MENU

パターの長さは「身長」で決めるな!34インチの罠と「真の適正」を見抜く全知識

パターの悩み、尽きないですよね。
「距離感が合わない」「なぜかショートパットを右に外す」…。

もしかして、その原因が「なんとなく選んだ34インチのパター」にあるとしたら?

多くのゴルファーが信じている「身長170cmなら34インチ」という常識、実は日本人の体型には合っていない可能性が高いのです。

この記事では、パターシャフトの適正な長さを知るための「真の選び方」と、自分にドンピシャな1本を見つけるためのセルフチェック法を徹底解説します。

これを読めば、あなたのパッティング精度は劇的に向上するはずです。

目次

なぜ「標準34インチ」が日本人ゴルファーのスコアを崩すのか?

ここでは、多くのゴルファーが陥っている「34インチの罠」についてお話しします。

なぜ世界標準の長さが日本人には合わないのか、そして長すぎるパターを使うことで具体的にどのような弊害が出るのかを解説します。

「世界標準」と「日本人体型」の決定的なズレ

ゴルフショップに並んでいるパターの多くは「34インチ(約86.4cm)」です。これは、パター発祥の欧米ブランドが定めた世界標準の長さといえます。

しかし、ここで冷静に考えてみてください。欧米人と日本人では、同じ身長だとしても体型が全く異なります。

欧米人は比較的「腕が短い」傾向にあり、日本人は「腕が長い」傾向にあります。さらに、欧米人はパッティング時に深い前傾姿勢をとることが多いですが、日本人は直立気味に構える人が多いのです。

深い前傾をとれば手元は地面に近づくため、短いパターが合います。逆に、直立気味なら手元は高くなり、長いパターが必要になるはずです。

「あれ? 日本人は直立気味なんだから、やっぱり長い34インチでいいのでは?」
そう思ったあなた、ここが大きな落とし穴です。

実は、日本人の平均的な腕の長さとアドレスのバランスを考えると、34インチは「余ってしまう」ケースが非常に多いのです。

身長170cm前後の日本人男性にとって、34インチは構造的に長すぎて、アドレスの窮屈さを生む原因になっています。

パターが長すぎると起きる「致命的なミス」3選

では、自分に合っていない「長すぎるパター」を使うと、具体的にどんなミスが出るのでしょうか。代表的なミスは以下の3つです。

1つ目は、ボールが遠くなり、プッシュアウトが出やすくなること
パターが長くて懐(ふところ)が窮屈になると、無意識にボールを体から離そうとしてしまいます。

すると、目の位置がボールよりも身体側(内側)に入りすぎてしまい、フェース面が右を向きやすくなります。

2つ目は、手首で長さを調整してしまう「ハンドアップ」
余った長さを処理するために手元を浮かせると、クラブのトウ(先)が浮いてしまいます。
トウが浮いた状態で打つと、フェースは左を向きやすく、引っ掛けのミスに繋がります。

3つ目は、ストロークの緩みです。
長いパターは操作感が鈍く、「振られている」感覚になりがちです。
ショートパットのような繊細なタッチが必要な場面で、自分の感覚が出せず、インパクトが緩んでショートする原因になります。

身長だけじゃダメ!「真の適正長さ」を見極める3つの指標

この章では、身長だけに頼らない、本当の適正長さを見つけるための3つの重要指標を紹介します。身体的な特徴とアドレスの姿勢を総合的に判断することで、あなただけの「ベストな長さ」が見えてきます。

① 手首から床までの距離(リスト・トゥ・フロア)

あなたの適正長さを知る上で、身長よりも信頼できる数字があります。
それが「リスト・トゥ・フロア(手首から床までの距離)」です。

一度、パターを持たずに普段のゴルフシューズを履いて、直立してみてください。
その状態で、手首のシワ(時計をつけたりする位置)から地面までの距離を測ります。

この数値が短ければ短いほど、手が地面に近い=短いパターが合います。
逆に数値が大きければ、長いパターが必要です。

身長が180cmあっても、腕が長ければ手首の位置は低くなり、短いパターが合う可能性があります。
逆に身長が低くても、腕が短ければ長いパターが必要になることもあります。

「身長=パターの長さ」という単純な図式が、いかに大雑把な目安であるかが分かるはずです。
まずは自分の身体的な特徴である「腕の長さ」を知ることが、正しい道具選びの第一歩です。

② アドレスの前傾角度(ポスチャー)

次に重要なのが、パッティング時の「前傾角度」です。パッティングには理想的な前傾姿勢が存在します。

プロのような深い前傾姿勢で構えるタイプであれば、手元が低くなるため、32インチや33インチといった短めのパターが適しています。

一方、リラックスして浅めの前傾で構えたいタイプであれば、手元が高くなるため、少し長めのパターでも対応できます。

しかし、多くの日本人アマチュアゴルファーは、この「前傾角度」をパターの長さに合わせてしまっています。

「持っているパターが34インチだから、それに合わせて軽く前傾する」という、本末転倒な状態になっていませんか?

本来は、自分が一番リラックスしてストロークできる前傾角度があり、そこにパターの長さを合わせるべきなのです。

パッティングのアドレスについて詳しく解説した記事もあるのであわせて読んでみてください。

③ 目の位置とボールの関係

3つ目の指標にして、最も重要なのが「目の位置」です。これがパターの長さ選びの結論と言っても過言ではありません。

パッティングの名手たちは共通して、「左目の真下」あるいは「それよりもわずかに内側(数cm)」にボールをセットしています。

この位置にボールがある時が、最もカップまでのラインが見やすく、ストロークも安定するからです。

もし、34インチのパターを構えたときに、ボールが目の位置よりも「かなり外側(向こう側)」にあるとしたら、それはパターが長すぎます。

逆に、目の真下よりも極端に内側(足元寄り)にあるなら、パターが短すぎる(または近すぎる)可能性があります。

この「目の位置」こそが、適正長さを決定する際の最終的な答え合わせになります。

自宅で今すぐできる!「3分セルフ診断」メソッド

この章では、実際に自宅で簡単にできる「適正長さのセルフ診断法」を解説します。特別な道具は必要ありません。鏡とパターがあれば、今のパターが自分に合っているかどうかが一発で分かります。

鏡を使った「目の位置」チェック法

まずは、一番確実な「目の位置」のチェック方法です。
全身鏡か、または窓ガラスなど、自分の姿が映るものの前でパターを持ってください。

1. いつも通りにリラックスしてアドレスします。
2. その姿勢のまま、左目の位置からボールを垂直に落としてみてください(あるいは鏡で確認してください)。

落ちたボールが、セットしたボールに当たれば「目の真下」にある証拠です。これが、適正な長さを使えているサインです。

もし、落としたボールがセットしたボールよりも「自分の足側」に落ちた場合、それはセットしたボールが遠い=パターが長すぎる可能性が高いです。

逆に、セットしたボールよりも「向こう側」に落ちた場合は、ボールに近づきすぎているか、パターが短すぎる可能性がありますが、このケースは稀です。

9割以上のゴルファーが「長すぎてボールが遠い」状態になっているはずです。

ソールの浮きチェック(トウ・ヒールバランス)

次に、パターヘッドの「ソール(底)」の着き方を確認します。
フローリングなどの硬い床の上で構えてみると分かりやすいでしょう。

アドレスした状態で、ソール全体が地面にピタッと着いていますか?

もし、トウ(先側)が浮いている場合。
これは、パターが長すぎて手元が高くなっているか、無理やりハンドアップにして長さを合わせている証拠です。
この状態で打つと、フェースが被りやすく、左へのひっかけが出ます。

逆に、ヒール(手前側)が浮いている場合。
これはパターが短すぎるか、ハンドダウンにしすぎている可能性があります。
こちらはフェースが開きやすく、右へのプッシュが出やすくなります。

理想は、トウ側が10円玉1〜2枚分浮くくらい、もしくはベタ足の状態です。
トウが大きく浮いているなら、そのパターはあなたにとって長すぎるのです。

「長すぎる」と判明した時の対処法(買い替え・調整)

診断の結果、「今のパターは長すぎる!」と分かったあなた。

安心してください、解決策はあります。この章では、お金をかけずにできる対策から、根本的な解決策まで、3つのアクションプランを提示します。

選択肢①「短く持つ」だけのメリット・デメリット

一番手軽で、今すぐできる対策は「短く持つ」ことです。グリップエンドを余らせて、指2本分、あるいは3本分ほど短く握ってみてください。

メリットは、もちろんお金がかからないこと。

そしてもう一つ、「カウンターバランス効果」が得られることです。グリップエンド側に重量が残るため、手元が重くなり、ストロークが安定しやすくなります。

デメリットは、グリップの形状によっては細い部分を握ることになり、違和感が出ること。
また、ストローク中に余ったグリップエンドがお腹や服に当たって気になることなどが挙げられます。

まずは、今のパターを「1インチ(約2.5cm)短く持って」パターマットで打ってみてください。これだけで転がりが良くなり、芯に当たる感覚が増すなら、やはりこれまでのパターは長すぎたということです。

効果的な練習法については、下記の「パターの練習方法」の記事を確認してみてください。

選択肢②「シャフトカット」で物理的に短くする

「短く持つとグリップが気になるから嫌だ」

そんな方は、ゴルフショップ(工房)でシャフトをカットしてもらう方法があります。

工賃は数千円程度と、買い換えるよりは安価で済みます。自分の好きな長さにミリ単位で調整できるのが魅力です。

ただし、注意点があります。

シャフトをカットすると、パター全体の重量バランス(スイングウェイト)が軽くなります。ヘッドが軽く感じられ、ストロークのリズムが狂ってしまうことがあるのです。

そのため、カットする場合は同時に鉛(ウエイト)を貼ってバランス調整をする必要があります。工房のクラフトマンと相談しながら進めることをおすすめします。

選択肢③「33インチ」への買い替え

最も確実で、根本的な解決策は「33インチのパターに買い替える」ことです。
最初から33インチで設計されたパターは、ヘッド重量やバランスがその長さに合わせて最適化されています。

最近では、メーカー純正で33インチのラインナップが増えています。また、中古市場でも33インチのパターは意外と多く出回っています。

買い替えの際は、自分に合った太さや形状のグリップが装着されているか確認すると、より失敗が少なくなります。

自分に合った「適正長さ」のパターを手に入れた時の感動は、ゴルフ人生を変えるほどです。

「今まであんなに苦労していたショートパットが、面白いように入る!」

そんな体験が待っています。

まとめ:自分に合った長さ=「入る確率」の最大化

パターにおいて、「大は小を兼ねる」ことはありません。長すぎるパターは、百害あって一利なしです。

「なんとなく34インチ」を使っていたあなた。まずは自宅で鏡の前に立ち、「目の位置」をチェックしてみてください。

もしボールが遠ければ、明日から「短く持って」打ってみてください。それだけで、景色が変わるはずです。

道具を自分に合わせることは、上達への最短ルートです。適正な長さのパターを手に入れて、自信を持ってグリーンに上がりましょう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次