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テーラーメイド「スパイダー GTX(2023年)」を徹底解説

Spider GTX(2023)の写真

2023年に登場したテーラーメイド「スパイダー GTX」。その抜群の安定性と寛容性は、多くの人から注目を集めています。

しかし、「本当に高性能なの?」「打感や転がりは自分に合う?」「他の人気パターと比べてどう?」「どのモデルを選べば後悔しない?」といった疑問や不安を抱えている方もいるでしょう。

ご安心ください。この記事が、あなたのそんな疑問をすべて解消します。

「スパイダー GTX」の核心技術はもちろん、歴代スパイダーシリーズやPGAツアーでも人気の競合モデル(オデッセイ、スコッティキャメロン、PINGなど)との徹底比較も行います。

さらに、プロからアマチュアまで、数多くのゴルファーによるリアルな試打評価を掲載。あなたのストロークタイプや悩みに合わせた最適なネック形状やモデルの選び方、そして気になる価格情報に至るまで、「スパイダー GTX」に関するあらゆる情報を徹底的に解説。

この記事を読み終える頃には、スパイダー GTXがあなたのパッティングを劇的に改善し、スコアメイクに革命をもたらす”運命の一本”となるか、その答えが明確になっているはずです。

目次

スパイダーGTXのスペック・構造・特徴

Spider GTX(2023)の写真
引用:スパイダーGT X ブラック シングルベンド パター|TaylorMade Golf
     
メーカーTaylorMade
シリーズSpider
発売日2023年3月10日
新品価格50,600円
中古最安値16,000円
中古最高値30,000円
ヘッドの形状ネオマレットタイプ
ヘッドの素材ボディ: 6061アルミニウム、バックウェイト(安定バー): ステンレススチール (154g)、フェースインサート: Pure Roll² (TPUとアルミニウムビームの一体成型)
ヘッドの重量350g
ネックの形状トラスホーゼル (TM1: ヒール側、TM2: センター側) 、シングルベンド (フェースバランス) 、スモールスラント (軽いトウハング) 、センターシャフト (フェースバランス)
シャフトの素材スチール
ロフト角3.0度
シャフトの長さ33インチ、34インチ、35インチ

スパイダーGTXの特徴は、「大型バックウェイト+Pure Roll² インサート+True Pathサイトライン」の組み合わせにより、方向性・距離感・安定性のすべてにおいて高次元のパフォーマンスを狙ったパターと言えます。

最新Spiderの位置づけと基本構造

2023年モデル 「Spider GTX」は、スパイダーシリーズの中でも安定性を追求したネオマレット型パターです。

6061アルミ素材の軽量ボディに154gもの大型バックウェイト(安定バー)を搭載し、ヘッド後方に質量の45%を集中配置しています。

これにより重心が深くなり慣性モーメント (MOI) は5,300超という歴代スパイダー最高クラスの値を実現しています。MOI向上でオフセンターヒットのブレを最小化し、抜群の直進安定性と許容性を発揮します。

ヘッド重量は約350g前後で、シリーズ従来比でも後方重心化・ヘッド重量アップが図られており、ストローク時には非常にどっしりとした安定感があります。

Pure Roll² インサートの打感と転がり

フェースにはテーラーメイド独自開発の 「Pure Roll² (ピュアロール・ツー)」 インサートを搭載。

黒いTPU(熱可塑性ウレタン)とシルバーのアルミニウムビーム8本を45度下向きに一体成型した3mm厚インサートで、インパクト時にビームが撓むことで順回転(トップスピン)を向上させ、ボールが直ちにスムーズな順回転で転がり出す設計です。

初代ピュアロールと比べるとややしっかりめの硬度に調整されており、ソフトな打感を保ちつつインパクト時の「心地よいカチッ」という打音も両立しています。

実際に打つとインサート特有の柔らかさの中にも芯がある感触で、「フェース中央でヒットした時のソリッドな手応え」と「ヒットが多少ズレても転がりとボールスピードが安定」する寛容さを備えています。

このインサートのおかげで、スパイダーGTXはオフセンターヒット時の距離ロスが少なく、スイートスポット付近とヒール・トゥ側で転がりの差が出にくい=距離感が合わせやすいと評価されています。

True Pathアライメントとヘッドデザイン

引用:スパイダーGT X ブラック シングルベンド パター|TaylorMade Golf

アドレス時の構えやすさにも配慮されており、スパイダーGTXにはシリーズ伝統の「True Path™ アライメント」システムが採用されています。

ヘッド上面にはボール幅と同等の太いホワイトライン (逆矢印形状)が描かれ、中央に細い黒線を組み合わせた高コントラストのガイドラインが配置。

これによりボールをしっかり包み込むようにフレーミングしつつ、ターゲットに対して正確にフェースを合わせやすくなっています。構えたときに自然と打ち出しラインがイメージしやすく、方向の迷いを減らしてくれるでしょう。

ヘッド形状自体は、従来モデルSpider TourやSpider Xの意匠を受け継ぎつつ、ウイング部分に流麗な曲線とシャープなエッジを融合させたモダンなデザインです。

特に後方の大型安定バー(ウエイト)が左右に張り出したシルエットは一見近未来的ですが、ボール後方にしっかりと重量感のあるフレームが見えることで精神的な安心感も与えてくれます。

「フェラーリのリアビューを見ているようだ」と表現するユーザーもいるほどで、所有欲をくすぐるカラーバリエーションと相まってアドレス時の満足感は高いようです。

バリエーション

スパイダーGTXは標準長さ33/34/35インチ展開(右用。一部カラー・ネックは長さ限定)で、Hosel (ネック) 形状は前述のトラスヒール(小スラント相当)、トラスセンター、シングルベンド、スモールスラント、センターシャフトと複数用意されています。

一般的にシングルベンドとセンターシャフトはフェースバランス(ほぼトウハング0°)でストレートストローク向き、小スラント(スラントネック)は約30°前後のトウハングで緩やかなアークストローク向きという棲み分けです。

日本ではトラスホーゼル仕様 (TM1=ヒール側、TM2=センター)の33・34インチが主に流通しました。カラーはブラック、シルバー、レッド、アイスブルー、ホワイト、ピンクなど6色以上がラインナップされ、好みに応じて選べます(※ホワイトは日本では一部限定ストアのみの取り扱い)。

グリップはツアーでも使用率の高いSuperStroke Pistol GTR 1.0が標準装着(約82g)で、手にしっくり馴染む太さと安定感があります。全モデル共通で専用ヘッドカバーが付属します。

Spiderシリーズ内での各モデル比較

2022年から2023年にかけて、テーラーメイドはSpiderシリーズに多彩なモデルを投入しました。

Spider GTXはその最新作であり、「Spider Tour/Xの良さを継承しつつ安定性をさらに追求したモデル」と位置づけられています。

一方で、前作Spider GTや兄弟モデルのSpider GT Max, GT Rollback, GT Notchback, GT Splitbackなどもそれぞれ特徴的な性能を持ちます。

下表にSpider GTXを含む主なSpider GTシリーズモデルのスペックをまとめます。

スクロールできます
モデル名ヘッド形状ヘッド重量(素材)慣性モーメント (MOI)重心位置特徴的テクノロジーネック形状 (トウハング)定価(税込)※JP目安
Spider GTX (2023)大型ウイング型マレット約345g(アルミボディ+154gステンレス後方バー)5,300以上(シリーズ最高クラス)非常に深い(後方45%重量)True Pathアライメント、PureRoll²、トラスホーゼルシングルベンド(0°)、スモールスラント(~20-30°)、センター(0°)50,600円(公式)
Spider GT (2022)中型ウイング型マレット約320g(アルミ145gトップ+90g×2タングステン翼)約5,000(Spider X相当)深め(左右周辺82%重量)ショートサイトライン、PureRoll²ショートスラント(~21°)、シングルベンド(0°)44,000円(公式)
Spider GT Max (2023)大型ウイング型マレット約350g前後(アルミボディ+可変40g×2タングステン)※可変(重心前配置でMOI低下、後配置で最大)調整可(前=浅い、後=深い)可変ウェイト(CG・慣性調整)ショートスラント(~?°)、シングルベンド(0°)55,000円前後(推定)
Spider GT Rollback (2022)半円形フルマレット約350g(アルミ232g前部+80gタングステンバー)非公表(高MOI)深め(後方タングステンバー集中)曲面トップアライメントショートスラント(~?)、他(推定)44,000円(公式)
Spider GT Notchback (2022)ハーフマレット約340g(アルミボディ+86g×2タングステン両端)非公表(ミッドマレット最高)浅め(CG前方21mm)前重心・高MOI両立設計ショートスラント(~30°)、他44,000円(公式)
Spider GT Splitback (2022)小型スプリットウイング約350g(303ステンレス鋳造+ウレタンフォーム)非公表(中~高)標準(重心やや浅め)オール金属+振動吸収フォーム、TruePathショートスラント(~25°)、他44,000円(公式)

こうして見ると、Spider GTXの突出したMOI値と深い重心が際立っています。

一方、Spider GT Maxは調整可能機構を搭載するため重量バランスが特殊、Notchbackは重心を敢えて浅くして操作性を加味、Splitbackは素材変更で独自路線…と、それぞれ尖ったコンセプトを持っているのがわかります。

自分のストロークタイプや好みに応じてモデルを選べるのがSpider GTシリーズの魅力と言えるでしょう。

Spider GT(無印)

引用:スパイダー GT ブラック シングルベンド パター|TaylorMade Golf

2022年登場。シリーズの基本形となるウイング型マレット。特長は「4:2:4の重量配分」=ヘッド中央を軽量化し、左右翼に90gずつの重量を配した構造。

6061アルミの145gトッププレート+90g×2のタングステンサイドウェイトで、ヘッド全体の82%もの重量を左右周辺部に配置することで高慣性モーメントを実現しています。

MOI値はSpider Xと同等の5,000前後に達し、非常に安定したストロークが可能です。フェースにはPure Roll² インサートを採用し、より硬めで弾きの良い打感に調整。

ネックはショートスラント(約21°トウハング)とシングルベンド(フェースバランス)の2種。

要はSpider GTXの前身的モデルで、GTXではこのSpider GTに大型バックウェイトを追加したものと捉えると分かりやすいでしょう (GTXはGTのボディ形状を概ね踏襲しつつ、新色追加と後方加重で安定性を強化したモデルです)。

Spider GTX

前述の通り154g後方ウェイトで慣性モーメント5300超を実現した最安定モデル。

True PathアライメントやPure Roll² インサートなど基本機能はSpider GTと同様ですが、重量配分がさらに後方寄りになったことで、転がりの安定感と打感の違いが生まれています。

重量を深く寄せたことで、転がりのフィーリングは「Spider X/Tourに近い感覚」に仕上がっているとの声もあります (Spider GTでは重量が左右にあり前後バランスが異なるため、GTXの方が従来Spiderらしいしっかり感があるようです)。

標準カラーは6色以上、ネック3種以上、長さ33~35インチ (プラスArmlock 40/42インチ)とシリーズ最多のバリエーション。価格は後述するように税込約5万円と他モデルよりやや高めです。

Spider GT Max

スパイダー GT MAX トラスパターの写真
引用:スパイダー GT MAX トラスパター| TaylorMade Golf

2023年登場の可変ウェイト搭載モデル。

ヘッド後部に2つの40gタングステンウェイトがスライド配置され、前方・中央・後方の溝に付け替えることで重心位置やトウハング(フェースバランス度合)を調整可能な革新的パターです。

ウェイトを前方にすればCGが前に寄りフェースローテーションが増え、ウェイトを後方にすればCG深くなり安定性重視となる設計。

例えば「右に外す(プッシュする)」 傾向がある人はウェイトをヒール寄り前方にして捕まりを良くし、「左に外す(引っかける)」人はウェイトを後方に下げてフェース開閉を穏やかにする、といったストローク癖へのカスタマイズが可能です。

TaylorMadeは多数の人でテストを行い、前後のウェイト位置でインパクト時のフェース角に有意な変化が出ることを確認しています。

ヘッド素材や形状はSpider GTXに近いモダンウイングデザインで、アルミ削り出しボディ+スチールソール+タングステン可変ウェイト。仕上げはシルバー+黒(可動部)で高級感があります。

ネックはショートスラントとシングルベンドの2種、長さ34・35インチ展開。標準価格はSpider GTXと同程度で、調整レンチと専用ヘッドカバーが付属します。

「自分のストロークにパターを合わせ込める」画期的モデルとして注目されましたが、可変機構ゆえの重量配分の違いから打感や打音は若干GTXと異なる可能性があります(可動部があるためわずかにインサート周辺の振動吸収性が変化する等)。

ただ総じて基本設計はGTX譲りで高MOIを維持しており、細かなチューニングが楽しめる上級者向けの一品です。

Spider GT Rollback

Spider Rollbackの写真

引用:スパイダー GT ロールバック シングルベント パター | TaylorMade Golf

2022年発売。形状は半円形の*ハーフムーンマレットで、中央上面がボール幅サイズに隆起した特徴的なトップデザインです。

構造的には232gのアルミ前部キャップと、後方周囲を囲む80gタングステンロールバーで構成され、周辺重量配分による高い安定性を追求しています。

Spider GT (ウイング型)と比べるとより伝統的な丸みのあるフルサイズマレットですが、真後ろに伸びたタングステンバーのおかげでMOIは非常に高く、高慣性+易しいアライメントが魅力です。

トップの白い曲線部分と黒いフランジのコントラストにより、ボールを包み込むようにセットしやすくなっています。ネックはおそらくショートスラント(軽いアーク向き)とシングルベンドが設定され、適合ストロークも幅広いです。

MOI値の公表はありませんが、Spider X並みかそれ以上との推測もあり、サイズ感と安定性のバランスで人気のモデルです。

Spider GT Notchback


引用:スパイダー GT ノッチバック スモールスラント パター | TaylorMade Golf

2022年発売。Spiderシリーズでは珍しいハーフマレット(ネオマレット)型で、従来のピン型パターを少し大きくし後方にくぼみ(ノッチ)を設けたような形状です。

最大の特徴はミッドサイズマレットとして史上最高MOIを実現した点で、ヒール・トゥの外周部に合計86gものタングステンウェイトを配置しています。

一方で重心位置はシリーズ中もっとも前方寄り(フェースからわずか21mm後方)で設計され、フェースバランスながら操作性(フェースローテーションのしやすさ)も両立しています。

重心が前寄りだと打ち出し方向のばらつき(ディスパージョン)が抑えやすく、逆に後ろ寄りだと距離感安定に有利とされますが、Notchbackは前後バランスの「美味しいところ取り」を狙った形です。

実際Demkowski氏(テーラーメイド開発者)も「CGを前に出しすぎるとスクエアに戻しやすいが、後ろすぎると戻しにくい。31mmくらいが理想だが、このNotchbackは21mmとより前寄りなので自然なフェース回転が得られる」旨をコメントしています。(参考:TaylorMade Spider GT putters: What you need to know | Golf Equipment: Clubs, Balls, Bags | GolfDigest.com

ネックはショートスラントがあり、その場合トウハング約30°でアークストロークにも対応(※センターシャフトやシングルベンド仕様も一部あった模様)。

軽量アルミボディ+86gタングステン×2の多素材構造で高MOIとしつつ、ヘッドサイズ自体はコンパクトなので「見た目以上に寛容性が高いパター」として評価されています。

価格は約4万円。Spider GTXと比べると、より伝統的な形状で構えやすく、それでいてMOI性能は抜群という隠れた人気モデルです。

Spider GT Splitback

引用:スパイダー GT スプリットバック スモールスラント パター | TaylorMade Golf

2022年発売。こちらは一転してオールステンレススチール製 (303SS)の小型スプリットウィング型パターです。

左右に広がった翼(ウィング)を持つ点はスパイダーらしいですが、素材が重めのステンレスなのでヘッド自体の慣性モーメントはアルミボディの他モデルほど極端には高くない模様。

ただし内部にウレタンフォームを充填し打感を調整している点がユニークで、打音・フィーリングを重視する人に向けたモデルと言えます。

True Pathのアライメントデザインも組み込まれ、白いベースに黒ライン+後方の矢印型で狙い易さも確保。ショートスラントネック装着時は約25°のトウハングが生まれるので若干アーク向きでもあります。

価格は約4万円。Spider GTXや他GTシリーズと比較すると、操作性や打感の面で独自性があり、「芯でヒットした時の打音が心地よい」「小ぶりで構えやすい」といった声があります。

MOI最優先ではなく適度なサイズ感・安定性・フィーリングのバランスを求める人には、このSplitbackも選択肢になるでしょう。

他社主要マレットパターとの比較(オデッセイ、PING、スコッティ)

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比較項目TaylorMade Spider GTXOdyssey Ai-ONE #7SPING Tomcat 14Scotty Cameron Phantom Xシリーズ (主にX 12)
メーカーTaylorMadeOdyssey(キャロウェイ)PINGScotty Cameron
ヘッド形状/特徴大型マレット、ウイング型、後方大型安定バー (154g)角型ウイングマレット (#7形状)、モダンデザイン大型マレット、ヒール・トゥ方向に大きく伸びた形状大型マレット (X 12はバットマンのようなシルエット)
フェース/インサートPure Roll² インサート (TPU + アルミニウムビーム)Ai設計インサート (アルミバックプレート + White Hotウレタン打面)アルミミーリング加工フェース (フェース一体型)6061アルミニウムフェース・ソール一体型ブロック (X 12) / 6061アルミニウムフェースインサート (X 7.5)
打感/打音の傾向ソフトな中に適度な硬さ、心地よい「コツッ」というクリック音非常にソフトで静かな打感 (White Hot特有)硬めのフィーリング、やや高めで「カンッ」というしっかりした音 (アルミ素材特有の軽さも)アルミフェースで柔らかめだがクリスプなフィードバック、心地よいソフトさとカチッとした音の中間 (X 12、振動吸収材)
主なテクノロジー/特徴大型バックウェイト、True PathアライメントAI設計インサートによるボールスピード均一化マルチマテリアル構造 (アルミボディ+304ステンレスソール)、低重心・深重心マルチマテリアル構造 (アルミ+ステンレスウイング)、精密削り出し、振動吸収材 (X 12)
慣性モーメント (MOI) / 安定性5300超 (シリーズ最高クラス)、抜群の直進安定性と許容性非常に高いと推測 (正式MOI値非公表)、オフセンターヒット時の距離バラつき極小化超高MOI設計 (公表値なしだが最高レベルの寛容性)Phantom X 12はシリーズ最高MOI、非常に高い直進性
アライメントTrue Pathアライメント (太いホワイトライン+中央黒線)ダブルライン (モデルにより3本ラインも)滑走路スタイル”のドットライン (ツインライン+点線)トップライン上の3つの小ドットとフランジ後方のライン (X 7.5)
ネック形状/ストロークタイプ多彩 (シングルベンド:ストレート、スモールスラント:緩アーク、トラスTM1/TM2など)ショートスラントネック (トウハング約40°、アークストローク向き)センター寄りスラント(ミッドベンド、ほぼフェースバランス、ストレート向き)X 7.5: 小スラント(約35°トウハング、アーク)。X 12: シングルベンド(フェースバランス、ストレート)
ヘッド重量 (目安)約350g (標準)360g380g (非常に重い)X 7.5: Spider GTXよりやや軽いイメージ。X 12: Spider GTXと同等かやや重いイメージ (ウェイト調整可)
価格帯 (目安)新品実勢: 約3万円~ (定価 約5万円)新品実勢: 約3.3~3.7万円 (定価 約4.6万円)新品実勢: 約2.6万円~ (定価 約3.3万円)新品定価: 約6~7万円以上
主な強み/こんな人におすすめ強み: 抜群の安定性、多彩なネック・カラー、カスタム性。<br>おすすめ: 方向性と安定性最優先、ショートパット改善、ソフトさとソリッドさ両立の打感強み: 非常にソフトな打感、AIインサートによる距離安定性、価格の手頃さ。<br>おすすめ: ソフトな打感と静かな音を好む、価格重視、#7形状が好き強み: 超高MOIによる寛容性、重ヘッドによる安定感、コストパフォーマンス。<br>おすすめ: とにかく曲げたくない、しっかりした打感が好き、コスパ重視強み: 精密な削り出しと打感、ブランド力、所有欲、重量調整機能(一部)。<br>おすすめ: 道具の品質・伝統・フィーリング重視、予算に余裕がある、スコッティブランドが好き

Spider GTXが属する大型マレットカテゴリーは、他メーカーからも優れたモデルが多数発売されています。

特に注目の競合としてOdyssey Ai-ONE #7S, PING Tomcat 14, Scotty Cameron Phantomシリーズが挙げられます。それぞれMOI性能・打感・価格帯などSpider GTXと比較しながらポイントを見てみましょう。

Odyssey Ai-ONE #7Sとの比較

オデッセイの「AI-ONE #7S」 (エーアイワン #7S)は2023年に登場した先進マレットです。

往年の#7(通称“七番”)形状を踏襲した翼のある角型マレットで、アライメントが非常に取りやすいモダンなデザイン。

最大の特徴はAI設計インサートと呼ばれるフェースで、アルミ削り出しのバックプレートに伝統のWhite Hot urethane (ホワイトホット・ウレタン)打面を一体成型した新構造です。

人工知能によって最適化された裏面形状により、フェース全体でボールスピードの均一化を図っており、オフセンターヒット時でも転がり距離のバラつきを極小化しています。メーカーによれば、オフセンターのパットでも従来比21%もカップに寄る(入る可能性が高まる)というデータもあるほどです。

打感はWhite Hot特有のソフトさを維持しながら、アルミプレート併用で適度な芯のあるフィーリングです。

スペック面では、ロフト3°/ライ70°とSpider GTXと同じ基本値。ヘッド重量は360gとSpider GTXよりやや重く設定され、慣性モーメントも非常に高いと推測されます(正式MOI値は非公表ですが高MOIウィング形状)。

ショートスラントネック採用でトウハング約40°を持ち、フェースの開閉が自然に行えるためストロークに適度なアークを描く人にマッチします。

一方、Spider GTXはネック次第でフェースバランスにもできますが、基本デザインはやや大型で直線的。#7Sは角ばったフォーク型の爪でボールを挟む見た目かつ深いブルーPVD仕上げの高級感が特徴です。

価格面では、Odyssey Ai-ONEシリーズは定価税込46,200円前後ですが実売3.3~3.7万円程度とSpider GTXより安価に入手できます。標準シャフトは新開発のStroke Lab 90 (90g台の軽量スチールシャフト)で、従来のストロークラボのような複合ではなく全体を軽量化しつつ手元側の径を太くして剛性を上げ、ストローク中の余分なねじれを抑える工夫がされています。

Spider GTXとの比較まとめ
打感の傾向としては、Spider GTXが「ソリッドさもある中程度の硬さ+クリック音」なのに対し、Odyssey #7Sは「非常にソフトで静かな打感」に近いです。

寛容性ではどちらもトップクラスですが、Ai-ONEのAIインサートは特に距離感のバラツキ低減に寄与し、SpiderのPureRoll²も順回転で滑りを減らすというアプローチの違いがあります。MOIや直進性は互角と見てよいでしょう。

アライメントはどちらも優秀で、Spider GTXの太い白ライン+黒線か、Odyssey #7Sのダブルライン(モデルにより3本ラインのものも)かは好みです。価格重視ならOdysseyの方が手頃ですし、打感フィーリング重視でもOdysseyは人気です。

一方、Spider GTXはより多彩なカラーやカスタムオプション(MySpider)があり、自分好みの見た目に仕上げる楽しさがあります。またSpider GTXはネック・長さの選択幅も広く、ストレートにストロークする人向けにセンターシャフトやシングルベンドもあるのは強みです。

PING Tomcat 14との比較

PINGの「Tomcat 14」 (トムキャット14)は、極限の高慣性モーメントを追求した大型マレットとして知られます。

2022年発売のヘプラーシリーズ後継モデルで、特徴はマルチマテリアル構造による超高MOI設計です。軽量なアルミニウムボディに分厚い304ステンレス製ソールプレートを結合し、重心を可能な限り低く深く配置。

さらにヒール・トゥ方向に大きく伸びた形状で慣性モーメントを最大化しています。具体的なヘッド重量は380gと非常に重く、Spider GTX(約350g)を上回るヘビー級です。この重さ自体が直進安定性に寄与し、オフセンターヒットでもヘッドがブレにくくなっています。

慣性モーメント値は公表されていませんが、実際打った感触では「あからさまに寛容で曲がらない」という評価が多く、あるレビューでは「Tomcat 14は最高レベルに寛容なマレットパターの一つ」と紹介されています。

打感・インサート面では、Tomcat14はフェース一体型のアルミミーリング加工フェースを採用しています。

ソフトインサートではなく金属フェースゆえ、打音はやや高めで「カンッ」というしっかりした音。ただしアルミ素材特有の若干軽い打感もあり、「音は控えめでミュート気味だが打感は硬め」という声もあります。

PINGは一部モデルでPEBAXインサート (樹脂)を用いて柔らかい打感にしていましたが、Tomcat14はより”Firm” (硬め)なフィーリングに振ってあり、インパクト時のボール初速も速めです。実際GolfMonthly誌のレビューでも「本モデルのフェースは新PINGパター中もっとも打感が硬く、わずかにボールスピードが速い」と評されています。

アライメントデザインにも工夫があり、Tomcat14の上部には*滑走路 (runway) スタイル”のドットライン*がボールまで一直線に伸びています。

ボール幅に合わせたツインラインと点線が特徴で、構えたときにターゲットラインを直感的に捉えられる視覚効果があります。Spider GTXの太線アライメントとは異なるテイストですが、こちらも非常に実用的です。

ネック形状はセンター寄りのスラント(ミッドベンド)になっており、ほぼフェースバランスのためストロークタイプはストレート向きです (PING独自のフィッティング表記ではストローク適合「Straight」とされています)。

Tomcat14は長尺(37.75インチ)のカウンターバランスモデルも展開されており、17インチの重グリップを装着することで手首の無駄な動きを抑える設計もラインナップされました。

価格は日本で税込定価33,000円前後とSpider GTXより安めで、現在では新品実売2.6万円前後まで下がっています。コストパフォーマンスは非常に高く、予算重視なら有力です。またPING製品は日本正規2年保証が付いていることも安心材料です(※テーラーメイドも2年保証ですが要購入証明)。

Spider GTXとの比較まとめ
Tomcat14は「重くてとにかく曲がらない、ミスに寛容なパター」という点でSpider GTXと共通します。MOI性能はおそらくTomcat14の方が僅かに上かもしれませんが、両者とも実用上は十分すぎる安定性です。

違いは打感と重量配分の哲学でしょう。Spider GTXはインサートのおかげでミドルレンジのソフトさ+適度な弾きがあり、Tomcat14は金属フェースでよりヒッティングな感触です。

重心設計も、Spider GTXは上部のトラスで慣性モーメントを活かしつつ操作性も確保、一方Tomcat14は下部重量集中で低重心化し直進安定を極めるといった差があります。

加えてSpider GTXは見た目のカラーやデザインバリエーションが豊富ですが、Tomcat14は機能一点張りで見た目は黒×オレンジの実用一点張りな雰囲気です。このあたりは好みが分かれるところ。

ともに高性能ゆえ、「とにかく入るパターが欲しい」という人にはどちらもおすすめできますが、柔らかい打感やカスタム性を求めるならSpider GTX、打音含めた打撃感やコスパを重視するならTomcat14といった選び方が考えられます。

スコッティ・キャメロン Phantomシリーズとの比較

高級パターの代名詞的存在であるScotty Cameron (スコッティ・キャメロン)も、近年は「Phantom X」シリーズという高MOIマレット群を展開しています。

Spider GTXと競合しそうなモデルとしては、Phantom X 7.5やPhantom X 12あたりが挙げられます。簡単に特徴をまとめ、Spiderとの違いを見ます。

Scotty Cameron Phantom X 7.5

オデッセイ #7系統の“ツノ型”デザインに近い、小型ウイングマレットです。303ステンレスのソリッドなボディに6061アルミニウムのフェースインサートを組み合わせ、ヒール・トゥにウェイトを配したマルチマテリアル構造。

トウ側に小さなスラントネック (ジェットネック)を備え、約35°程度のトウハングがあるためアークストロークに適した設計です。サイズはSpider GTXより一回り小さめですが、重量配分で高い安定性を確保しつつ、スコッティらしい精密な削り出し打感と美しい仕上げが魅力です。

インサートといってもアルミフェースは本体と一体化しており、打感はややソフト目ながら金属的なシャープさも併せ持ちます。

アライメントはトップライン上の3つの小ドットとフランジ後方のラインでさりげなく補助するスタイルで、Spiderのような派手なガイドはありません。価格は日本定価で6~7万円台とSpider GTXの約1.5倍以上しますが、精緻な加工とブランド力で高い人気を誇ります。

Scotty Cameron Phantom X 12

ファントムラインの中で最大サイズ&最高MOIを謳うモデルです。

形状は両翼を大きく後方に伸ばしたバットマンのようなシルエットで、Spider GTXに負けず劣らず大きなフレームです。6061アルミニウムのフェース・ソール一体型ブロックにステンレススチールの大型ウイングを組み合わせ、慣性モーメントを極限まで高めています。

2022年モデルではフェースバランス(ほぼトウハング0°)のシングルベンドネックを採用し、ストレートストローク向きに調整。非常に直進性が高く、シリーズ内でも”High-MOI Champion” (最高MOIの王者)と称される安定性です。

打感はアルミフェースゆえ柔らかめですが、Spiderのインサートほどではなく打音含めクリスプなフィードバックがあります。スコッティは打感調整のためヘッド内部に振動吸収材を入れることが多く、Phantom X 12にもそれが施されているとのこと。

そのためか嫌な金属音は抑えられ、心地よいソフトさとカチッとした音の中間くらいのフィーリングです。価格はやはり新品7万円近くと高価ですが、精密さ・完成度はピカイチで、プロ使用率も高いモデルです。

Spider GTXとの比較まとめ

スコッティのPhantom系はいずれも削り出しの精度・フィーリングの良さが最大の魅力です。

Spider GTXのインサート打感が「芯を食った時にややクリック音がする」のに対し、Phantomは「芯を喰った時にキュイーンとボールが乗るようなフィーリング」と形容されることもあります(音や感触の質が違う)。

一方で、寛容性・許容範囲の広さではSpider GTXに軍配が上がるでしょう。特にカップ周りでのスピードのバラつきは、挿入式インサートのSpiderの方が抑えやすく、「芯を外してもそこそこ寄る」という点で安心感があります。

Phantom X 7.5などは芯を外すと打感や距離にシビアさが出やすく、「ミスヒットにはSpiderの方が明らかに強い」との使用者レビューも見られます。また重量調整機能について、Spider GTXは基本固定重量ですが、Scotty Phantomはソールにねじ込み式ウェイトが付属しており交換で総重量を微調整可能です(標準15g×2を10gや20gに変更など)。

これはヘッドバランスの微調整に有効ですが、GTXのような重心位置自体の可変まではできません。

価格はスコッティが倍近くするため、コストパフォーマンスではSpider GTX優位です。逆に「どうせ買うなら一生モノの高級パターを…」という向きにはPhantomの所有欲は捨てがたいでしょう。

パットの易しさと技術向上効果を求めるならSpider GTX、道具そのものの品質や伝統を求めるならScotty Phantomという住み分けかもしれません。

ストロークタイプ&悩み別:Spider GTXはどんな人におすすめ?

スパイダーGTXの性能を踏まえ、どのようなプレーヤーに向いているのか、ストロークのタイプやパッティングの悩み別に整理します。

ストローク軌道による適性

スパイダーGTXは基本的に高慣性の大型マレットなので、ストレートストローク(フェースの開閉が少ない真っ直ぐなストローク)との相性が抜群です。

特にシングルベンドネックやセンターシャフトのフェースバランス仕様を選べば、ほぼフェースが真っ直ぐ動きやすく、引いて出すだけで方向が安定します。

一方、ストロークにアーク (緩やかな弧)を描くプレーヤーでも、Spider GTXのスモールスラントネック版(軽いトウハングあり)を選べば対応可能です。

実際+0.5のハンディを持つ上級者レビューアも「自分はややイン・トゥ・インのストロークだが、小さなスラントネックのSpider GTXはしっかりフェースが開閉してくれる」と好評価を与えています。

要は、フェースバランス型でストレートに打ちたい人から、ある程度フェースローテーションする人まで、ネック次第で幅広くカバーできるのが強みです。

ただし強いアーク (フェースを大きく開閉するタイプ)の場合は、ブレード型ほどフェースを返しやすくはないので、SpiderシリーズならNotchbackやスラントネックの方が適するかもしれません。その意味で、Spider GTXは「真っ直ぐに近いストローク~中程度のアーク」のゾーンに向いていると言えます。

ミスの傾向・悩み別

パッティングのミスパターンに応じた適性も見てみましょう。

スパイダーGTXは「方向性と安定感を最優先したい人」「ショートパットの不安を消したい人」「ストローク矯正しつつ感覚も大事にしたい中級者」あたりに強くおすすめできます。

逆に、極端な強いアークストロークでフェースを開閉したい人や、超ソフト打感に固執する人、あるいはヘッドの大きい見た目にどうしても馴染めない人には他の選択肢の方が良いかもしれません。

ただ、大型ヘッドに抵抗がなければ、一度Spider GTXを試打すればその易しさと安心感に驚くはずです。

方向が安定しない人・打ち出しがブレる人

Spider GTXは高MOIでとにかくヘッドのブレが少なく、方向性改善に直結します。またTrue Pathの視覚効果で構えも安定するため、ストロークの再現性を高めたい人に理想的です。

とにかくまっすぐ引いてまっすぐ打ち出したいのに方向が合わない…という悩みにはまず候補に挙がります。特にショートパットに不安がある人から「Spiderに替えてから1mの入る率が上がった」という声も多いです。

距離感・タッチに悩む人

ミスの中でも「ショートばかり」「オーバーしすぎ」など距離感の悩みには、Spider GTXの順回転インサートと大型ヘッドが役立ちます。

打点ブレによる転がり誤差が少ないので、自分のタッチさえ安定すれば常に予想通りの距離が出せます。特に芯を外した時にボールがショートしがちな人は、Spider GTXに替えると「あれ、ヒールに当たってもそこそこ転がる」という安心感が得られるでしょう。

一方でGTXはヘッドが重い分、ショートパットではタッチが強くなりすぎないよう慣れが必要かもしれません。タッチが大雑把になりがちな人は最初少し注意が必要ですが、慣れれば振り子のように一定リズムでストロークしやすいので結果的に安定するはずです。

プッシュやプルのミスが多い人

右に外す(プッシュアウト)傾向の人は、Spider GTXのようなフェースバランス型マレットだとフェースが開きにくいので是正効果があります。

特にシングルベンドのGTXはインパクトでフェースが被りやすく、右へのミスを減らせるでしょう。

一方、左に引っかける(プル)人は小スラントネック版GTXでトウの重さを使ったほうが自然な開閉が得られ、プル癖が緩和されることがあります。

また、極端なプル・プッシュにはSpider GT Maxでウェイト調整する方法もあります。

自分のミス傾向がはっきりしているなら、GT Maxでウェイトを前後調節してみると面白いくらい影響が出るとの報告もあり、ミス矯正に道具の力を借りるのも手です。

ストロークが不安定・緊張すると手が動く人

いわゆるイップス傾向や手首の余計な動きが出やすい人にも、Spider GTXは適しています。

ヘッドが重く慣性が大きいので、多少手首が動いてもヘッドの動線は乱れにくく、「勝手にヘッドが真っ直ぐ戻ってくれる」感覚があります。

実際ある人は「Spider GTXは重さが絶妙で、自分で余計なことをしなくてもインパクトで勝手にスクエアに戻る」と述べています。緊張下で手先が暴れてしまう方は、一度重めマレットの安定感を試す価値があります。

フィーリング重視・打感にこだわる人

打感の好みもクラブ選びでは重要です。Spider GTXの打感は前述通り中間的な柔らかさ+クリック音で、「硬すぎず柔らかすぎず」を求める人にはマッチします。

一方、とことんソフトな打感が好きな人にはオデッセイWH系インサートの方が満足度が高いかもしれませんし、金属的な打音や打感が欲しい人にはピンやスコッティの方が向くでしょう。

Spider GTXはその中間に位置するため、例えば「昔はオデッセイの軟らかさが好きだったが少し物足りない、でも金属パターほどカチカチは嫌」といった人にはピッタリです。

また打音に関しても、インサート効果で甲高い音が抑えられ心地よい高めの音なので、屋外グリーンで転がした際の音も確認して気に入れば問題ないでしょう。

専門家・ユーザーによる試打評価まとめ

Spider GTXは発売以来、多くのゴルフメディアやフィッター、そして一般人から様々なレビューが寄せられています。その中から主な評価ポイントをまとめます。

Spider GTXは、ユーザー満足度が総じて非常に高いモデルであることが伺えます。専門家からも「スパイダーシリーズの中でも最高傑作の一つ」「安定性の新基準」と評価され、初中級者から上級者まで幅広く良さを実感しているようです。

「悪い評判を探す方が難しい」とまで言われるほどなので、興味がある方はぜひ一度試打して、この安定感と打ちやすさを体験してみてください。

直進安定性・許容性の評価

専門家・ユーザーともに口を揃えるのが「とにかく曲がらない、安定感が凄い」という点です。

ある上級者レビューでは「ツアーレベルのパターの中でも最も寛容な一つ。インサート全面で寛容性が高く、オフセンターでもスコッティのように極端に距離が落ちたりしない」と高評価しています。

実際、ミスヒット時の曲がり・転がりのばらつきが極小なおかげで、パットへの自信が増したという声が多数あります。フィッターからも「慣性モーメントの大きさを活かした安定性能はトップクラスで、芯を外して悩んでいる人にはまず勧めたい」という意見があります。

構えやすさ・フィット感

True Pathアライメントとヘッドバランス設計により、「構えただけで真っ直ぐターゲットに合わせられる」「セットすると自然にヘッドが地面に安定してスクエアになる」と評判です。

特に芝の上に置いた時の座りの良さ(ソール形状の安定)と、サイトラインの見やすさはビギナーにも好評。重心深度が深いパターは構えにくい場合もありますが、Spider GTXはトラスホーゼルのおかげか違和感なく構えられるとの指摘もありました。

また標準グリップの太さ・重さも絶妙で「手首を使わずに一体でストロークできる」との声もあります。

打感・打音のフィードバック

打感については「思ったより柔らかく、でも芯を食うとカチッという気持ちいい音が出る」と概ね好意的です。

前述の通りソフト&クリックのバランスが良く、距離感も合わせやすいという意見が多いです。ただ中には「インサート特有の少し弾く感触があり、好みが分かれるかも」という指摘も。

これは転がりを良くするための設計上、ボール初速が出やすいことへの言及でしょう。実際ゴルフ誌の試打検証でも、Spider GTXは芯でヒットした時にボールに順回転が乗りやすく、他パターより転がり出しがスムーズだと報告されています。

総じて「SoftとFirmの中間、非常によく調律された打感」との表現があり、多くの人が違和感なく受け入れられるフィーリングに仕上がっているようです。

ヘッドの重さ・ストロークへの影響

重量に関して、「ヘッド重量がちょうど良く、変更ウェイトをいじる必要がない完璧なバランス」という声がありました。

Spider GTXは重量調整機能こそありませんが、最初から最適な重量感があるという評価です。一方、「一般的なパターより重いので慣れるまで距離感が強めに出やすいかも」という指摘も一部あります。

しかし慣れてしまえば重さのおかげでストロークが安定し、慌てて手を使うミスが減るというポジティブな意見が大勢です。

特に緊張する場面でこのヘッドの重さが頼りになるとのことで、「ロングパットでもショートパットでも、重量のおかげでストロークが一貫しやすい」といったコメントも見られました。

比較論(他モデルとの差)

実際にSpider GTXをScotty CameronやOdysseyと比較した人も多く、「スコッティ(ニューポート等ブレード)から替えたら明らかに入るようになった」「オデッセイ (#7や2-Ball)と悩んだが、打感と構えやすさでSpiderを選んだ」というケースが報告されています。

特に前者では「スコッティでは芯を外すと途端に入らなかった20フィート (6m)のパットが、Spider GTXでは自信を持って狙えるようになった」と劇的な効果を感じたとのこと。

一方、ブレード型愛好家からは「曲がらなくなりすぎて距離感の調整に少し戸惑った」という声もあり、良くも悪くもパターの挙動が安定しすぎる点は留意が必要かもしれません。

ただ大半の人にとってはメリットの方が上回り、「もっと早く使っていれば」という声が多数です。

欠点や注意点

完璧に見えるSpider GTXですが、いくつか挙げられる注意点としては「見た目の大きさ」「価格の高さ」が主に指摘されています。

まずヘッド体積が大きく派手な見た目ゆえ、オーソドックスなパターに慣れた人には最初抵抗があるかもしれません。ただしこれは慣れや好みの問題で、実用上のデメリットではありません。

また価格について、「他社のパターより高価なので購入ハードルがある」「カスタムMySpiderにするとさらに高額になる」との声も。確かに発売当初は強気の定価設定でしたが、後述のように現在では値下がりも進んでおり入手しやすくなっています。

この他、「トラスホーゼルの見た目が気になる」といった意見も少数ありますが、性能面での致命的な欠点はほぼ指摘されていません。

強いて言えば「可変機構がないので、自分でいじりたいギア好きを満足させる余地がない」くらいでしょうか。しかしそれを補って余りある完成度と評されています。

実勢価格・購入ガイド

最後に、Spider GTXの現在の市場価格や購入時のポイントについて解説します。

新品の価格

Spider GTXの日本公式定価は税込41,580円ですが、現在の価格はだいぶ下がっています。調査時点では新品34インチ (BLACKシングルベンド)は18,040円まで下がっており、一部ショップでは2万円台後半の特価も見られます。

特に人気色やネック(例えばREDのトラスヒールTM1など)は在庫処分で半額近くになっているケースもあり、かなりお買い得になってきています。

逆にレアなカラー(ホワイトやアイスブルーの限定品)などは定価近辺を維持していることも。購入時はカラー・ネックごとの価格差をチェックすると良いでしょう。同じ性能なら色は妥協できるという場合、安いカラーを選ぶ手もあります。

中古市場

中古クラブ店やネットオークションでもSpider GTXを入手できます。

Yahoo!オークション落札相場では平均約1.6万円前後(最高でも3万円弱)となっており、状態次第では1万円台半ばで入手可能です。

特にトラスホーゼル仕様は「見た目で敬遠されたのか?」 中古玉数が比較的多く、掘り出し物が見つかるかもしれません。中古購入時のポイントはネック形状と長さをよく確認することです。

自分のストロークに合わないネックを誤って買うと本来の性能を発揮できない恐れがあります。

また、Spider GTXは塗装カラーが派手なので、中古では塗装ハゲや傷の程度も気にしたいところです。特にソールのアルマイト加工部分は擦り傷が付きやすいので、写真で状態確認を怠らないようにしましょう。

ホーゼル選択肢とフィッティング

Spider GTXは前述の通りネック形状が複数あります。購入時には自分のストロークタイプに合わせたネックを選ぶことが肝心です(ストレートならシングルベンドやセンターシャフト、少しアークならスモールスラント等)。

ショップ店員やフィッターに相談し、自分が構えやすい・振りやすいタイプを試して決めるのがおすすめです。幸いSpider GTXは選択肢が豊富なのでピッタリのモデルが見つかるでしょう。

また標準長さ以外に、一部店舗限定で32インチや長尺アームロック仕様も販売されました。例えば小柄な方や構えを低くしたい方には32インチ (ICE BLUEカラーのみ国内展開)も検討できます。

アームロック型は40インチ/42インチの長尺でグリップエンドを前腕に押し付けるスタイル用ですが、国内在庫は希少なので欲しい場合はカスタム注文となるかもしれません。

保証と付属品

テーラーメイド製品は新品購入時に2年間のメーカー保証が付帯します(保証書と購入証明が必要)。

通常使用での破損や不具合は無償修理または交換対応されるので、新品購入なら保証書は大切に保管しましょう。

付属品では、Spider GTXには専用ヘッドカバーが標準添付されます。マグネット式開閉で出し入れしやすく、カラーもヘッドに合わせたデザインになっているため、紛失した場合は別途購入も可能です(市販価格3,000円前後)。

また、Spider GT Maxを除き特別なレンチ等は付属しません (GT Maxのみ可変ウェイト用レンチ同梱)。グリップに関してはSuperStroke Pistol GTR1.0装着済みですが、自分好みの太さや形状に交換するのも一つです。

ただし交換するとテーラーメイドロゴ入り純正グリップではなくなる点と、重量が変わる可能性がある点に留意してください。

並行輸入品やカスタムについて

Spider GTXは北米・日本・欧州で展開モデルやカラーが微妙に異なります。

例えばピンクや限定カラーは海外モデルのみ、逆に「トラスホーゼル仕様」は日本市場向けの位置づけでした。並行輸入で海外仕様を買うこともできますが、国内保証が効かない可能性や、そもそもトラス仕様は国内正規のみだったりします。

安全策としては日本正規品を選ぶのが無難でしょう。またテーラーメイド公式サイトのMySpider GTXプログラムを使えば、自分好みのカラーコンビネーション・サイトライン形状・ソール刻印などを施したフルカスタムモデルを注文できます。

追加料金はかかりますが、世界に一つだけのSpider GTXを作ることも可能です。納期がかかる点と日本から直接オーダーできるか(代理店経由が必要か)など確認し、興味があれば挑戦してみるのも面白いでしょう。

6項目評価まとめと総合評価

6項目評価まとめと総合評価

最後に、Spider GTXの性能を「操作性」「ミスヒット耐性」「重量感」「打感」「重心設計」「価格」の6つの観点でまとめます(※各項目は当モデル内での特徴を示すもので、数値は相対評価のイメージです)。

操作性(操作のしやすさ・取り回し):4点

非常に安定志向のヘッドながら、トラスホーゼルの効果もあって扱いやすさは上々です。

構えやすいサイトラインと据わりの良さで狙いやすく、重さの割に振りにくさは感じません。ただし強いアークを求めるような操作には向かず、その意味で“フェースを返す積極操作は苦手なので4/5程度でしょう。

ミスヒット耐性(寛容性):5点

文句なしに5/5です。ヘッド後方の154g重量バー+高MOI5300超の威力で、オフセンターヒット時の方向逸れ・距離ロスとも極小。フェース全面に渡るインサート効果もあり、芯を外しても大きくショートしたりはしません。

パットにおけるミスヒット許容性は現行パター中トップクラスと断言できます。

重量感(ヘッドの重さ・振り心地):4点

標準約350g+グリップ82g+シャフトと全体的にヘビーですが、それが長所でもあります。振り子のように安定し、インパクトがブレません。

重さゆえの利点が大きく感じられるので「重量感」は高評価ですが、人によっては扱いに慣れが必要なため4/5としました。総じて「かなり重めで安定、でも重すぎて振れないほどではない」という塩梅です。

打感(打音・フィーリング):4点

Pure Roll² インサートの効果でソフトな中にも適度な硬さがあり、非常に良好な打感です。芯でヒットした際の「コツッ」という心地よい音は人に安心感を与えます。

過度に柔らかくなく適度なフィードバックがあるため万人受けするでしょう。これも5に近い4.5相当ですが、ここでは4/5 (完璧を避けましたが実質ほぼ満点レベルです)。

重心設計(深重心・慣性モーメント設計の巧みさ):5点

Spider GTX最大の武器がこの項目です。深い重心・高慣性モーメントを狙った設計が見事にハマっており、前述の通り安定性は抜群。加えてトラス構造で高慣性ヘッドの制御性も高めるなど、設計思想の完成度が光ります。

よって5/5、深重心パターの一つの到達点と言えるでしょう。

価格(コストパフォーマンス):3点

定価5万円超と初期コストは高めですが、性能の高さや使用年数(長く使える)を考えれば妥当とも言えます。ただ競合他社が3~4万円台で買える中、Spider GTXは割引後でも3万円前後とやや高価な印象は否めません。

従って3/5程度の評価ですが、値下がりした今なら4に近づいています。中古なら2万円以下も狙えるので、うまく入手できればコスパ満足度は上がるでしょう。

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