【結論】中尺パターがショートパットの悩みを解決する最大の理由
ゴルフというスポーツにおいて、もっともプレッシャーがかかる瞬間は、カップまで残り1メートルのパットを沈めなければならない時ですよね。
このわずか1メートルの距離がスコアを大きく左右し、時には「パッティング・イップス」という、手が思うように動かなくなる悩みの原因にもなります。
しかし、最近ツアープロの間で再び注目され、多くのアマチュアゴルファーの救いとなっているのが「中尺(ちゅうじゃく)パター」です。
中尺パターがこれほどまでにショートパットの悩みを解決してくれる理由は、ただシャフトが長いからというだけではありません。
最大の理由は、中尺パターが物理的に「手先の余計な動き」を抑えてくれるからです。これにより、ストローク(打つ動作)の主導権を、手首ではなく「大きな筋肉」へと自然にバトンタッチさせてくれる仕組みになっているのです。
人間の手先、特に指先の細かい筋肉は、緊張すると自分の意思とは関係なく震えたり、急に動いたりしてしまいます。
これがパターでのミスにつながるのですが、中尺パターはその重さと長さによって、こうした小さな震えを打ち消してくれるのですね。
ストロークの「再現性」が劇的に高まるカウンターバランスの仕組み
中尺パターのすごさを支えているのが「カウンターバランス」という技術です。これは、パターのヘッド側だけでなく、持つ部分であるグリップ側にもあえて重さを加える設計のことです。
普通のパターはヘッドの重さを感じて振りますが、中尺パターはグリップを重くしたり、シャフトの中に重りを入れたりすることで、手元側もずっしりと重くなっています。
この手元が重い仕組みには、シーソーのバランスを安定させるような効果があります。手元が重くなることで、振り子の軸がぶれにくくなるのです。手元が重いと、手首だけでひょいと動かすには大きな力が必要になります。
その結果、自然と肩や背中といった大きな筋肉を使わざるを得なくなります。大きな筋肉は緊張の影響を受けにくいため、どんなに大事なパットでも、常に同じリズムと軌道で打つ「再現性」が劇的にアップするのです。
アンカリング規制後も「中尺」がツアーを席巻している背景
以前の中尺パターは、グリップの端をお腹や胸にくっつけて固定する「アンカリング」という打ち方が主流でした。
しかし、2016年のルール改正で、クラブを体に固定して打つことは禁止されてしまいました。当時は「これで中尺パターは消えてしまうだろう」と言われていましたが、実際にはその正反対のことが起きました。リッキー・ファウラー選手などのトッププロが、体に固定しない新しい打ち方で中尺パターを使いこなし、大きな大会で次々と優勝したのです。
体に固定しなくても中尺が選ばれ続ける理由は、長いシャフトがもたらす「高い慣性モーメント(かんせいもーめんと)」にあります。中尺パターは全体の重量が重いため、芯を少し外して打ってしまってもヘッドがぐらつきにくく、ボールがまっすぐ転がる力がとても強いのです。
つまり、道具がミスの手助けをしてくれるというわけです。この「勝手にまっすぐ転がってくれる力」こそが、今でもプロが中尺パターを手放せない一番の理由となっています。
失敗しない中尺パターの選び方|3つのチェックポイント
中尺パターは、ただ「長いもの」を選べばいいというわけではありません。
自分の打ち方や体格に合ったものを選ばないと、せっかくの性能が発揮できなくなってしまいます。
失敗しないための選び方として、長さの基準、ヘッドの形、そして自分の身長に合わせたサイズの3つを解説します。
長さの基準は「38インチ」か「40インチ以上」か
中尺パターの長さを選ぶときに、まず考えてほしいのは「どんな持ち方をするか」です。これによって、選ぶべき長さがはっきりと分かれます。
まず、リッキー・ファウラー選手のように、長いグリップをあえて短く持って、手元側の余った部分を重りとして利用する「カウンターバランス式」の場合、おすすめの長さは「38インチ」前後です。
この長さなら、普通のパターと同じような姿勢で構えることができ、かつグリップの余った部分が安定感を生み出してくれます。
一方で、グリップを左腕にピタッと押し当てて固定する「アームロック式」に挑戦したい場合は、「40インチ以上」の長さが必要になります。アームロックはグリップが肘のあたりまで届いていないといけないので、38インチでは短すぎて腕に固定できないからですね。
自分が「手元の重さを利用したい」のか、「腕とパターを一体化させたい」のかによって、長さを選びましょう。
ヘッド形状は「角型マレット」がベストバイ
中尺パターの性能をもっとも引き出してくれるヘッドの形は、間違いなく「角型(つのがた)マレット」です。中尺パターは、細かく操作するよりも、一度動かしたら止まらないような「直進性」を大事にする道具です。
角型マレットは、重心が深く、ミスに強いため、この中尺の長所と相性がぴったりなのです。
| ヘッド形状 | 特徴 | 中尺との相性 |
| 角型マレット | ミスにとても強く、まっすぐ打ちやすい | 最高です。パターに任せて打てます |
| 丸型マレット | 距離感がつかみやすく、安定感もある | 良いです。操作性も残したい人向け |
| ブレード型 | 自分の感覚で操作しやすい | 低いです。中尺だとバランスが崩れやすい |
特に、オデッセイの「ジェイルバード」のような形は、カップに対してまっすぐ構えやすい見た目もあって、中尺の重さと組み合わせると最強の安定感を生み出してくれます。迷ったら、まずは角型のモデルを試してみるのが正解です。
【独自情報】身長と前傾角度から算出する「マイ・ジャストサイズ」診断表
自分に合う長さは、身長だけでなく「どのくらい前かがみになって構えるか」でも変わってきます。
一般的には背が高い人ほど長いものが合いますが、中尺の場合は少し特殊な基準になります。以下の表を、長さ選びの参考にしてみてくださいね。
| 身長 (cm) | カウンターバランス式 (38型) | アームロック式 (40型以上) | 備考 |
| 160 – 165 | 35 – 36インチ | 37 – 38インチ | 小柄な方は、長すぎるとお腹に当たります |
| 170 – 175 | 37 – 38インチ | 40 – 41インチ | 日本人男性の標準的なサイズです |
| 180 – 185 | 38 – 39インチ | 41 – 42インチ | 背が高い方は長めが腰に優しくなります |
身長が170cmくらいの方であれば、38インチモデルを使うのがもっともバランスよく感じられるはずです。これより短いと重りの効果が弱くなり、長すぎると構えが不自然になって距離感が狂いやすくなってしまいます。
アームロックの場合は、左腕に当てたときに、グリップの端が肘の少し下に来るくらいの長さが理想的ですよ。
【スタイル別】中尺パターおすすめモデル厳選8選
現在手に入る中尺パターの中から、性能やプロの使用実績、お買い得感などのポイントで選んだ8モデルをご紹介します。
【最新】ツアー席巻中の現行モデル(オデッセイ Ai-ONE、テーラーメイド等)
最新のAI技術などを駆使して作られたモデルは、ミスをカバーする能力がさらに高まっています。
1. オデッセイ Ai-ONE クルーザー ジェイルバード

今、もっとも話題のモデルです。リッキー・ファウラー選手が使って復活した形に、AIが設計した「ミスしても転がりが変わらないフェース」を組み合わせています。
38インチの長さと専用のロンググリップがついており、中尺の魅力をすべて詰め込んだような一本です。
2. オデッセイ Ai-ONE クルーザー #7

プロにも愛用者が多い「ツノ型」の定番モデルです。とにかく構えやすく、ショートパットでフェースが横を向いてしまうミスを防いでくれます。
以下でも詳細な内容を解説しております。

3. テーラーメイド Spider Tour S Counter Balance

「スパイダー」といえば、まっすぐ転がることで有名なシリーズです。
これを中尺仕様にしたモデルは、一度振り出せばあとはパターが勝手にボールをカップへ運んでくれるような感覚を味わえます。
【コスパ最強】中古市場で狙うべき「中尺ブーム時代」の名器リスト
中古ショップには、今のプロがわざわざ探してまで使っているような名作が安く眠っていることがあります。
4. オデッセイ VERSA ジェイルバード(2014年モデル)

「元祖ジェイルバード」として、今では中古市場で驚くほど人気があるモデルです。
白と黒のしま模様が、まっすぐ構えるのを助けてくれます。
ただし、きれいな状態のものは非常に珍しくなっています。
5. テーラーメイド スパイダー ダディロングレッグス パター

昔の中尺ブームを支えた名作です。ヘッドがとても大きくて重いので、手首の動きを完全に封じ込めてくれます。
中古なら1万円前後で見つかることもあるので、中尺を初めて試すのにもぴったりです。
6. PING CADENCE TR CB

フェースの溝が工夫されていて、打ち損じてもボールがしっかり転がってくれます。
カウンターバランス用のシャフトが最初からついているので、とても扱いやすいですよ。
【特殊】アームロック専用設計モデルの特徴とメリット
アームロックで打つには、普通のパターとは違う「ロフト角(フェースの傾き)」が必要になります。そのため、必ず「専用モデル」を選んでくださいね。
7.ベティナルディ BB28SB アームロック

アームロックパターの先駆者が作った、とても美しいパターです。
左腕に押し当てて構えるスタイルに合わせて、フェースが少し上を向くように設計されています。
8. コブラ キング Agera アームロック

3Dプリンターという最新技術で作られた、とてもハイテクなパターです。
ミスに非常に強く、機械のように正確に打ちたい方にはこれ以上ない武器になります。
アンカリングに抵触しない!中尺パターの正しい打ち方・握り方
中尺パターを手に入れても、打ち方が間違っていると効果は半分になってしまいます。ルールを守りながら、安定してカップに入れるためのポイントを覚えましょう。
リッキー・ファウラー流「グリップを余らせる」構え方のコツ
最近主流の「ファウラースタイル」は、長いグリップをあえて少し下の方で握る打ち方です。
この打ち方のコツは、普通のパターよりも「少し背筋を伸ばして、上体を起こして構える」ことです。
こうすると目線が高くなり、カップまでの距離感がつかみやすくなるというメリットがあります。
グリップの端から10センチくらい下を握ることで、余った部分が重りになり、肩を中心とした「大きな振り子」のような動きが自然にできるようになります。
左腕の一体化で安定させるアームロック式のセットアップ
アームロック式は、自分の腕をパターの一部にしてしまうような打ち方です。
基本は、グリップの上の方を左腕の内側にピタッとくっつけて、そのまま固定して構えます。
この打ち方の良いところは、左腕とパターが一本の棒のようになるので、手首が余計な動きをすることを完全に防げる点です。
注意点としては、この構えをすると手がヘッドよりも前に出る(ハンドファースト)ため、ボールをいつもより少し左側に置くようにすると、きれいに転がるようになります。
【独自情報】振り子を安定させる「腹圧」と「目線」の連動
技術的なこと以上に、緊張した場面で助けになるのが「呼吸」です。
パットで手が震えてしまうのは、お腹に力が入っていないせいで、代わりに指先に力が入ってしまうからなのですね。
打つ直前に、鼻から息を吸ってお腹にグッと力を入れる「腹圧(ふくあつ)」を高める練習をしてみましょう。
これに加えて、目線を無理にボールに固定しすぎず、ライン全体をぼんやり見るような高い目線を心がけると、不思議なほど緊張が和らぎ、スムーズにパターを振れるようになりますよ。
既存のパターを「中尺化」する改造術とコスト
もし今使っているお気に入りのパターがあるなら、それを中尺パターに改造することもできます。ゴルフショップなどの工房にお願いすれば、自分だけの中尺パターが作れます。
重いグリップへの交換だけで劇的に変わる「カウンターバランス化」
もっとも手軽で効果的なのは、グリップを中尺用の「ロンググリップ」に交換することです。
| 項目 | 費用の目安 | 内容 |
| グリップ代 | 3,500円 – 6,000円 | 17インチなどの長いグリップ |
| 交換工賃 | 700円 – 1,500円 | ショップにお願いする費用 |
| 調整用ウェイト | 500円 – 1,000円 | 手元をさらに重くする重りなど |
普通のグリップから中尺用の重いグリップに変えるだけで、手元側の安定感がぐんと増します。これだけでも、ショートパットの悩みはかなり解決されるはずです。
シャフト延長(インチアップ)のメリットとデメリット
長さを物理的に伸ばしたい場合は、シャフトの端に継ぎ足し用のパーツをつける作業を行います。
メリットは、自分の身長や姿勢に合わせて「完璧な長さ」に調整できることです。
ただし、シャフトを伸ばすとヘッドがとても重く感じるようになる(バランスが崩れる)というデメリットもあります。そのため、ただ伸ばすだけでなく、手元側にもしっかり重りを追加してバランスを整えることが大切です。
信頼できるお店に相談してみてくださいね。
【Q&A】中尺パターに関するよくある疑問
中尺パターを使う前に、多くのゴルファーが気になる疑問に、正直にお答えします。
- 中尺パターにデメリットはある?(タッチの出しにくさ等)
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正直にお話しすると、中尺パターには苦手なこともあります。
それは「10メートル以上の長いパット」です。
パター全体が重いため、大きく振ったときにどのくらいの強さで打てばいいかという繊細な感覚が、普通のパターより少しつかみにくいことがあります。
また、人によっては「ヘッドの重さを感じにくい」と感じることもあり、手の感覚をとても大事にする方には、この「鈍感さ」が使いにくく感じるかもしれません。 - 専用のパターカバーは必要?
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ヘッドの大きさが普通のマレットと同じなら、今お使いのカバーが使えます。
ただ、中尺パターはシャフトが長いので、ゴルフバッグの中でパターがひょこっと飛び出したようになります。
他のクラブとぶつかりやすくなるので、シャフト部分まで隠れるような少し長めのカバーを用意してあげると、パターを傷つけずに済みますよ。
- 初心者がいきなり中尺を使っても大丈夫?
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もちろんです!むしろ初心者の方こそ、中尺パターを使うメリットは大きいです。
初心者がミスをする一番の原因は「手首を使いすぎてしまうこと」です。
中尺パターは、その悪い動きを道具が勝手に防いでくれるので、最初から理想的な「肩を使った打ち方」を身につけることができます。上達への近道になるはずですよ。
まとめ:中尺パターはあなたのゴルフをどう変えるか
中尺パターは、単にシャフトが長いだけのパターではありません。
それは、私たちが緊張したときに起こる「手の震え」や「心の弱さ」を、物理的な重さと長さでカバーしてくれる頼もしい味方です。もしあなたが、ショートパットで手がすくんでしまったり、入る気がしなくて悩んでいたりするのなら、道具の力を借りることはとても賢い選択です。
最新のAI技術を使ったモデルでも、中古で見つけた名作でもかまいません。
そのずっしりとした重みを感じて構えた瞬間、今まで怖かった1メートルのパットが、驚くほど簡単に感じられるはずです。
まずは、パターの重さに任せて「ただ当てるだけ」の練習から始めてみてください。
自分を信じるのではなく、パターという「高性能な道具」を信じて振る。
それができたとき、あなたのスコアは劇的に良くなり、ゴルフがもっともっと楽しくなることをお約束します。中尺パターは、あなたのゴルフライフを変える最高の一本になるに違いありません。

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