっとした調整がスコアを左右します。
パターのシャフト交換については、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせて読んでみてください。

重さの変化とカウンターバランスの工夫
最新のシャフトに変えると、重さが変わるため、パターを振る感覚(バランス)が大きく変わります。
例えば、重いカーボンシャフトに変えると、ヘッドが軽く感じすぎてしまい、手が勝手に動いてしまうことがあります。これを防ぐためにプロがやるのが、グリップ側(手元)に重りを入れる「カウンターバランス」です。
手元を重くすることで、支点が安定し、振り子のようなリズムで打ちやすくなります。5円玉をグリップに貼るだけでも効果を試せますが、本格的にやるなら専用のウェイトを使うのが一番です。
専門のお店(工房)に頼むべき理由
パターのシャフト交換を自分でやるのは、おすすめしません。パターは角度(ロフトやライ角)が1度ズレるだけで、数メートル先ではカップを大きく外れてしまうからです。
- 熱で壊れる: カーボンを無理に熱すると、中の素材がボロボロになり、本来の性能が出なくなります。
- 戻せなくなる: 自分のパターに合うように削ってしまうと、元のシャフトがスカスカになって戻せなくなることがあります。
必ずゴルフショップや、技術のある「クラフトマン」がいるお店で、自分の打ち方を見てもらいながら交換をお願いしましょう。
パターシャフトに関するよくある質問(Q&A)
- 初心者でもシャフトの違いは分かりますか?
-
はい、初心者こそシャフトの効果を一番実感できます。 初心者の人は、打点がバラバラで芯を外すことが多いです。最新のカーボンシャフトは、芯を外してもヘッドがねじれないように助けてくれます。「下手だからまだ早い」ではなく、下手だからこそ道具に助けてもらうのが、上達の近道です 。
- 自分でリシャフトすることは可能ですか?
-
おすすめしません。 専用の道具が必要ですし、角度が少しでもズレると、パターとしての役割を果たせなくなります。失敗してパターを台無しにする前に、プロに任せるのが一番安上がりで安心な方法です。
まとめ:最適な1本でパッティングに自信を
パターシャフト選びは、自分の「苦手を道具で解決する」ための作業です。
短いパットで左右に外すのが怖いなら「硬いカーボン」、長いパットの距離感が合わないなら「スチール」や「柔らかい複合素材」を選んでください。素材ごとの特徴を知ることで、自分にぴったりの1本が必ず見つかります。
パターは感性だと言われますが、その感性を支えているのは、ねじれないシャフトという最新の技術です。
自分に合ったシャフトを手に入れれば、次のラウンドでカップインの音がこれまで以上に何度も聞こえてくるはずです。ぜひ、信頼できる1本を見つけて、パッティングに自信を持ってください。
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