「また右に外した…」何度練習しても、なぜか大事な場面でパットが右にカップを逸れていく。
そんな悔しい経験はありませんか?
多くのアマチュアを悩ませる「パターが右に出る」という症状。その原因は、単純な打ち方だけでなく、気づきにくいアドレスのズレや、意外なメンタルの影響も隠れているかもしれません。
もしあなたが、「なぜ右に出るのか本当の原因が知りたい」「効果的な直し方や練習ドリルを具体的に教えてほしい」「もう短いパットで悩みたくない!」と強く願っているなら、この記事はまさに教科書のようなものです。
この記事では、パットが右に出る原因をあらゆる角度から徹底的に分析し、それを克服するための具体的な修正ステップ、効果実証済みの練習ドリル(自宅&グリーン)、さらにはプレッシャーに打ち勝つメンタル術やパター選びのヒントまで網羅的にお伝えします。
もう、右へのミスに一喜一憂する必要はありません。この記事を最後まで読めば、あなたのパッティングは見違えるように安定し、自信を持ってグリーンに立てるようになるでしょう。
【結論】右プッシュの原因と今日からできる解決策
多くゴルファーを悩ませるパッティングでの右プッシュ(打ち出しから右に出ること)の原因と対策を下の表にまとめました。
右に出る主な原因 | この記事で解説する解決策の方向性 |
① インパクト時にフェースが開く | 正しいグリップと手首の使い方、スクエアなフェースを保つストローク練習、アライメントの再点検 |
② 意図しない「ストローク軌道」のブレ | 肩と腕の五角形を使った安定した振り子運動の習得、適切なインサイド・イン軌道を作るためのドリル |
③ 無意識のうちにズレている「アライメント」 | 正しいボール位置と目の位置、肩・腰・足のラインをターゲットに合わせるセットアップ方法と確認ドリル |
④ 体の不要な動き(ヘッドアップ、体の開き等) | ヘッドアップ防止の意識改革と練習法、体幹を使ったブレないストローク軸の確立、下半身の安定 |
⑤ メンタル的な要因(プレッシャー、集中力不足) | 「入って当然」の意識改革、プロセス集中への思考転換、プレショットルーティンの構築、リラックス法 |
⑥ パターの「ライ角」不適合 | ライ角のセルフチェック方法、パターフィッティングの重要性と効果 |
この記事では、これらの原因をさらに深く掘り下げ、あなたが今日から実践できる具体的な修正法や練習ドリル、そしてメンタルアプローチまで、右へのミスを克服するための全てを徹底解説します。
なぜ?パターが右に出る「7つの原因」とは
ミスの背景には、必ず何らかの原因が潜んでいます。
まずは、あなたの「右プッシュ」がどのタイプに当てはまるか、下のチェックリストで診断してみましょう。その上で、代表的な7つの原因を深掘りし、改善への糸口を見つけます。
《あなたの「右プッシュ」原因は?自己診断チェックリスト》
チェック項目例 | 当てはまる場合に考えられる主な原因 |
アドレスでフェースが右を向いている気がする | 原因①:フェースの開き、原因④:アライメントのズレ |
インパクトで手首をこねてしまう | 原因①:フェースの開き、原因⑤:手首の使いすぎ |
ストロークが体の外側から内側へ抜けていく感じがする | 原因②:ストローク軌道のブレ(アウトサイドインで調整して開くなど) |
ボールを右足寄りに置きがちだ | 原因③:ボール位置の誤解 |
打った瞬間に顔が上がってしまう | 原因⑤:体の不要な動き(ヘッドアップ) |
使っているパターが少し構えにくい、または軽く感じる/重く感じる | 原因⑥:ライ角不適合の可能性、またはパター重量とのミスマッチ |
大事な場面ほど右に外すことが多い | 原因⑦:メンタルが引き起こす右プッシュ |
ではここからは、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
原因①:フェースの「開き」とインパクトのズレ
パットが右に出る最も直接的かつ一般的な原因は、インパクトの瞬間にパターフェースが開いてボールに当たってしまうことです。
たった1度のフェースアングルのズレでも、1mの距離ではカップの縁を逸れてしまうほどシビアな影響があります。このフェースの開きは、いくつかの要因から起こります。
まず、アドレス時のセットアップで、最初からフェースが目標に対してスクエアに構えられていないケース。次に、ストローク中に手首を使いすぎてしまうことで、インパクトでフェースが開いてしまう動き。
特に右手の感覚が強すぎると、押し出すような形になりフェースが開きやすくなります。
また、体が開いてしまう(ターゲット方向に回転してしまう)と、それに伴って腕やパターもアウトサイド・インの軌道を描きやすく、結果としてフェースが開いてインパクトを迎えることになります。
短いパットほど、フェース向きのわずかな狂いが結果を大きく左右します。まずは、自分のストロークでインパクト時にフェースが開いていないか、動画撮影などで客観的に確認してみることから始めましょう。
原因②:「ストローク軌道」のブレと方向性
ストローク軌道も、ボールの打ち出し方向に大きく影響します。右にプッシュアウトする場合、よくあるのが極端なインサイドアウト軌道です。
ボールに対して内側からヘッドが入り、インパクト後に外側へ抜けていくこの軌道は、インパクトでフェースが開きやすく、ボールをターゲットの右に押し出す原因となります。「ボールをしっかり捕まえよう」「フォローを大きく出そう」という意識が強すぎると、この軌道になりやすいです。
逆に、アウトサイドイン軌道(カット軌道)でも、それを修正しようとする無意識の動作でフェースが開いて右に出ることもあります。本来カット軌道はボールを左に引っ掛けやすいのですが、それを嫌って手先で調整しようとすると、結果的にフェースが開いてしまうのです。
理想的なストローク軌道は、パターの形状やネックタイプによっても多少異なりますが、基本的には真っ直ぐ、あるいは緩やかなインサイド・イン軌道です。
1m程度の短いパットでは、特にヘッドを真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す意識が、方向性の安定には不可欠と言えるでしょう。
原因③:「ボール位置」と「目の位置」の誤解
意外と見落としがちなのが、アドレス時のボール位置と目の位置です。
これらが適切でないと、真っ直ぐ構えているつもりでも、結果的にフェースが開いたり、ストローク軌道が乱れたりして右へのミスを誘発します。
まずボール位置ですが、一般的には左目の真下、あるいはそこからボール半分程度内側(右足寄り)が基本とされます。
ボールを標準より右足寄りに置きすぎると、パターヘッドが最下点に達する前にインパクトを迎えることになり、フェースが開いた状態で当たりやすくなります。これが右プッシュの直接的な原因となるケースは非常に多いです。
次に目の位置も重要です。ボールの真上に目がくることで、ターゲットラインを正確に認識しやすくなります。
目がボールより内側すぎるとターゲットラインが左に見えやすく、逆に外側すぎると右に見えやすくなり、無意識のうちにアライメントやストローク軌道がズレる原因となります。鏡やスマートフォンのカメラ機能を使い、自分のボール位置と目の位置が適切か、一度客観的にチェックしてみましょう。
正しい位置関係を理解するだけでも、パッティングは大きく改善します。
原因④:「アライメント」の無意識な狂い
自分では真っ直ぐ構えているつもりでも、無意識のうちに体全体のアライメント(体の向き)がターゲットの右を向いてしまっているケースも、パットが右に出る大きな原因です。
特に肩のライン、腰のライン、そしてスタンス(両足のつま先を結んだライン)がターゲットラインに対して平行ではなく、右を向いてしまっていると、その方向にパターを振り出しやすくなり、結果としてボールも右へ転がっていきます。
このアライメントのズレは、利き目や体のクセ、あるいは特定の傾斜に対する無意識の補正動作など、様々な要因で発生します。厄介なのは、本人は真っ直ぐ向いていると信じ込んでいる場合が多いことです。
そのため、第三者に見てもらったり、練習グリーンでアライメントスティックを足元や肩のラインに置いて、客観的に自分の向きを確認する習慣が非常に重要になります。
また、ボールに対してスクエアにフェースを合わせているつもりでも、体全体が右を向いていれば、そのフェース向きも結果的にターゲットの右を指していることになります。
正しいアライメントを身につけることは、パッティングの再現性を高める上で最も基本的な要素の一つです。
原因⑤:「手首」の使いすぎと体の不要な動き
パッティングストロークにおいて、手首の使いすぎや体の不要な動きは、フェース向きの安定性を著しく損ない、右へのミスを誘発する大きな原因となります。
特に1m程度の短いパットでは、距離を合わせようとして手先で器用に操作しようとしがちですが、これが逆効果になることが多いのです。
手首をコネるように使ってしまうと、インパクトでフェースが開きやすく、ボールを右に押し出してしまいます。
また、テークバックやフォロースルーで手首が折れるような動きが入ると、ストローク軌道も不安定になり、打点もズレやすくなります。
さらに、ヘッドアップ(打ったボールの行方を早く見ようとして顔が上がってしまう動き)や、体のスウェー(左右への体重移動)、体の起き上がりなども、体の軸をブレさせ、インパクトの精度を著しく低下させます。
これらの不要な動きは、無意識のうちに行っていることが多いため、意識的な修正と反復練習が必要です。肩と腕の五角形を保ち、体幹を意識した安定したストロークを心がけましょう。
原因⑥:「ライ角」不適合の可能性
意外と見過ごされがちですが、使用しているパターのライ角が自分のアドレスや体型に合っていない場合も、パットが右に出る原因となり得ます。ライ角とは、パターを地面に置いたときのシャフトとソールが作る角度のことです。
もし、自分のアドレスに対してパターのライ角がフラットすぎる(トゥ側が下がりすぎている)場合、インパクトでフェースのトゥ側が地面に接触しやすくなり、その結果フェースが開いてボールが右に出やすくなることがあります。
逆に、アップライトすぎる場合はヒール側が浮き、引っかけの原因になることもあります。
多くのパターは標準的なライ角で設計されていますが、身長や腕の長さ、前傾姿勢の深さなどは個人差が大きいため、必ずしも全ての人に最適とは限りません。
専門店や工房でライ角を診断してもらい、必要であれば調整することで、構えやすさや方向性が劇的に改善するケースもあります。自分のパターが本当に自分に合っているのか、一度見直してみる価値はあるでしょう。
原因⑦:「メンタル」が引き起こす無意識のエラー
技術的な問題だけでなく、メンタル的な要因が「パター右に出る」というミスを無意識のうちに引き起こしていることも少なくありません。
例えば、「絶対に右にだけは外したくない」という強い意識が、かえって体を硬直させ、右へのプッシュアウトを誘発することがあります。
これは、避けたいと思う方向に意識が集中しすぎることで、体が無意識にそれを実現しようとする「逆効果の法則」とも言える現象です。
また、過去に大事な場面で右に外した経験がトラウマとなり、同じような状況になると不安や恐怖心が先に立ち、スムーズなストロークができなくなることもあります。
プレッシャーがかかる場面ほど、普段通りのリズムやテンポで打つことが難しくなり、手先で合わせにいこうとしてミスを犯しやすくなります。
さらに、自信のなさからくる中途半端なインパクトも問題です。「入るかな…」という迷いがストロークの緩みにつながり、フェースが開いて当たったり、ボールがカップまで届かなかったりします。
これらのメンタルエラーは、技術的なミスと密接に関連しており、両面からのアプローチで改善していく必要があります。
右プッシュの修正ステップ&最強ドリル集
パットが右に出る原因を特定したら、次は具体的な修正に着手しましょう。
ここでは、まず効果的な練習ドリルの全体像を把握し、その後セットアップからストローク、フェースコントロールまで、右へのミスを根本から断ち切るための段階的な修正ステップを詳しく解説します。
《右プッシュ矯正ドリルメニュー》
ドリルの目的 | 場所 | 必要な道具 | やり方(例) | ポイント |
セットアップの正確性向上 | 自宅/練習場 | アライメントスティック、ライン入りマット | T字ラインに合わせてフェース・スタンス・肩をスクエアにセット | 毎回同じ手順で行う |
ストロークの安定性(体幹主導) | 自宅/練習場 | タオル、ヘッドカバー、メトロノーム | 両脇にタオルを挟んでストローク、一定のリズムで反復 | 手先を使わない、体との一体感 |
フェースコントロール(真っ直ぐ出す) | 自宅/練習場 | ティー2本、ボール2個 | ティーゲート通過、2ボール同時ヒット | インパクト時のフェース向き集中 |
体の開き・ヘッドアップ防止 | 自宅/練習場 | 壁 | ボールがあった場所を見続ける、壁にお尻をつけてストローク | 打球の行方を見ない勇気、軸の安定 |
総合練習(1m精度向上) | 練習グリーン | ボール複数個 | 1mサークルドリル(全方向から連続カップイン) | プレッシャー下での集中力 |
Step1:完璧なセットアップ習得ドリル
右プッシュをなくすための最初のステップは、完璧なセットアップの再現性を高めることです。
まず、フェース向きのスクエア感を養いましょう。パターマットにT字や十字のラインがあればそれを活用し、毎回フェースがターゲットに対して直角になるように合わせる練習を繰り返します。目標後方からラインを確認し、フェースを合わせてからスタンスに入るルーティンを確立しましょう。
次にボール位置の固定です。多くのゴルファーは、無意識のうちにボール位置が左右にズレています。
おすすめは、パターマット上で常に同じ位置(例:左目の真下)にボールをセットし、そこから打つ練習です。ティッシュの箱などを使ってボールを置く定位置を作ると、より正確性が増します。
そしてアライメントの確認。肩、腰、両足のつま先を結んだラインが、ターゲットラインと平行になっているか、練習の都度アライメントスティックを2本使ってチェックしましょう。
1本をボールとターゲットを結んだラインに、もう1本をスタンスのラインに置けば、体の向きのズレが一目瞭然です。この3つの要素を徹底的に体に覚え込ませることが、安定したパッティングの揺るぎない土台となります。
Step2:安定ストローク体得ドリル
正しいセットアップができたら、次は安定したストロークを身につけます。右プッシュの原因となる手首の使いすぎや体のブレを抑えるドリルが効果的です。
まず、肩と腕の五角形を意識したストロークを習得しましょう。両脇にタオルを軽く挟んだり、パターのヘッドカバーを胸の前に挟んでストロークする練習は、体と腕の一体感を高め、手先の余計な動きを抑制するのに役立ちます。
パターヘッドが体(特に胸)の正面から外れないように振るのがポイントです。
リズムとテンポの一定化も重要です。メトロノームアプリなどを使い、例えば「イチ(テークバック)、ニ(インパクト)、サン(フォロー)」といった一定のリズムでストロークする練習を繰り返しましょう。
これにより、インパクトで力んだり緩んだりするミスを防ぎ、再現性の高いストロークが身につきます。
片手打ちドリルも効果的です。特に左手一本でパターを持ち、ボールを真っ直ぐ転がす練習は、左腕リードの感覚を養い、右手の使いすぎを防ぐのに役立ちます。
最初は難しいかもしれませんが、徐々に安定して打てるようになるはずです。これらのドリルで、体幹を使ったブレないストローク軸を作り上げましょう。
Step3:フェースコントロール強化ドリル
安定したストロークの次は、インパクト時のフェースコントロールを高め、ボールを真っ直ぐ打ち出す感覚を磨きます。
最も基本的なドリルは、パターマットのセンターライン上をボールが逸れないように打ち続ける練習です。ボールがラインから左右に外れる場合は、インパクトでフェースが開閉している証拠です。フェース面を常に意識し、ライン上を正確に転がせるように集中しましょう。
よりシビアにフェースコントロールを養うなら、ティー2本で作るゲート通過ドリルがおすすめです。カップまでのラインの中間地点(50cm先など)に、パターヘッドがギリギリ通る幅でティーを2本刺し、その間をボールが正確に通過するように打ちます。
少しでもフェースが開いたり閉じたりすると、ティーに当たってしまいます。このドリルを繰り返すことで、インパクト時のフェース向きのわずかなズレにも敏感になり、修正能力が高まります。
また、2つのボールを同時に打つドリルも効果的です。ボールを2個並べ、その両方にパターフェースの芯が同時に当たるようにストロークします。
どちらか一方のボールが先に転がり出したり、違う方向に転がったりする場合は、打点がズレているか、フェースが開閉している可能性があります。
Step4:体の開き・ヘッドアップ防止ドリル
右プッシュの大きな原因となる体の開きやヘッドアップを防ぐためのドリルも重要です。
まず、「打った後もボールがあった場所を1秒間見続ける」という1秒ルールを徹底しましょう。ボールの行方が気になっても、グッとこらえて視線を残すことで、体の軸のブレや肩の開きを効果的に抑制できます。
次に、カップインの音を耳で確認してから顔を上げる習慣をつけるのも有効です。
特に1m程度の短いパットでは、ボールがカップに到達するまでの時間はわずかです。その短い時間、顔を上げずに我慢することで、インパクトの精度が格段に向上します。
自宅でできるドリルとしては、壁にお尻や後頭部を軽くつけてストロークする練習があります。これにより、体の回転や前後の動きを物理的に制限し、安定した軸でストロークする感覚を養うことができます。
これらのドリルは地味に感じるかもしれませんが、継続することで無意識レベルで正しい動きが身につき、コース上での不要な体の動きを減らすことができます。
パタータイプと「右プッシュ」の意外な関係
「パターが右に出る」というミスは、実は使っているパターの特性と自分のストロークのミスマッチが原因となっていることあります。
ここでは、パターのネック形状やヘッドタイプが、どのように右プッシュを助長、あるいは抑制するのか、その意外な関係性について解説します。
トゥハングとは?
「トゥハング」とは、パターを水平に支えた際にヘッドのトゥ(先端)が下を向く度合いのこと。トゥハングが大きいほどフェースが開閉しやすくアーク軌道向け、小さい(またはゼロ=フェースバランス)ほど開閉しにくくストレート軌道向けとされます。自分のストロークと合わないとミスの原因になります。
トゥハング大パター × 抑えた開閉 = フェースの戻り遅れ?
L字型パターやクランクネックでも特にトゥハングが大きい(ヘッドのトゥ側が大きく下を向く)パターは、本来、ストローク中にフェースが自然に開閉するアーク軌道の人に適しています。
しかし、もしあなたがこのようなパターを使いながら、意識的に「フェースの開閉を抑えて真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す」ストロークをしようとすると、問題が起きやすくなります。
トゥハングが大きいパターは、その設計上、インパクトでフェースをスクエアに戻すためにはある程度のフェースローテーションが必要です。
この自然な動きを抑制しようとすると、インパクトでフェースが開き気味(ターゲットの右を向いた状態)のままボールにコンタクトしやすくなり、結果としてボールは右へプッシュアウトしてしまうのです。
これは、パターが持つ「フェースを返そうとする力」と、ゴルファーの「返さないようにする意識」が衝突し、フェースの戻りが遅れてしまうことが原因と考えられます。
心当たりのある方は、パターの特性に合わせた自然なフェースローテーションを少し許容してみると、改善するかもしれません。
フェースバランス × インサイドアウト軌道 = プッシュ誘発?
一方、フェースバランス(パターを水平に置いたときフェースが真上を向く)のマレットパターや一部のセンターシャフトパターは、一般的に真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出すストロークタイプに適しているとされます。
これらのパターは、フェースローテーションを最小限に抑え、直線的な動きをサポートするように設計されています。
しかし、このようなフェースバランスのパターを使いながら、あなたがもし過度なインサイドアウト軌道でストロークしている場合、これも右へのプッシュアウトを誘発する可能性があります。
インサイドからヘッドを入れ、インパクト後にターゲットラインの右方向へヘッドを振り抜こうとする意識が強すぎると、インパクトでフェースが開いたままボールを捉えやすくなるのです。
フェースバランスのパターは、本来フェースの開閉を抑える設計ですが、それはあくまでターゲットラインに対してスクエアな軌道を前提としています。
不適切な軌道と組み合わせると、意図しないミスにつながることを理解しておきましょう。ストローク軌道の見直しも重要です。
ライ角がフラットすぎる?応急処置とフィッティング
パターのライ角(地面に対するシャフトの角度)が、あなたのアドレスに対してフラットすぎる(トゥ側が下がりすぎている)場合も、右プッシュの一因となり得ます。
ライ角がフラットだと、アドレスで自然とボールから離れて立つか、手元を低く構えることになり、結果としてインパクトでフェースのトゥ側が地面に引っかかりやすくなったり、フェースが開いて当たりやすくなったりします。
応急処置として、ボールに少し近づいて立ってみたり、グリップを少し短く握ってみることで改善するケースもありますが、これは根本的な解決にはなりません。
もし、構えたときにパターのソールがトゥ側だけ接地し、ヒール側が浮いているように感じるなら、ライ角が合っていない可能性が高いです。
最も確実なのは、ゴルフショップや工房で専門家によるライ角診断と調整(フィッティング)を受けることです。適切なライ角に調整することで、アドレスが自然になり、フェースをスクエアに保ちやすくなり、右へのミスが劇的に改善することがあります。
自分に合ったパターを見つけることは、パッティング上達の重要な近道です。
心で勝つ!「右へのミス」恐怖克服メンタル術
「また右へ行くかも…」その不安が、あなたのストロークを硬くしていませんか?
技術的な改善と同時に、右へのミスに対する心理的なアプローチも、パット成功には不可欠です。ここでは、恐怖心を自信に変えるための具体的なメンタルコントロール術と、ルーティンの活用法をご紹介します。
ネガティブ思考を断つ!「プロセス集中」のすすめ
右へのミスを繰り返すと、「どうせまた右だ」というネガティブな思考に囚われがちです。
しかし、この思考こそが、さらなるミスを誘発する最大の罠の一つ。この悪循環を断ち切るポイントは、結果(カップインするかどうか)ではなく、自分がコントロールできる「プロセス(準備とストロークの実行)」に意識を集中することです。
具体的には、アドレスに入る前に深呼吸をし、目標ラインを明確にイメージしたら、あとは「正しいセットアップをする」「練習通りのリズムでストロークする」「インパクトまでボールから目を離さない」といった、一つひとつの動作に意識を向けるのです。
結果への執着を手放し、目の前の一打のプロセスに全力を尽くすことで、余計な力みが抜け、体は自然とスムーズに動きます。
万が一ミスをしても、「なぜ右に行ったのか」を技術的に振り返るだけで、感情的に自分を責めるのはやめましょう。
「次はこうしよう」と前向きな課題設定につなげることが大切です。
プレッシャーに強くなる!「一貫ルーティン」の威力
プレッシャーのかかる場面でも、普段通りのパフォーマンスを発揮するためには、一貫したプレショットルーティンが必要です。
毎回同じ手順を踏むことで、思考が整理され、心が落ち着き、無意識の領域で体がスムーズに動く「ゾーン」に近い状態に入りやすくなります。
ルーティンに決まった形はありませんが、例えば、①ボールの後方からラインを読む、②カップとボールを結ぶ中間スパットを見つける、③素振りで距離感と振り幅を確認する、④アドレスに入り、フェースをスパットに合わせる、⑤深呼吸をしてからストロークを開始する、といった要素を組み合わせ、自分にとって最も心地よく、集中できる手順を見つけましょう。
重要なのは、練習の時からこのルーティンを毎回必ず行うことです。
練習で体に染み込ませることで、本番の緊張した場面でも、ルーティンが「お守り」のような役割を果たし、普段通りの安定したストロークを引き出す助けとなります。
ミスを成長の糧に!「ポジティブ自己対話」と目標設定
右へのミスが続くと、どうしても自分を責めたり、ネガティブな言葉を投げかけたりしがちです。
しかし、このような「ネガティブな自己対話」は、自信を失わせ、さらなるミスを招きます。克服のためには、意識的に「ポジティブな自己対話」を心がけましょう。
例えば、ミスをしたら「またやった…」ではなく、「OK、今の原因はフェースの開きだな。次はここを意識しよう」と客観的に分析し、前向きな課題に変換します。
ナイスパットが出たら「よし、今の感覚だ!」と自分を褒め、成功体験を脳に刻み込みましょう。
また、達成可能な小さな目標を設定し、それをクリアしていくことも自信回復に繋がります。例えば、「今日の練習では、1mパットを5球連続で入れることを3セット行う」といった具体的な目標です。
小さな成功体験を積み重ねることで、「自分はできる」という自己効力感が高まり、コース上でのプレッシャーにも強くなっていきます。ミスは成長の機会と捉え、常に前向きな姿勢でパッティングに取り組みましょう。
Q&A:「パター 右に出る」悩みに回答
「パターが右に出る」という悩みは尽きないもの。
ここでは、皆さんから特によく寄せられる代表的な質問や、長年の疑問について、Q&A形式で分かりやすく、そしてプロの視点も交えながら具体的にお答えします。
- ショートパットで特に右に出やすいのですが、なぜですか?
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短い距離ほど「絶対に入れたい」という気持ちが強くなり、無意識に力みが生じやすいのが主な原因です。
この力みが手先をこわばらせ、インパクトでフェースが開いたり、スムーズなストロークを妨げたりします。
また、距離感が重要ではないと思い込み、方向性だけに意識が集中しすぎる結果、かえってストロークが硬直し、フェースコントロールが疎かになることも。
対策としては、短い距離でもロングパットと同じように、丁寧なルーティンを行い、リラックスしてストロークすることを心がけましょう。「入れる」ことより「良いストロークをする」ことに集中するのがポイントです。
- 練習グリーンでは真っ直ぐ行くのに、コースだと右に出るのはなぜ?
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主な原因は、練習グリーンと実際のコースとの環境の違い、そしてプレッシャーの有無です。
練習グリーンは比較的平坦で、同じ場所から何度も打てるため、無意識のうちにラインや距離感に慣れてしまいます。しかし、コースでは一打ごとに傾斜や芝目が異なり、より精密な状況判断が求められます。
また、スコアがかかる本番では、「ミスしたくない」というプレッシャーから、練習通りに体が動かなくなることも。
対策としては、練習時から様々なライからのパッティングを意識し、プレショットルーティンを一貫して行うことで、本番に近い状況を作り出すことが重要です。
- 右プッシュ防止におすすめの練習器具は?
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右プッシュ防止に役立つ練習器具はいくつかあります。
まず、ライン付きのパターマットは、フェースをスクエアに合わせ、真っ直ぐストロークする基本を養うのに最適です。アライメントスティックも、スタンスや肩のラインを確認し、正しいセットアップを身につけるのに役立ちます。
フェースコントロールを向上させるには、パターヘッドがギリギリ通る幅でティーを2本立てる「ゲートドリル」が効果的。パッティングレールや、フェースに装着するタイプのミラーも、ストローク軌道や目の位置を確認するのに便利です。
自分に合った器具を見つけ、継続して使うことが大切です。
- ラウンド中の応急処置、何かありますか?
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ラウンド中に突然右プッシュが止まらなくなった場合、いくつか試せる応急処置があります。
まず、ボールの位置を通常より少し左足寄りに置いてみましょう。これにより、インパクトでフェースが閉じるタイミングを作りやすくなります。
次に、スタンスをほんの少しクローズ(右足を少し後ろに引く)にしてみるのも、体の開きを抑える効果が期待できます。
また、グリップを少しウィークグリップ気味に握り直すことで、右手の使いすぎを抑制できる場合もあります。
ただし、これらはあくまで応急処置です。ラウンド後に根本的な原因を見つけ、練習で修正することが最も重要であることを忘れないでください。
まとめ:「パター 右に出る」悩みは必ず克服できる
「また右に…」そんな悔しい思いは、もう終わりにしましょう。
この記事では、「パターが右に出る」という多くのゴルファーが抱える悩みに対し、その根本原因から具体的な修正ステップ、効果的な練習ドリル、そしてメンタルアプローチに至るまで、あらゆる角度から解決策を伝えてきました。
大切なのは、正しい知識を身につけ、自分に合った練習を継続し、そして何よりも「自分はできる」と信じる心です。
今回ご紹介した内容は、決して特別なことではなく、一つひとつ丁寧に取り組めば、誰でも実践可能なものばかりです。
すぐに結果が出なくても、焦る必要はありません。日々の小さな積み重ねが、やがて大きな自信となり、あなたのパッティングを確実に変えていきます。
この記事が、右へのミスに悩むあなたにとって、その確かな一歩を踏み出すための道しるべとなれば幸いです。
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