「またショートした…」「今度はオーバーかよ…」
パッティングにおいて、アマチュアゴルファーを最も悩ませるのが「距離感」です。3パット、4パットを叩いてスコアを崩すたびに、「自分にはセンスがない」と落ち込んでいませんか?
断言します。距離感に「センス」は必要ありません。
「カップを見て素振りをして、その感覚で打つ」
これは王道のテクニックですが、極度の緊張下や、そもそも感覚に自信がない人にとっては、逆に迷いを生む原因にもなります。
あなたが求めているのは、フィーリングに頼らない「機械的なマニュアル」ではないでしょうか?
目分量で料理の味付けをするのではなく、「大さじ1杯」という計量スプーンがあれば、誰でも毎回同じ味が出せるのと同じです。
この記事では、パターにおける計量スプーンとも言える、誰でも簡単に距離感を自動化できる「松竹梅メソッド」を伝授します。
これを読めば、「なんとなく」で打つ恐怖から解放され、スタート前の練習グリーンでその日の距離感を「設定」できるようになります。
1. なぜ「感覚」で打つと3パットするのか?
多くの人がやりがちなのが、「カップを見て、なんとなくこれくらいの強さかな?」と感覚でインパクトの強弱を調整する方法です。
しかし、これこそが3パットの元凶です。
「インパクトの強さ」は緊張で狂う
人間の筋肉は、メンタルの影響をダイレクトに受けます。
「絶対に入れたい」「外したくない」という緊張感(プレッシャー)がかかった時、筋肉は無意識に硬直します。
- 緊張して体が動かない → インパクトでパンチが入る(大オーバー)
- ビビって手が縮こまる → インパクトが緩む(大ショート)
「これくらいかな」という感覚は、その日の体調や気候、プレッシャーによって簡単にズレてしまう、非常にあてにならないものなのです。
安定してスコアを出すためには、メンタルに左右されない「物理的な基準」を持つことが不可欠です。
「振り幅」×「リズム」=絶対的な距離感
では、何が「物理的な基準」になるのでしょうか?
それこそが「振り幅」です。
どれだけ緊張していても、「ここまで上げて、ここまで出す」という動作なら、比較的再現しやすくなります。
ただし、ここで一つ重要な条件があります。それは「リズム(テンポ)」を一定にすることです。
振り幅が同じでも、「イチ・ニ」のテンポが毎回違えば、ヘッドスピードが変わり、転がる距離も変わってしまいます。
「どんな振り幅でも、同じ時間(リズム)で振る」。これが大前提です。
振り子時計をイメージしてください。大きく振れれば振れるほど、ヘッドスピードは物理法則に従って勝手に上がり、ボールは遠くへ飛びます。
自分で「強く打とう」とするのではなく、振り幅を変えることで「勝手に強く当たる」状態を作るのが正解です。
どっちのタイプ?
もしあなたが「機械的に打つより、見た目の感覚を大事にしたい」というタイプなら、下記のアプローチが合っているかもしれません。
パターの距離感は「歩測」が9割!3パットを撲滅する基準の作り方
2. 誰でも作れる!距離感の基準「松竹梅」メソッド
「じゃあ、○歩なら○センチ引けばいいの?」
そう思ったあなた、ちょっと待ってください。ラウンド中に定規を持って歩くわけにはいきませんし、「30センチ引くぞ」と考えても、正確に30センチ引くのは難しいものです。
そこで提案したいのが、あなたの身体(足幅)を物差しにする「松竹梅メソッド」です。
複雑な基準は必要ありません。「小・中・大」の3つだけ持っておけば、アマチュアのゴルフは十分攻略できます。
足幅を物差しにする「3つの基準」
自分の「スタンス(足幅)」を利用して、3つの明確な基準を作りましょう。これを自宅のパターマットで徹底的に反復し、体に染み込ませてください。
| 呼称 | 距離イメージ | 振り幅の基準(テークバック〜フォロー) | 目安(平地) |
|---|---|---|---|
| 【梅】 | ショート | 靴の「内側」から「内側」まで | 3〜5歩 |
| 【竹】 | ミドル | 靴の「外側」から「外側」まで | 8〜10歩 |
| 【松】 | ロング | 靴の「1個分外」から「1個分外」まで | 15歩以上 |
ポイントは、「靴の端」という視覚的に非常に分かりやすいガイドラインを使うことです。
これなら、「あ、引きすぎた」と瞬時に分かりますし、プレッシャーがかかった場面でも「靴の内側まで」と念じるだけで、機械のように正確なストロークができます。
左右対称「1:1」が基本ルール
このメソッドを成功させるための鉄の掟があります。それは、「テークバックとフォローを必ず左右対称(1:1)にする」ことです。
多くのゴルファーは、大きく上げて、インパクトで調整してチョンと当てたり、逆に小さく上げて無理やり押し込んだりしています。これでは「振り幅基準」が機能しません。
- 「靴の内側まで引いたら、靴の内側まで出す」
- 「靴の外側まで引いたら、靴の外側まで出す」
必ず「引いた分だけ出す」を心がけてください。
フォローまでしっかり出す意識を持つことで、インパクトの緩みが消え、ボールの転がり(順回転)が劇的に良くなります。
結果として、芝目や傾斜の影響を受けにくい、強い球が打てるようになります。
3. 当日のグリーンに合わせる「朝の変換作業」
「でも、ゴルフ場によってグリーンの速さは違うじゃないか!」
その通りです。だからこそ、スタート前の練習グリーンでの調整が重要になります。
ここで多くの人が間違いを犯します。
「今日はグリーンが速いから、いつもより小さく振ろう」
これをしてしまうと、せっかく作った「松竹梅」の基準が崩壊し、また感覚頼みのパッティングに逆戻りしてしまいます。
正解は、「振り幅は変えず、基準の数値を書き換える」ことです。
振り幅は変えない!「飛距離」を上書き保存する
朝の練習グリーンに行ったら、まず何も考えずにいつものリズムで【竹】(靴の外側〜外側)を打ってみてください。
そして、そのボールが何歩転がったかを歩測します。
- いつもの【竹】は8歩だが、今日は転がって「10歩」行った。
- →「よし、今日の【竹】は10歩だ」と脳内の設定を書き換える。
同様に、【梅】と【松】も確認します。
「今日の【梅】は4歩だな」「今日の【松】は18歩だな」といった具合です。
こうすることで、コースに出て「残り10歩のパット」が残った時、「少し強く打とう」ではなく「【竹】で打てばいいんだな」と、迷いなく自信を持ってストロークに入ることができます。
「タッチを合わせる」のではなく「自分の物差しの目盛りを合わせる」。この発想の転換こそが、パット名人の思考法です。
上り下りの傾斜はどう計算する?
基準(松竹梅)は基本的に「平地」での距離です。では、上りや下りの傾斜はどう考えればいいのでしょうか?
ここでも「強く打つ・弱く打つ」という感覚は捨ててください。「狙うターゲット(仮想カップ)の位置をズラす」ことで対応します。
- 上りの場合: カップまでの距離が表示より遠くにあると仮定します。
- 例:残り8歩の上り → 「10歩先にカップがある」と仮想し、【竹】(今日の基準で10歩)で打つ。
- 下りの場合: カップまでの距離が表示より手前にあると仮定します。
- 例:残り8歩の下り → 「6歩先にカップがある」と仮想し、【竹】と【梅】の中間くらいの振り幅で打つ。
打つ強さを変えるのではなく、「狙うカゴ(ターゲット)」の位置を変える。
やることは常に「決めたターゲットに対して、決めた振り幅で打つ」ことだけ。これならメンタルの入り込む隙がありません。
まとめ
パッティングにおいて、距離感はスコアメイクの生命線です。しかし、それを不安定な「感覚」や「才能」に委ねる必要はありません。
- 「インパクトの強さ」ではなく「振り幅」で距離を決める。
- 自分の足幅を使った「松竹梅(小中大)」の3つの基準を作る。
- コースでは振り幅を変えず、「その振り幅で何歩転がるか」を確認して脳内設定を書き換える。
この「松竹梅メソッド」を実践すれば、あなたはもうグリーンの上で迷わなくなります。
「今の距離は【竹】で打てばいい」
そう確信してセットアップに入れた時、あなたのストロークからは迷いが消え、驚くほどスムーズにヘッドが動くはずです。
次回の練習場では、カップを入れることよりも、お気に入りの音楽を聴きながら、メトロノームのように一定のリズムで「松竹梅」を繰り返してみてください。
その地味な反復こそが、あなたのパッティングを劇的に変える最短ルートです。

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