多くの人が信頼を寄せるテーラーメイドの「Spider」パター。かっこいいですよね。
その最新シリーズの中でも、特徴的なアライメントとネック形状を持つ「Spider TOUR トゥルーパス スモールスラント」が気になっているけれど、
「トゥルーパスアライメントって、本当に狙いやすいの?」
「スモールスラントネックは、自分の(アーク)ストロークに合う?」
「打感や転がりは、他のSpiderとどう違う?」
「数あるモデルの中で、これが自分にとってベストな選択?」
…といった疑問や確信の持てなさから、一歩踏み出せずにいませんか? 高性能なパターだからこそ、自分に合うかどうかしっかり見極めたいですよね。
この記事は、そんなあなたの疑問や不安に真正面から向き合い、すべて解消するために徹底解説していきます。
「Spider TOUR トゥルーパス スモールスラント」の核心技術(トゥルーパス、Pure Roll™、HYBRAR ECHO™ダンパー等)の効果を深掘りし、スモールスラントネックとストロークタイプの相性を分かりやすく解説。
この記事を最後まで読めば、「Spider TOUR トゥルーパス スモールスラント」があなたのスコアメイクを助ける「最高の武器」となり得るか、自信を持って判断できるはずです。
Spider TOUR トゥルーパス スモールスラントの特徴

メーカー | TaylorMade |
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シリーズ | Spider TOUR |
発売日 | 2024年春ごろ |
新品価格 | 46,200円 |
中古最安値 | 30,000円 |
中古最高値 | 45,000円 |
ヘッドの形状 | ネオマレットタイプ |
ヘッドの素材 | マルチマテリアル構造: ステンレススチール (304SS) ボディ + TSSウェイト + HYBRAR® ダンパー + PURE ROLL™ インサート (アイオノマー [Surlyn®] + アルミニウム) |
ヘッドの重量 | 特定の数値は非公開。シャフト長に合わせてTSSウェイトでバランス調整。カスタムオーダーで重量オプション(標準/重め/軽め)選択可能な場合あり |
ネックの形状 | スモールスラント (#3 ホーゼル) |
シャフトの素材 | スチール (KBS BLACK PVD STEPLESS STEEL SHAFT) |
ロフト角 | 3度 |
シャフトの長さ | 33インチ、34インチ |
※中古最安値、中古最高値は2025年5月時点
2025年モデルとしてTaylorMadeから登場した「Spider TOUR トゥルーパス スモールスラント」パターは、ツアープロの使用率も高いSpiderシリーズ最新作です。
高い慣性モーメント(MOI)と安定性で知られるSpider形状に、新開発のTruePath™ アライメント(トゥルーパス・アライメント)とPure Roll™2 インサートを搭載し、より直進性の高い転がりとソフトな打感を両立しています。
中・上級者が求める方向性の精度と距離感の安定をサポートし、プロの厳しい要求にも応える仕上がりとなっています。この記事では、このSpider TOUR トゥルーパス スモールスラントの構造・性能を徹底分析します。
それでは、まずはSpider TOUR トゥルーパス スモールスラントの魅力に迫っていきましょう。
TruePathアライメント – 光学設計された新アライメント機能
TruePath(トゥルーパス)アライメントは、今回のSpider TOURシリーズ全モデルに搭載された新しい目標線ガイドシステムです。
パター上部のクラウン部分に配置された大きな白いガイドラインが特徴で、黒色または濃色のヘッドとの高いコントラストによって、構えたときにボールと目標線を一直線に視認しやすくなっています。
TruePathは光学的に計算された形状・配色となっており、従来のサイトライン以上に「狙ったラインがはっきり見える」効果があります。
加えて、この白いガイドはインサートの白色とも連続するデザインで、アドレス時にフェース面とアライメントが一直線に揃う視覚的シグナルを生み出します。
結果として、方向づけの再現性が向上し、プレーヤーの構えのズレを減少させる狙いがあります。ゴルフWRXのユーザーからも「白いTruePathは実に素晴らしい。狙ったラインがとても明確になる」と高評価を得ており、プロ・アマ問わずアライメントの不安を解消してくれるテクノロジーと言えます。
※Spider TOUR Black パター上部。白いTruePathアライメントにより、ボールと目標ラインを一直線に揃えやすいデザインになっている。
TruePathアライメントは、初代Spider Tour(赤い “赤蜘蛛” パター)にはなかった新要素ですが、2019年発売のSpider Xシリーズで初めて搭載され高評価を博しました。
今回のSpider TOURでも「高コントラストで視覚的な明確さを提供し、狙ったラインをより鮮明にイメージできる」と公式に謳われており、実際にツアープロの間でも好評です。
例えば2024年にSpider Tour Xを使用したスコッティ・シェフラーは、TruePathのおかげで構えが安定しパットの安定性が増したと示唆され、圧倒的な勝率を記録しました。方向性にシビアな上級者ほど、このTruePathアライメントの恩恵を強く感じられるでしょう。
Pure Roll2 インサート – 転がりと打感を両立する新フェース
Spider TOURシリーズのフェースには「Pure Roll™2 インサート」(ピュアロール2)と呼ばれる新世代のインサートが装着されています。
これは従来のピュアロールインサートを改良したもので、白色のTPU(熱可塑性ウレタン)とアルミニウムを複合した多層構造になっている点が特徴です。
インサート表面の白い部分はSurlyn®(サーリン)系のTPU素材で柔らかな打感を生み出し、内部に埋め込まれたアルミニウム製のバー(ビーム)が剛性を高めることで、ボール初速と一貫性を向上させています。フェース面には45度角に傾斜した溝(グルーブ)が刻まれており、インパクト直後から順回転(トップスピン)を与えやすい設計です。
一般的なインサートや平面フェースでは、インパクト直後にボールがわずかに滑ってから転がり始めますが、Pure Roll2インサートでは斜め溝がボールを上に持ち上げつつ転がすことでスキッド(滑り)を最小化し、早い段階で純粋な転がりに移行します。
その結果、転がりのバラツキが減り、距離感が安定しやすくなります。
打感面でも、「Surlyn素材を成形したインサートはソフトながら敏感な打感を実現し、45度溝が優れたトップスピンと転がりを生む」と評価されています。
実際、2023年Spiderシリーズではあえて初代Spider Tourと同じ柔らかいSurlynインサートを採用しなおす試みもありましたが、2025年モデルではアルミビームを組み込むことで打感のソフトさと打音・エネルギー伝達のシャープさを両立させています。
白色インサートにした理由は、前述のTruePathの白いアライメントと色を合わせることで一体感を持たせ、構えたときに違和感なくターゲットに集中できるようにするためです。
まとめるとPure Roll2インサートは、「柔らかい打感+即順回転」というパッティングに理想的なフェースを実現しています。その証拠に、転がりの直進性や一貫性が向上し、オフセンターヒット時でも転がりの差が出にくいと多くのインプレッションで高評価を得ています。
ミスヒットに強いSpiderの高MOI設計と相まって、ショートパットでもロングパットでも安定した距離感と狙い通りのラインを実現するテクノロジーと言えるでしょう。
実測データで見る性能: 転がり・打感・MOI・重量・重心
ここでは、「Spider TOUR トゥルーパス スモールスラント」の性能を、客観的なデータや他の主要モデルとの比較を通じて詳しく見ていきましょう。
モデル | ヘッド重量 | 慣性モーメント (MOI) | 重心深度 | トウハング角 | フェースインサート | 参考価格 |
Spider TOUR (2025)Small Slant | 約355g (34″&35″)※標準ウェイト6g×2 | 5,700(前作比+700) | フェース先端から35mm | 29°(スモールスラント) | White TPU Pure Roll2 | 46,200円 |
Spider TOUR X (2025)Small Slant | 約355g | 5,000 | 約33mm | 30° | White TPU Pure Roll2 | 46,200円前後 |
Spider TOUR V (2025)Small Slant | 約350g | 4,900 | 約27mm | 32° | White TPU Pure Roll2 | 46,200円前後 |
Spider TOUR S (2025)Double Bend | 約380g (重ヘッド) | 6,063 | 約38mm | 0° (Face Balanced) | White TPU Pure Roll2 | 46,200円前後 |
Odyssey #7S (2023) | 約365g | 非公表(推定5,000前後) | 非公表(中深度) | 約30~45° (ショートスラント) | White Hotインサート(ソフト) | 35,000円前後 |
PING Heppler Floki (2020) | 365g | 非公表(高MOI設計) | 非公表(中深度) | やや大きめ (Strong Arc向け) | 固め(アルミ削り出し、インサートなし) | 30,000円前後 |
Scotty Cameron Phantom X5.5 (2022) | 約350g(34″時360g) | 非公表(高MOI設計) | 非公表(中深度) | 約30° (Jetネック) | 303ステンレス削り出し(中硬度) | 60,000円前後 |
※MOIは目安としてSpiderシリーズは5,000以上と非常に高く、ブレード型(Anser型)パターの2~3倍に達します。
ヘッド重量の比較:扱いやすさと安定感
Spider TOUR スモールスラントのヘッド重量は約355g(標準ウェイト時)と、一般的なマレットパターの平均的な重さで、多くの人にとって扱いやすい重量感です。
これはSpider TOUR XやVとも同程度ですが、長尺・重ヘッド仕様のSpider Sは約380gとかなり重くなります。競合となるオデッセイ#7S、PING Heppler Floki、スコッティ・キャメロン Phantom X5.5なども概ね350~365gの範囲にあり、重量帯としては近いモデルが多いと言えます。
慣性モーメント(MOI)比較:圧倒的なミスヒットへの強さ
Spider TOURシリーズの際立った特徴が、業界トップクラスの高い慣性モーメント(MOI)です。標準のSpider TOURモデルで5700という数値は、前作(Spider Xなど)から大幅に向上しており、「テーラーメイド史上最も安定したパター」と評されるほどです。
Spider X(5,000)やSpider V(4,900)も非常に高いMOIを誇ります。競合モデルの正確な値は非公表の場合もありますが、一般的にSpiderシリーズはこの点で優位性があり、オフセンターヒット時のヘッドのブレを極限まで抑え、安定した転がりをもたらします。
重心深度とトウハング角:ストロークタイプとの関係
Spider TOURシリーズは、モデルごとに重心深度(CG深度)とトウハング角が意図的に変えられています。
- Spider TOUR(標準): 重心深度35mm(深め)、トウハング角29°
- Spider TOUR X: 重心深度33mm(やや深め)、トウハング角30°
- Spider TOUR V: 重心深度27mm(浅め)、トウハング角32°
- Spider TOUR S: 重心深度38mm(最も深い)、トウハング角0°(フェースバランス)
深い重心は安定性を高めますが、フェースローテーションはしにくくなります。逆に重心が浅い(VやX)ほど、ヘッドが積極的に開閉しやすくなります。
Spider TOUR スモールスラント(トウハング29°)は、適度なフェースローテーション(アーク軌道)を好むストロークに適した設計と言えます。これは、フェースバランス(S)や、よりローテーションが大きいモデル(V)との明確な違いです。
フェースインサートと打感:各モデルのフィーリング比較
Spider TOURシリーズは全モデル共通で、ホワイトTPUとアルミニウムを組み合わせた「Pure Roll™」インサートを採用しています。これにより、柔らかさの中に適度な手応えがあり、クリアな打音が両立すると評価されています。
- オデッセイ White Hotインサート:よりソフトな打感。
- PING Heppler(インサートなし):硬質で「カチッ」とした打感・打音。
- スコッティ・キャメロン Phantom X5.5(削り出し):中間的なソリッド感。 Spider TOURの打感は、これらの中間からやや柔らかめに位置づけられ、多くのゴルファーにとって心地よいフィーリングを提供するでしょう。
データから見るSpider TOURスモールスラントの位置づけ
これらのデータ比較から、「Spider TOUR スモールスラント」は、業界最高レベルの慣性モーメント(寛容性)を持ちながら、適度なフェースローテーション(操作性)も許容する、バランスの取れたモデルであることがわかります。
打点のブレに強く、方向性や距離感のミスを減らしつつも、フェースを開閉させる感覚を失いたくない、アーク軌道のゴルファーにとって非常に魅力的な選択肢です。ブレードパターの操作感を好みつつ、マレットの安定性も欲しいというゴルファー(実際にプロでも移行例あり)にも受け入れられやすい設計と言えるでしょう。
ストロークタイプ別: Spider TOURは誰に向いている?(フローチャート診断)
自分のストロークにSpider TOUR スモールスラントが適しているか、迷う方も多いでしょう。そこでストロークタイプ別にどのネック形状・モデルが合うかを診断するフローチャートを用意しました。
先に結論を伝えるとSpider TOUR トゥルーパス スモールスラントは「ゆるやかなアークストローク」の人に最適です。
パター自体の慣性モーメントが高いためストローク軌道がブレにくく、それでいてスモールスラントの適度な開閉でボールを押し出しやすいためです。反対に、真っ直ぐテークバックするタイプは同シリーズのダブルベンド、強いアークならSpider Vや他モデルの方が合うでしょう。
Q1. ストローク軌道は直線的(ストレート)か?
→ YES: テークバック〜フォローまでフェースの開閉が少ない真っ直ぐなストロークなら、フェースバランス型のパターがおすすめです。SpiderシリーズならSpider TOUR ダブルベンド(カウンターバランス)やSpider Sが該当します。スモールスラントはフェースが開閉しやすいため、直線ストロークだと左に引っかけやすい恐れがあります。
→ NO: ゆるやかにインサイドに引き、インパクト前後でフェースが開閉するアークストロークなら次へ。
Q2. ストロークの弧は大きい(強いアーク)ですか?
→ YES: インサイド・インの弧が大きく、フェースローテーションが大きい<strong>強いアークタイプ</strong>なら、トウハング角の大きいパターが向きます。Spiderシリーズなら最もトウハングが大きいSpider TOUR V(32°)が適任です。あるいはブレード型や他社強アーク向けマレット(Ping Anser型やHeppler ZB系)も検討しましょう。
→ NO: 弧は緩やかでフェースローテーション中程度の<strong>軽いアークタイプ</strong>です。Spider TOUR スモールスラントはこのタイプにフィットします! トウハング約29~30°で適度にフェースが開閉し、アークストロークに沿って自然な打ちやすさがあります。実際、TaylorMadeも小スラントは「適度なフェースローテーションを持つプレーヤー向け」と位置付けています。
Q3. 構えたときにスクエアに見えやすいネックは?(※好みの問題)
→ L字ネックが好き: ブレード型のように手元が少し浮いたL字ネックを好むなら、Spider X LネックやスコッティX5.5なども検討。ただしLネックはフェース向きの管理が難しく中上級者向けです。
→ スラントネックが気になる: ショートスラント(スモールスラント)はヘッドと一体感があり、構えた時に違和感が少ないでしょう。本モデルはまさにその小スラントです。
→ ダブルベンド派: シャフトが真っ直ぐ入るダブルベンドはフェースバランスで直進性重視。Spider TOURでもダブルベンド仕様がありますが、これはフェースローテーション少なめの方向けです。
Spiderシリーズ内の近いモデル比較 – Spider XやGT、Miniとの違い

Spiderシリーズは多くの派生モデルがあり、「Tour」「X」「GT」「Mini」など名称も様々です。ここではSpider TOUR トゥルーパス スモールスラントと近いモデルを比較し、その違いを整理します。
Spider TOUR vs Spider TOUR X
Spider TOUR vs Spider GT
Spider TOUR vs Spider Mini
上記の他にも、Spider ARCやSpider FCG、Spider SRなど多数の派生がありますが、2025年時点での主力はSpider TOURシリーズです。
TaylorMadeは、「Spiderシリーズ誕生以来培った象徴的技術(TruePathやPureRollなど)を維持しつつ、様々なパッティングスタイルに合わせ幅広い形状と重心位置を用意した」と述べています。(参考:テーラーメイドがスパイダーパターの新シリーズを公開|GDO ゴルフダイジェスト・オンライン)
その言葉通り、TOUR(安定重視)、X(小型シャープ)、V(ウィングレス最小)、Z(新形状ウィング付き)、S(大型カウンターバランス)という豊富な選択肢が揃っています。自分の好みやストロークに合わせ、シリーズ内で最適なモデルを選べるのもSpider TOURシリーズの強みです。
それでは、それぞれのモデルと比較していきましょう。
Spider TOUR vs Spider TOUR X
2025年Spiderシリーズでは、この2モデルが双璧です。Spider TOURはオリジナルのSpider形状(両端に丸みを帯びた重量体が張り出した形)を踏襲し、最高MOIを追求した設計。
一方Spider TOUR Xは2019年デビューのSpider X形状を継承し、よりコンパクトで角ばったウィングレス形状です。Spider Xはブレードパター好みのプレーヤーでも構えやすいよう設計され、見た目もシャープでモダンです。
重心が前寄り(33mm)でフェースローテーション多め、MOIは5000とTOURよりやや低めですが、それでも十分高慣性です。要するにSpider TOUR=最大限の安定志向、Spider X=ブレード的な操作性を付加となります。
実際、ローリー・マキロイが長年Spider X形状を愛用していることでも知られます(彼は2021年Spider X HydroBlastを投入し、その後も度々Spiderに戻っています)。
Spider TOUR vs Spider GT
2022年発売のSpider GTシリーズは、Spiderの名を冠しつつ全く新しいデザインでした。
アルミニウムのフレームとスチールウェイトで構成された「亀の甲羅」のような形状が特徴で、ヘッド中央をくり抜き周辺に重量を配置することで更なる高MOIを狙ったモデルです。
Spider GTはTruePathこそ搭載しませんが、テーラーメイド独自の「トラスホーゼル」(三角形の支柱付きネック)バリエーションも登場し話題になりました。打感は硬め寄りで、より直進性を追求したモデルです。
Spider TOURは見た目こそ従来型ですが、TruePathや新インサートで進化しており、Spider GTほど尖った設計ではなく扱いやすさを残していると言えます。
Spider TOUR vs Spider Mini
Spider Miniは2018年に登場したヘッドを15%小型化したモデルです。
オリジナルSpiderの安定性をできるだけ損なわずに小型・軽量化しており、ミドルマレット的な位置づけでした。高慣性は保ちつつ、フェースバランスに近く直線的ストローク向けだったため、ややターゲットは異なります。
Spider TOURスモールスラントはMiniより大きく安定性充分で、フェースローテーションも許容するため、Miniより幅広い人に合うでしょう。現在Miniの流れはSpider FCGなど別系統に受け継がれ、Spider TOURシリーズには直接はラインナップされていません。
競合モデルとの比較 – #7SやPhantom X5.5と何が違う?
Spider TOURスモールスラントが属する「小型高慣性マレット」カテゴリには、他メーカーからも魅力的なモデルが発売されています。代表的な競合としてOdyssey #7S、PING Heppler Floki、Scotty Cameron Phantom X5.5などが挙げられます。それぞれ操作性・打感・価格・重量の観点で比較してみましょう。
オデッセイ #7Sとの比較
オデッセイの#7形状はツノ型(通称#7形マレット)として有名で、多くのプロも使用してきました。
#7Sはショートスラントネック仕様で、Spider TOUR小スラントと同様に中程度のフェースローテーション向けです。高慣性モーメントで直進性が高く、寛容性も優秀。打感はWhite Hotインサートのおかげで非常にソフトで「打球音が静か」なのが特徴です。
一方で柔らかすぎて転がり出しが曖昧に感じる人もいます。価格は新品で3~4万円台とSpiderよりやや手頃です。ヘッド重量は約365gとSpiderよりやや重めですが、Stroke Labシャフト採用モデルではヘッドを軽くしシャフト側を重く配分しているため、振り心地は軽快です。
操作性はSpider同様ミスヒットに強く、直進性重視ですが、TruePathのような派手なアライメントこそ無いもののサイトラインや形状で構えやすさを確保しています。
オデッセイのホワイトホットOG#7について詳しく説明した記事もあるので合わせて読んでみてください。

PING Heppler Flokiとの比較
PINGのヘプラーシリーズから2020年に登場したFlokiは、ユニークな形状のネオマレットタイプです。
インサートを持たない金属フェースで、打感・音は硬めかつ打球音がはっきり聞こえます。重量365gでしっかり重量感があり、可変シャフト長機能などPINGらしい工夫も凝らされています。
ストローク適性としてはPINGの表記で「Strong Arc」向け、つまりフェースバランスではなくトウハングが大きめ(おそらく40~50°程度)です。Spider TOUR小スラント(30°付近)よりもさらにフェース開閉が必要なプレーヤー向けと言えます。
操作性は良い反面、慣性モーメントはSpiderほど極端ではないため、芯を外すと距離ロスが出やすいでしょう。ただPINGは精密な削り出しとマルチマテリアル設計で高MOIを謳っており、Flokiも周辺重量配分で安定性は高めです。
価格は新品で3万円前後と比較的手頃でしたが、生産完了モデルのため現在は入手が難しく、中古市場で2万円台になることもあります。
PINGのヘプラーシリーズ、フローキーについて詳しく説明した記事もあるので合わせて読んでみてください。

Scotty Cameron Phantom X 5.5との比較
スコッティキャメロンのPhantom Xシリーズの1つ、5.5はジェットネック(小ぶりのL字ネック)を備えたややトウ寄りバランスのモデルです。
ジャスティン・トーマスが長年愛用するモデルの市販版として人気が高く、小ぶりなヘッドに高比重ステンレスと軽量アルミの組み合わせで高MOI化を図っています。
ヘッド重量は標準約350g(34インチ時360g)で、カスタムウェイトで微調整可能。打感はソリッドな削り出し金属フェースゆえ「クリック音」が小さく心地よい柔らかさも感じられる独特のフィールです。
Spiderや#7Sのようなインサート系とは異なる直にボールを打つ感触を好む上級者には魅力でしょう。操作性はフェースバランスのX5(ダブルベンドネック)に対し、このX5.5は約30°のトウハングでフェースローテーションを入れやすくなっています(公称では「ほぼフェースバランス」ですが実際は若干トウダウン)。
Spider TOUR小スラントとトウハング角は近似で、ストローク的な適性も似ています。しかしScotty Cameronらしくヘッド形状はシャープでコンパクトなので、構えたときの見た目の安心感(投影面積の大きさ)はSpiderの方が上かもしれません。
価格は定価で5~6万円台と最も高額ですが、その精巧な作りとブランド価値を考えれば納得の金額とも言えます。
Spider TOURスモールスラントの優位性
項目 | 詳細 |
安定性 (MOI) | Odyssey#7やPing Flokiも高MOIですが、Spider TOURの値(5700)は突出しています。多少芯を外しても方向・距離のズレが極小に抑えられる安心感があります。 |
アライメント | TruePathの明快なアライメントは競合にはない強み。オデッセイ#7もサイトラインはありますが、白黒の大きなコントラストで視覚補助するSpiderは構えやすさで勝ります。 |
打感 | 極端に柔らかい#7と硬いFlokiの中間でバランスが良く、ミスヒット時の打感変化も少なめです。インサート系の中では適度なソフトさと弾き感を両立しています。 |
価格 | スコッティほど高価ではなく、性能を考えれば適正~やや割安に感じるでしょう。公式価格46,200円(税込)は一般的なハイエンドパターの範囲内です。 |
カスタマイズ性 | ウェイト交換による重量調整(TaylorMade専用ウェイト使用)も可能で、将来的にフィッティングで微調整できる柔軟性もあります。 |
逆に、競合に軍配が上がる点としては「打感の好み」が挙げられます。極端なソフトさが好きなら#7、カチッとした打感が良ければFloki、フィーリング重視ならScotty…といった具合に、最後は好みやフィーリングで選ぶ部分も大きいでしょう。
しかし総合力で見れば、Spider TOURスモールスラントは直進性・操作性・感触のバランスに優れた万能型マレットであり、多くの中上級者にマッチする完成度を備えています。
国内外の使用プロたち – ツアーで証明された信頼性
テーラーメイドのSpiderシリーズは、その高い性能から世界中のツアープロに長年愛用されてきました。ここでは、その実績の一部をご紹介します。
ツアーでの人気の発端:ジェイソン・デイとダスティン・ジョンソン
Spiderシリーズがツアーで大きな注目を集めるきっかけは、2015年前後に遡ります。
特に、ジェイソン・デイ選手が赤いSpider Tourパター(通称「赤蜘蛛」)を使用して2015年全米プロ選手権を制し、世界ランキング1位に輝いたことは象徴的でした。その後、ダスティン・ジョンソン選手もSpider Tour Blackで勝利を重ね、Spiderシリーズの評価を不動のものとしました。
ローリー・マキロイが信頼したSpider X
2025年4月、悲願のマスターズを勝ちついにグランドスラムを達成したローリー・マキロイ選手は、長期間にわたりSpider X(2019年モデル)をエースパターとして使用し続けたことが有名です。
ちなみに2024年のマスターズで優勝したときに使っていたパターは「テーラーメイド Spider TOUR X トゥルーパス スモールスラント」です。
「他のパターに替えても結局Spider Xに戻る」と報じられるほど、その性能に絶大な信頼を置いていました。2021年にはSpider X HydroBlastモデルでマスターズやプレーヤーズ選手権を制覇するなど、大舞台での実績も豊富です。(※2024年時点では他社モデルへのスイッチ情報もありますが、Spiderへの信頼は根強いと見られています。)
スコッティ・シェフラーを“無双”に導いたSpider Tour X
記憶に新しいのが、スコッティ・シェフラー選手の活躍です。
2024年シーズン途中にSpider Tour X(スモールスラント)に切り替えると、パッティングが劇的に向上し、出場10試合で6勝という驚異的な記録を打ち立てました。
Spider Tour Xの前方重心設計が彼のストロークに完璧にマッチし、パター変更が即座に結果に結びついた例として大きな話題となりました。
日本ツアーでの評価と使用実績
Spiderシリーズの人気は日本ツアーにも波及しています。女子ツアーでは成田美寿々プロがSpiderで勝利を重ね、小祝さくらプロも初優勝時にSpider X(スモールスラント)を使用していました。
2019年頃には、国内女子ツアーでのSpider使用率が急上昇したとも報じられています。男子でも、ベテランの手嶋多一プロが海外プロの影響を受けSpider X HydroBlastを投入するなど、多くのプロがその性能を認めています。
ブレード派プロも認める性能とツアーでの実績
さらに、元々ブレードパターを好むコリン・モリカワ選手やトミー・フリートウッド選手といったトッププロたちが、一時的にSpider Tourパターを試したこともあります。
これは、ブレード派のプロでさえもSpiderシリーズが持つ寛容性や性能の高さを認めている証左と言えるでしょう。統計によれば、SpiderシリーズはPGAツアーで数多くの勝利に貢献しており、まさに「勝てるパター」としての地位を確立しています。
最安値購入ガイド – 賢い買い方と試打方法
新しいクラブを手に入れる際、少しでも安く、かつ自分に合った一本を選びたいものです。Spider TOUR トゥルーパス スモールスラントをお得に購入・試打するためのポイントをまとめます。
市場価格の把握
本モデルのメーカー希望小売価格は税込46,200円とされています(公式オンライン価格)。しかし実際の販売価格はショップによって異なり、通販サイトでは約4万2千~4万5千円前後で推移しています。
例えば、楽天市場ではポイント還元込みで実質約44,200円程度の出品が確認できます。Yahooショッピングでも46,200円のところ数千円オフやポイント付与がある場合があります。
発売直後のため大幅値引きは少ないですが、キャンペーンやポイント倍増時を狙うとお得です。また並行輸入品も存在しますが、価格差は大きくない(むしろ送料込みで割高なことも)ので、国内正規品を選ぶのが無難でしょう。
実店舗で試打
パターは感覚的なクラブなので、可能ならゴルフショップ店頭で構えて打ってみることを強く推奨します。
Victoria Golfやゴルフ5、二木ゴルフなど大手ショップではパターマットが用意されており、Spider TOURも在庫があれば自由に試打できます。打感や構えやすさ、シャフト長さ(33/34/35インチ)によるフィーリングの違いも確認しましょう。
テーラーメイド直営店やフィッティングセンターが近くにあれば、専門スタッフのフィッティングを受けるのも一案です。自身のストロークに合うネック(小スラント以外も含め)やグリップ太さを提案してもらえるでしょう。
試打会・イベント
各地のゴルフ練習場やゴルフ場で、メーカー主催のパター試打会やパッティングクリニックが開催されることがあります。
TaylorMadeも新製品発表前後には店頭イベントを行うことがあるので、公式サイトやSNSで情報をチェックしてみてください。そうした場ならSpiderシリーズ全モデルを試せることも多く、他モデルとの比較もその場でできます。
また上手なプロやフィッターにパッティングを見てもらいアドバイスがもらえるチャンスでもあります。
中古購入
2025年モデルなので中古市場にはまだ出回りが少ないですが、気長に待てば徐々に流通するでしょう。
ゴルフパートナーなど大手中古ショップや、メルカリ・ヤフオク等の個人売買では発売半年~1年後に程度の良い中古が定価の2〜3割引で見つかるかもしれません。
ただしパターの場合、前所有者がカスタムしたグリップやヘッドウェイトが変更されているケースもあるので注意が必要です。またヘッドは傷が付きやすい部分なので、写真や実物で状態をしっかり確認しましょう。
並行輸入と型番違い
海外モデル名との違いにも注意しましょう。Spider TOUR “Small Slant”は日本では「トゥルーパス スモールスラント」と呼ばれていますが、米国ではSpider Tour Black #3 などと番号で表記されるケースもあります(#3が小スラントモデルを指す)。
基本性能は同じですが、長さのインチ表示やグリップの仕様が異なることがあります。例えばUSモデルはSuperStroke GT 1.0グリップ標準だが、日本仕様は別のグリップ、など。購入前にスペック表を確認しましょう。
古いモデルとの価格差
ちなみに前作にあたるSpider XやSpider S(2020~2022年モデル)は、今なら新品在庫がセールで安くなっている可能性があります。
性能は最新と大きく変わらないので、コスパ重視なら型落ち新品を狙う手もあります。
ただしSpider XはTruePathこそ搭載していますがインサートは黒色(PureRoll2)で打感がやや硬めだったりと細かな違いがあります。最新の白インサートの打感を気に入ったなら、新モデルを選ぶ価値は十分あるでしょう。
よくある質問 (FAQ)
最後に、あなたがきっと感じているであろう疑問点を整理してFAQ形式で回答します。