「狙ったラインに乗らない」「ショートパットで球がヨレる…」その原因、ストロークではなくパターの『ロフト角』に合っていないかもしれません。
実はパターにもドライバー同様に最適な打ち出し角があり、それがズレているとどんなに良いストロークでもボールは真っ直ぐ転がりません。
本記事では、プロもこだわる「インパクトロフト」の理論から、あなたの打ち方(アッパー・ダウン)に合ったロフト角の選び方までを完全解説。
ボールが吸い込まれる「順回転」を手に入れるための答えがここにあります。
【結論】適正ロフトは「インパクトで2度」になるものを選ぶ
結論から言えば、パター本体のロフト角(カタログ値)に絶対的な「正解」はありません。重要なのは、ボールがフェースから離れる瞬間の「インパクトロフト」です。
目指すべきゴールと、そのために必要な考え方を解説します。
目指すべきは「スキッド(滑り)」を最小限にする2度〜4度
パッティングにおいて最も理想的なのは、インパクト直後にボールが一瞬だけ宙に浮き(キャリー)、着地した瞬間に順回転が始まる状態です。
この理想的な転がりを生むインパクトロフトが「約2度〜4度」と言われています。
ロフトが立ちすぎている(0度以下)と、ボールが地面に押し付けられて跳ねてしまい、直進性が失われます。
逆に寝すぎている(5度以上)と、バックスピンがかかって芝の抵抗を強く受け、転がりが悪くなります。
この「黄金の2度」を作るために、自分の打ち方に合わせてパターのロフトを選ぶ必要があります。
「アッパー軌道」なら低ロフト、「ダウン軌道」なら高ロフト
インパクトロフトは「パターのロフト角 + 入射角」で決まります。
つまり、アッパーブロー(下から上)で打つ人は、打ち方自体がロフトを増やす動きをするため、パター自体のロフトは「少なめ(1〜2度)」が適正です。
逆に、ダウンブロー(上から下)やハンドファーストで打つ人は、ロフトを減らす打ち方になるため、パターのロフトは「多め(3〜5度)」でないと、ボールがつかまらずにスライス回転しやすくなります。
「自分の癖」と「道具のスペック」を足し算して考えることが重要です。
なぜパターにロフトが必要なのか?ボールが沈むメカニズム
「転がすだけならロフト0度で垂直に当てればいいのでは?」と思うかもしれません。
しかし、ゴルフ場のグリーン上では、物理的にロフトがないとまともに転がりません。
その理由を「ボールの沈み込み」という観点から解説します。
グリーンの芝に「埋まったボール」を脱出させるため
ボールの重さは約46gあり、どんなに短く刈り込まれた高速グリーンでも、ボールは自重でわずかに芝に沈んでいます。
この「窪み」からボールを脱出させ、芝の抵抗を受けずに転がし始めるためには、適度なロフト角でボールを「斜め上に持ち上げる」必要があります。
もしロフト0度で真横に叩くと、ボールは窪みの壁に衝突し、不規則なバウンドや方向のズレを引き起こします。
ロフトは「最初の1転がり」をスムーズにするための発射台の役割を果たしているのです。
「キャリー」と「順回転」の黄金比を作る
パッティングにおける理想の弾道は、インパクト直後に数センチだけキャリー(空中を飛ぶ)し、着地した瞬間にオーバースピン(順回転)がかかる状態です。
ロフトが適切だと、この「キャリー」が芝の抵抗をキャンセルしてくれます。
しかし、ロフトが多すぎるとキャリーが出すぎて着地後にバウンドし、少なすぎるとキャリー不足で芝に食われます。
この絶妙なバランスを保つために、メーカーは長年「3度〜4度」を標準値としてきましたが、近年の高速グリーン化やストロークの変化により、その常識も変わりつつあります。
ロフトを最適化することで得られる最大のメリットは「距離感の向上」です。距離感について悩んでいる方は、以下の記事も参考にしてみてください。

あなたはどっち?スマホでできる「ストロークタイプ」診断
自分に合うロフトを知るには、自分がどう打っているか(入射角)を知る必要があります。
高価な測定器がなくても、スマホを使って簡単に自分のタイプを診断する方法と、その特徴を紹介します。
【診断法】スマホの「スロー撮影」でインパクトを横から撮る
友人に頼むか、三脚を使って、パターヘッドの高さに合わせて真横からインパクトの瞬間をスマホの「スローモーション機能」で撮影してください。
注目すべきは、インパクト直前・直後のヘッドの動きです。
- ヘッドが最下点を過ぎて上がり際で当たっていれば「アッパーブロー」
- 最下点に向かう途中で当たっていれば「ダウンブロー」
- 地面と平行に動いているなら「レベルブロー」
この「自分の真実」を知ることが、パター選びの出発点です。
ストロークタイプは、実は「アドレス(構え方)」によって大きく変わります。自分の構えが正しいか不安な方は、こちらの記事でチェックしてみてください。

【タイプA】アッパーブロー&ハンドレイト(低ロフト推奨)
ボールを左足寄りに置き、フォローを大きく出すタイプに多いのがこの軌道です。
女子プロや、最近の主流である「イン・トゥ・イン」軌道のゴルファーに多く見られます。
このタイプはインパクトでロフトが実測値以上に寝て当たる(例:4度のパターが7度で当たる)傾向があります。
そのため、ロフト角が「3度以下」、場合によっては「1度〜2度」の低ロフトパターを使うことで、適正なインパクトロフトになり、転がりが劇的に良くなります。
【タイプB】ダウンブロー&ハンドファースト(高ロフト推奨)
ボールを右足寄りに置き、タップ式にパチンと打つタイプや、ショットの延長でハンドファーストに構える人に多い軌道です。
このタイプはインパクトでロフトが立って当たる(例:3度のパターが0度やマイナス1度で当たる)ため、ボールを地面に打ち込んでしまいがちです。
したがって、ロフト角は「4度以上」の多めのものを選ぶことで、打ち出し角を確保し、ボールの跳ねを抑えることができます。
【決定版】失敗しないパターロフト角の選び方マトリクス
ストロークタイプが分かったら、いよいよ具体的なロフト選びです。
「自分の打ち方」と「プレーするグリーンの速さ」を組み合わせた、最適なロフト角の選び方を表で整理します。
グリーンが「速い」か「重い」かも重要な判断基準
打ち方だけでなく、普段プレーするコースのグリーンの速さも考慮しましょう。
高速グリーン(10フィート以上)ではボールが沈みにくいため、ロフトは少なめ(低打ち出し)の方がラインに乗りやすくなります。
逆に、高麗グリーンや重いグリーン(8フィート以下)ではボールが芝に沈みやすいため、ロフト多めでしっかりキャリーを出さないと、芝目に負けてショートしやすくなります。
「自分の軌道」×「環境」の掛け合わせが正解への鍵です。
【早見表】ストローク×環境別!あなたに合う適正ロフト
この表を使えば、自分が選ぶべきロフト角が一目でわかります。
| ストロークタイプ | 高速グリーン (10ft〜) | 標準グリーン (8〜9ft) | 重いグリーン (~8ft) |
|---|---|---|---|
| アッパーブロー | 1度 〜 2度 | 2度 〜 3度 | 3度 〜 4度 |
| レベルブロー | 2度 〜 3度 | 3度 〜 4度 (標準) | 4度 〜 5度 |
| ダウンブロー | 3度 〜 4度 | 4度 〜 5度 | 5度 〜 6度 |
この表を参考に、ショップで「ロフト2度のパターはありますか?」と聞いてみてください。もし市販品になくても、工房で調整してもらう際の明確な基準になります。
流行りの「ロフト0度」「マイナスロフト」は誰に合う?
最近話題の「ロフト0度」や、フェースが下を向く「マイナスロフト」のパター。
これらは極端なスペックに見えますが、特定のゴルファーには特効薬となります。そのメリットとリスクを解説します。
超アッパーブローの人が使うと「神パター」に化ける
ロフト0度やマイナスロフトは、強烈なアッパーブローで打つ人のために存在します。
通常のパターだとロフトが寝すぎてボールが浮き上がり、ショートしてしまう人が、これらのパターを使うと「適正な打ち出し角」に矯正され、驚くほど転がりが伸びるようになります。
また、左目の真下よりかなり左にボールを置くセットアップの人にも有効です。常識外れのスペックですが、理屈に合えば最強の武器になります。
普通の人が使うと「自殺行為」。ボールが跳ねて制御不能に
逆に、レベルブローやダウンブローの人がロフト0度を使うと、インパクトでロフトがマイナスになり、ボールを地面に叩きつけることになります。
その反動でボールは大きく跳ね(バウンド)、直進性が失われるだけでなく、距離感も全く合わなくなります。
「プロが使っているから」「話題だから」という理由だけで手を出すと、パッティングが崩壊する危険性が高いため、必ず自分の入射角を確認してから検討してください。
パターのロフト角に関するよくある質問(Q&A)
ロフト角選びや調整に関して、ゴルファーが抱きがちな疑問にQ&A形式で回答します。
持っているパターのロフト角は調整(変更)できますか?
パターのネック形状によって調整の可否が異なります。
一般的な「クランクネック」や「ロングネック」のパターであれば、ゴルフショップや工房で±2度程度の調整(ロフトを立てる/寝かせる)が可能です。
しかし、「ベントネック」や「センターシャフト」、またはヘッド素材が硬いモデルやインサートが入ったモデルは、ネックを曲げることが難しく、調整不可の場合が多いです。
まずは工房のクラフトマンに相談することをお勧めします。
ネック形状ごとの特徴や選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

ロフト角が変わると「構え(アドレス)」も変わりますか?
はい、変わります。
ロフトを立てる(減らす)と、一般的に「グース(フェースが引っ込む度合い)」が強くなり、ボールがつかまりやすくなる視覚的効果が出ます。
逆にロフトを寝かせると、フェースが見えやすくなり、オープンに構えやすくなります。
ロフト調整は単に数値をいじるだけでなく、アドレス時の「顔」や「座り」にも影響を与えます。
また、ロフトをいじると「ライ角」も微妙に変わることがあるため、調整後は必ず構えやすさをトータルでチェックする必要があります。

まとめ
パターのロフト角は、あなたのストロークとグリーンの相性を繋ぐ重要な「接着剤」です。
カタログ値の3度や4度が誰にでも合うわけではありません。
まずはスマホで自分のストローク(入射角)を知り、理想のインパクトロフト「2度」を実現できるパターを選びましょう。
最適なロフトに出会えた瞬間、ボールは今まで見たこともないような美しい順回転で、カップに吸い込まれていくはずです。

コメント