オデッセイから2024年7月に登場した「ジラフビーム ダブルワイド」は、その名の通りキリンのような特徴的なロングネックデザインで、パッティングの常識を覆す驚きの安定感を実現しています。
このパターの最大の特長は「フェースが勝手に目標を向く」驚きの直進性。
一般的なブレードパターではストローク中にフェースが開閉しがちですが、ジラフビームは延長されたクランクネックが重心角をフェースバランスに近づけ、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す理想的なストロークをサポートします。
「見た目はブレード、性能はマレット」というコンセプトで開発されたこのパターは、ブレード型の構えやすさと操作性を残しながら、マレット型並みのミスヒット耐性と方向安定性を併せ持つ理想の一本。
そのホワイト・ホット インサートから生まれるソフトな打感と心地よい打音も、多くのゴルファーから絶賛されています。
カッパー(銅色)の落ち着いたヘッドカラーとキリン柄の遊び心あるデザインは、グリーン上で個性を演出するだけでなく、所有する喜びも与えてくれるでしょう。
すでに国内女子ツアープロからも注目を集め、吉田優利プロは「フェースローテーションが抑えられ、真っすぐ引きやすく出しやすい」とコメントしてます。
また柏原明日架プロは「フェースの開閉度合いが少なく真っ直ぐ引きやすい」と高評価しています。
この記事では、評価の高いジラフビーム ダブルワイドについて、そのスペック、独自技術、競合パターとの比較、メリット・デメリット、ユーザーレビューまで、あらゆる角度から徹底解説します。
パッティングの安定性向上を求めるアベレージゴルファーからシングルプレーヤーまで、あなたのスコアアップに貢献する理想のパターとなるかどうか、判断材料をお届けします。
今回のレビューを通じて、多くのゴルファーが口を揃えるこのパターの「驚きの安定感」と「芯を外しても寛容なヤサシさ」の秘密に迫ります。
特徴・スペック

引用:GIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDE | GIRAFFE-BEAM | PUTTERS | ODYSSEY
メーカー | オデッセイ(Callaway) |
---|---|
シリーズ | ジラフ・ビーム(GIRAFFE-BEAM) |
発売日 | 2024年7月26日 |
新品価格 | 39,600円 |
中古最安値 | 20,000円 |
中古最高値 | 35,000円 |
ヘッドの形状 | ピンタイプ |
ヘッドの素材 | ステンレススチール+アルミソールプレート+タングステン |
ヘッドの重量 | 約360g |
ネックの形状 | クランクネック(ロングネック仕様) |
シャフトの素材 | スチール(Stroke Lab 90シャフト) |
ロフト角 | 3 |
シャフトの長さ | 33〜34インチ |
※中古最安値、中古最高値は2025年5月時点
ヘッド形状:
一見ブレード型(いわゆるアンサータイプ)ですが、通常のブレードよりフェース面が広い「ダブルワイド」デザインです。
ブレード型の構えやすさを残しつつ、ヘッド後方のボリュームで安定感も向上しています。
ロングネック
ネック部分はクランクホーゼルの垂直部分を延長したロングネック仕様。
その名もキリン(=Giraffe)のように首が長い特徴的な設計です。
これにより重心角がフェースバランスに近づき、インパクト時にフェースが開閉しにくくなっています。
複合素材ヘッド
ヘッドはステンレススチールを主材とし、ソールにアルミプレート、さらにタングステンを組み合わせています。
高比重のタングステンを効果的に配置することで前重心化と慣性モーメントの両立を図っています。
フェースにはオデッセイ定番のホワイト・ホット インサートを搭載し、ソフトな打感と安定した転がりを実現しています。
重量・シャフト
ヘッド単体の実測重量は非公表ですが、約360g前後と推定され、10gのソールウェイトがヒール・トウに各2個装着されています。
通常のロングネックよりもネック自体を最大14g軽量化することで、ヘッドの重心が極端に高くならないよう配慮されています。
シャフトには新設計のStroke Lab 90が装着されます。
このシャフトは全重量90gのスチール製で、従来のストロークラボ(カーボン複合)より重め・剛性高めの設計です。長さは標準34インチで、33インチも選択可能です。グリップはキリン柄があしらわれた専用ピストルグリップ(約76g)を装着しています。
パターの特徴
GIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDEパターの性能を、「操作性」「ミスヒット耐性」「打感」「重量バランス」「重心設計」「価格」の6項目で5段階評価し、その理由を解説します。

操作性:4/5
構えたときの方向の合わせやすさは抜群です。ヘッドが適度に四角く大きいためターゲットに対して直角に構えやすく、テークバックも自然に真っ直ぐ引けます。
ロングネックによりフェースの開閉度合いが少なく抑えられているため、ストローク中もフェースがブレにくく「真っすぐ・真っすぐ」に動かしやすい印象です。
一方で従来のブレード型に比べると意図的にフェースを開いて操作する余地は減るため、強いフックラインなどでフェースローテーションを多用するプレーヤーには最初少し慣れが必要かもしれません。
ミスヒット耐性:4/5
ブレード型としては非常に高い寛容性を備えています。
ネックの断面を建築用梁のようなH型構造にすることでオフセンターヒット時のねじれを抑えており、芯を外した時でもヘッドがブレにくい設計です。
またヘッド前方に配置されたタングステンやヒール・トウのソールウェイトにより慣性モーメントが向上し、スイートスポットが広めです。
その結果、「見た目以上にやさしく打てる」という声もあるほど打点ブレに強く、多少ヒール寄り・トウ寄りに当たってもカップ方向への直進性と距離感のロスが少なく感じられます。
ただし、さすがにスパイダー系の大型マレット(高MOIタイプ)ほどのミスヒット耐性はなく、極端なオフヒットでは影響は出ますので★5満点とはしていません。
打感:4/5
インサート特有のソフトな打感に程よい弾き感が加わったフィーリングです。
インパクト時の打音は大きすぎず、小気味よいやや硬めの「カチッ」という音で、余計な残響もほとんどありません。
ホワイト・ホットインサートらしい柔らかな触感がありつつも、ボール初速は適度に出るため“ソフトすぎず硬すぎない絶妙な打感”と言えます。
実際のユーザーからも「とにかく打感も最高です」という評価があり、芯でヒットした際の心地よさと転がりの良さが両立しています。
一方、インパクト時の手応えは敏感で、僅かな打点ズレもフィードバックされる繊細さがあります。
このため、人によっては「もう少しマイルドでもいい」と感じる可能性があるため★4としました。
重量バランス:3/5
全体重量は約520g前後とパターとして標準的ですが、ヘッドとシャフトの配分が独特でややヘッドが軽く感じるバランスです。
実際、「ヘッド重量が軽いので最初はタッチが合わなかった」という声もあり、特に重めのヘッドに慣れた方は距離感の調整に少し時間が必要かもしれません。
ただしこれは裏を返せば振り心地が軽快ということであり、ロングネックでもヘッドが重たく寝るような違和感はありません。
むしろストロークラボ90シャフトの重みで手元側に適度な重量を感じるためストロークの安定感は高く、ヘッドがスッと自然に動くバランス調整になっています。
慣れてしまえば「振り子のようにスムーズにストロークできる」と評価するユーザーもおり、軽さは大きな欠点ではありませんが、好みが分かれる点として★3としました。
重心設計:5/5
ロングネック+前方配重という先進的な重心設計は大きなアドバンテージです。
クランクネックの首を長くしたことで重心角がフェースバランスに近い値となり、ストローク中常にフェース面がターゲットに向きやすくなっています。
これにより「ブレード型が好みだけどセンターシャフトのような直進性も欲しい」というニーズに応える性能を実現しています。
さらにヘッド前方に重量の約80%が集中するよう配慮され(タングステン内蔵)、重心深度は浅めです。この浅重心化によって順回転がかかりやすく、打ち出し直後からボールがスムーズに転がるメリットも期待できます。
実際、本モデル開発の背景には「フェースの開閉をしないストロークを採用するツアープロ」が増えていることがあり、その要求に応えた重心設計と言えます。最新技術を惜しみなく投入した重心バランスはまさに★5に値するでしょう。
価格:3/5
定価は税込39,600円~44,000円前後と、パターとしては中~高価格帯に位置します。
スコッティ・キャメロンなど他社高級パターよりはやや手頃ですが、オデッセイの一般ラインナップと比べると高めの設定です。
また数量限定モデルのため基本的に新品の値引き販売は少なく、購入するなら定価相当の出費を覚悟する必要があります。
一方、中古市場では状態によって2万円台から出回り始めており、入手自体は困難ではありません。
とはいえ人気ゆえ中古でも高値傾向で、「限定デザイン料」が上乗せされた価格設定と見る向きもあります。
以上を踏まえ、性能には見合った価値があるもののコストパフォーマンス面では★3としました。
他の人気パターとの比較(◎○△の表形式)
代表的な競合パター4モデルとGIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDEの特徴を比較し、相対評価を◎○△で表にまとめました。
比較モデル(メーカー) | 打感 | 操作性 | ミスヒット耐性 | 価格 | 使用プロ実績 |
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スコッティキャメロン セレクト Newport2(タイトリスト) | ◎ (ソリッドで上質) | △ (上級者向け) | △ (低い) | △ (非常に高価) | ◎ (多くのトッププロ) |
オデッセイ Tri-Hot 5K ダブルワイド(キャロウェイ) | ○ (White Hot系) | ○ (比較的易しい) | ○ (高MOIで安定) | △ (高価) | ○ (一部プロ使用) |
テーラーメイド Spider GT(テーラーメイド) | △ (やや硬め) | ◎ (抜群に易しい) | ◎ (極めて高い) | ○ (中価格) | ○ (一部プロ使用) |
ピン Sigma2 Anser(PING) | ○ (非常にソフト) | △ (標準的) | △ (低い) | ◎ (手ごろ) | △ (プロ使用少なめ) |
打感
スコッティキャメロン Newport2は303ステンレス削り出しのソリッドな打感でプロからも評価が高く◎。
【ホワイト・ホット インサート】を搭載するTri-Hot 5Kやジラフビームはソフトかつ弾きの良い打感で○です。
一方、Spider GTはアルミニウムと樹脂を組み合わせたPureRoll2インサートによりやや硬めで「ボールが強く弾く」フィーリングとの声もあり△傾向。
ピン Sigma2 Anserは独自のデュアルインサートで非常に柔らかく静かな打感が特徴で○(ソフト好きなら◎級)となっています。
操作性
大型マレットのSpider GTは高慣性モーメントながら構えやすいデザインで、直進的なストロークを誰でも実現しやすく◎です。
Tri-Hot 5Kダブルワイドとジラフビームはブレード型としては安定感があり、平均的なゴルファーでも扱いやすいため○評価です。
ピン Sigma2 Anserやスコッティ Newport2のようなピン型ブレードはフェースの開閉による繊細なコントロールが可能な反面、ストロークの再現性を保つには技術が要るため操作性は△に留めました。
ミスヒット耐性
慣性モーメント重視で設計されたSpider GTは芯を外してもブレにくく◎。
Tri-Hot 5Kダブルワイドはタングステン重量でブレードながら5,000近いMOIを実現しており大型マレット並みの安定性で○、ジラフビームもそれに次ぐ高い寛容性で○です。
対してニューポート2やAnserはヘッドが小ぶりで重心深度も浅く、芯を外すと方向・距離のロスが顕著なため△となります。
価格
もっとも高額なのはスコッティキャメロンで定価60,000円以上と群を抜いて△。Tri-Hot 5Kも50,000円前後と高価で△です。
Spider GTとジラフビームは定価約40,000円台で○、ピン Sigma2シリーズは30,000円前後と性能の割に求めやすく◎です。
※実勢ではSpider系は型落ちで値下がり傾向、ジラフビームは限定品につき中古価格維持など差異があります。
使用プロ
スコッティキャメロン Newport2は言わずと知れたツアー定番で、タイガー・ウッズを筆頭に多くのトッププロが使用し続ける実績があり◎。
オデッセイ Tri-Hot 5Kは新シリーズゆえ採用例こそ多くありませんが、オデッセイ契約プロの一部が使用しており○程度。
テーラーメイド Spiderシリーズは松山英樹選手(旧Spider Tour使用)やダスティン・ジョンソン選手(Spider Tour使用)など過去に多数の実績があり、Spider GTも一部プロが使用しているため○。
ピン Sigma2 Anserはプロよりアマチュア志向のモデルで、PING契約プロでも使用は少なく△となっています。
ジラフビーム ダブルワイドは発売直後から国内女子ツアーを中心に使用者が増加傾向にあり、今後に期待ですが国際的な実績はこれからです。
ツアープロの使用例
発売直後から国内女子ツアーの練習グリーンでも使用率がかなり高く、プロたちの関心の高さがうかがえます。
オデッセイ契約の柏原明日架プロもその一人で、早速このパターをテストしたそうです。柏原プロは「ダブルワイドを打ってみましたが、見た目も座りも良く、ブレード型なのにフェースの開閉度合が少なく真っすぐ引きやすいですね」とコメントしています。
ロングネック化による直進性の高さをプロ自身も実感しているようで、「これから調整して再テストする予定」と、本格的にバッグに入れることも視野に入れていました。
また吉田優利プロはこのパターを使って、2025年の国内女子ツアー「Vポイント×SMBCレディス」で優勝しました。
吉田優利プロの使用感
ジュニア時代から「オデッセイ オー・ワークス ブラック #2W」を愛用していた吉田優利プロですが、2025年シーズンより「オデッセイ GIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDE(DW)」にスイッチしています。
国内女子ツアー「Vポイント×SMBCレディス」では3日間でそれぞれ25パット・24パット・29パットという好スコアを記録。
パーオンホールあたりの平均パット数は1.5946とツアー屈指の数字をマークし、パッティングの安定感に大きく貢献しました。
長いクランクネック設計により「フェースローテーションが抑えられ、真っすぐ引きやすく出しやすい」と語っており、特にショートパットでの方向性のブレが激減したと高評価を得ています。
吉田プロの実戦投入効果が示すように、GIRAFFE-BEAM DWはプロレベルでも十分通用する「真っすぐ転がす」パフォーマンスと安定感を兼ね備えています。
他にも実際にジラフビームを試した複数のプロからは、「ロングネックモデルを待っていた!」、「見た目以上にやさしく打てる」、「カッパー(銅)仕上げがカッコいい!」といった好意的な声が届いています。
デザインのインパクトもありつつ、性能面でもプロの要求に応える出来栄えであることが伺えます。
海外ツアーではまだ主だった採用例は多くありませんが、PGAツアーでも一部の選手がクランクネックをロングネックに改造して使い始めているという報道もあり、今後ジラフビームシリーズが世界的に広がる可能性もあります。
プロレベルでも「フェースバランスで真っ直ぐ打ちたい」というニーズが高まっている証左であり、ジラフビーム ダブルワイドはまさにそのトレンドにマッチしたクラブと言えるでしょう。
一般ユーザーの口コミ・レビューまとめ
実際にジラフビーム ダブルワイドパターを使用したアマチュアゴルファーの声も調査しました。総合すると、好評な点は「方向性の安定」と「打感」、やや指摘が多いのは「ヘッドの軽さ(距離感)」や「デザインの好み」といった点でした。
良い口コミ
方向性・安定感
「ショートパットの安定感と安心感が抜群に向上しました!」という声が多く見られます。
実際、ある50代男性(平均スコア85~89)のユーザーレビューでは、ジラフビームに替えてからショートパットが格段に安定し、フェースバランスに近い効果でセンターシャフトパターに近い安心感が得られたと絶賛されています。
また「方向性は抜群に良くなり、初使用ラウンドで総パット数が30に改善した」という報告もあり、直進性の高さがスコアメイクに貢献しているようです。ブ
レード型にもかかわらずミスに強くやさしいという評価も多く、前述のプロ同様「見た目より寛容で扱いやすい」という印象を持つ一般ゴルファーが多数です。
打感・フィーリング
打感に関しても「打音が心地よく、柔らかいのにしっかり転がる」という好評価が寄せられています。
特にオデッセイのインサート打感に慣れたユーザーからは「ホワイトホットらしい最高の打感」と評価されており、ソフトな中にも芯を感じるフィーリングが好評です。
また「ヘッドカラーがカッパー色でレトロ感があってかっこいい」というデザインと打感の両面で満足している口コミも見られました。
悪い口コミ
距離感・ヘッドの軽さ
否定的な意見で目立つのは、「ヘッドが軽く感じて最初は距離感が合わなかった」という点です。
実際に使い始めた直後は打ちすぎてオーバーしたり、逆にビビってショートしたりと距離勘に戸惑うユーザーもいました。
ただし「数ラウンドで慣れてしまえば問題ない」という声がほとんどで、慣れた後はむしろタッチが出しやすいという意見もあります。
総じて慣れの問題であり、大きな欠点とは捉えられていませんが、重めのパターから持ち替える場合は注意が必要でしょう。
デザインの好み
デザイン面では「グリップのキリン柄はちょっと派手すぎる」「遊び心が強すぎて合わない」という声も一部あります。
実際に某レビューサイトでは「激アツ演出絵柄グリップ!」とパチンコの演出になぞらえて辛口評価を付けたユーザーもいました。
銅色ヘッドやユニークな模様は好みが分かれるポイントで、シンプルな黒やシルバーのパターに慣れている人には抵抗があるかもしれません。
一方で「個性的で所有欲を満たす」とポジティブに捉える声も多く、デザインはまさに評価が二極化する部分です。
その他の口コミ
その他、「打点がズレると手に敏感に伝わるので練習になる」という意見や、「ネックが長いので構えた時にボールが近くに感じ、方向をイメージしやすい」という細かな声もありました。
総合すると、ジラフビーム ダブルワイド パターは方向安定性とフィーリング面でユーザー満足度が高く、一部に慣れが必要な点やデザインの好き嫌いはあるものの、概ね高評価と言えます。
筆者の試打インプレッション
ゴルフ歴20年・平均スコア80台の筆者による実際の試打レビューです。

引用:GIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDE | GIRAFFE-BEAM | PUTTERS | ODYSSEY
春先の晴れた午後、筆者(平均スコア80台)はホームコースの練習グリーンでGIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDEパターを手にしました。第一印象は「おお、確かに首が長い!」でした。
クラシックなPING型(ブレード型)のヘッドになじみのある私から見ても、クランクネックの伸びた独特なシルエットは新鮮で、まるでアンサー型パターにセンターシャフトを挿したような不思議な感覚です。
しかしアドレスしてみると、その違和感はすぐに消えました。ヘッドをボール後方にセットすると、驚くほど構えやすいのです。
銅色ヘッドのトップラインには余計なラインがなくスッキリしていますが、四角い輪郭と適度な厚みのおかげで狙いがつけやすく、ボールを包み込むように構えられます。
「これなら真っ直ぐ引けそうだ」と直感しました。
実際に打ってみると、予想通り直進性の高さに驚きました。
1.5mのストレートラインを何球も試しましたが、フェースが変に開いたり被ったりせず、常に目標に向いて動いてくれる感覚があります。
私は普段オフセットの大きいネックのブレードパターを使っており、ややインサイドに引いてフェースを開閉するタイプのストロークです。
最初は同じ感覚でストロークしましたが、このジラフビームはフェースを開こうとしても勝手に戻ってくるような感じで、結果的にほぼ真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す stroke に自然と矯正されました。
そのおかげか、打ち出し方向のブレが極めて少なく、芯で当たればカップを外す気がしません。「ショートパットが入る」というユーザー評価もうなずける安定感でした。
打感も好印象でした。
インパクトの音は「コツン」と控えめですが澄んだ高音で、軟らかさの中に芯のあるフィーリングです。
私は以前オデッセイのWHITE HOT #1(ホワイトホットインサート搭載)を使っていたことがありますが、それより少し弾きが良くシャープな打感に感じました。
おそらくネックやヘッド素材による剛性感の違いでしょう。
ボールスピードは想像以上に出ます。最初、10mのロングパットで少しオーバーさせてしまいましたが、これはヘッドの軽快さゆえに振り幅が大きくなったことと、インサートの反発で予想よりボールが伸びたことが原因でした。
でも数球で適応でき、むしろ慣れると距離感が合わせやすくなりました。
フェース中央でヒットしたときの転がりは滑らかで、ボールが跳ねずにスーッと順回転に乗るのが見て取れます。これは浅い重心設計のおかげかもしれません。
一方、打点を意図的にずらしてみたテストでは、たとえばヒール寄りに当ててもカップまで大きくショートしませんし、方向もそれほど狂いませんでした。
さすがに極端に外すと打感が硬くなり距離も落ちましたが、それでも従来のブレードパターよりはかなり寛容です。
「芯を外してもそこそこ許してくれる」安心感があり、これはスコアメーク上大きな武器になります。
構えていて感じたのは、ロングネックでもストローク時に違和感が無いことです。
以前一度センターシャフトのパターを試した際、ストローク中にヘッドの向きがつかみにくい経験をしましたが、ジラフビームはネックが伸びていてもオフセットがある分、目線で捉えたときに違和感がありません。
むしろヘッド後方にネックの影が少し見えることで、フェース面の向きを把握しやすかったです。
そしてStroke Lab 90シャフトは全体がスチールで少し重たいせいか、バックストロークからインパクトまでヘッドがブレずに一貫したテンポで振り子運動してくれます。
重心が手元に寄ったような独特のフィールですが、これはこれで心地よく、私はすぐに馴染みました。
最後にデザインについて。練習グリーンで一緒だったゴルフ仲間数人にも意見を聞いてみました。評価は真っ二つでした。
「その銅色カッコいいじゃん!なにそれ?」と興味津々の人もいれば、「ちょっと派手すぎてオモチャみたいだね」と渋い反応の人もいました。
ヘッドソールのキリン模様やグリップの柄も話題になり、「可愛い!」という女性メンバーもいれば「僕はシンプルなのがいいな」と言う男性メンバーも。個人的には構えてしまえば派手さは感じず、むしろボールとカップだけに集中できる落ち着いた色味だと思いました。
プレー中に人と被らない所有感もあり、私はこのデザインを気に入りました。
総合的に見て、ジラフビーム ダブルワイドパターは「ブレード型の操作性にマレット型の安定感を融合した逸品」と感じました。
ショートパットの入り方が明らかに良くなる一方、ロングパットでも距離感さえ掴めばしっかり寄せていけます。
20年間いろいろなパターを使ってきましたが、初見のインパクトからこれだけ安心感を得られたパターは久しぶりです。
強いて言えば、フェースを開閉してタッチを出すタイプの私には“自動的に真っ直ぐ行き過ぎる”印象も少しあり、意図的に曲げるような特殊なシチュエーションでは慣れが必要かもしれません。
しかし、パッティングの基本である「まっすぐ引いてまっすぐ出す」という点でこのパターは理想的であり、スコア80台の中級ゴルファーである私にとって十分ゲーム改善に貢献してくれるポテンシャルを備えていると実感しました。
メリット・デメリット
メリット
方向性が抜群に安定
長いクランクネックによるフェースバランス設計でフェースの向きが狂いにくく、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出しやすい。
プレッシャーのかかる短いパットでもラインに乗せやすく、安定感が向上します。
ブレード型なのにやさしい
広めのフェースとH型ネック構造、そしてヒール・トウの重量配分によりミスヒットに強いです。
多少芯を外しても距離ロス・方向ブレが少なく、ブレード型にありがちなシビアさが軽減されています。
打感が心地よい
ホワイトホットインサート特有のソフトな打感に加え、硬すぎない澄んだ打音でフィードバックが得られます。
ボールに順回転が乗りやすく、打った瞬間に「転がりの良さ」を実感できます。
構えやすくアライメントしやすい
ヘッド形状が適度に大きく直線的なので、ターゲットに対してスクエアに構えやすいです。
初心者でも狙いがつけやすく、上級者にとってもセットアップの再現性が向上します。
ブレード派とマレット派の中間を満たす
「ブレード型の見た目やタッチが好きだが、マレット型の安定感も欲しい」というニーズにピッタリの性能です。
実際ツアーでもこの“いいとこ取り”設計が注目されつつあります。
個性的なデザイン
キリンをモチーフにしたユニークなカラー・模様は所有欲を刺激します。
他の人と被りにくく、バッグの中で映えるデザインは話題作りにもなります。
デメリット
価格がやや高め
限定モデルゆえ定価販売が基本で、4万円前後の出費は覚悟が必要です。
手頃なパターに比べると投資額は大きく、中古でも高値維持傾向があります。
ヘッドが軽く感じる場合がある
全体的に軽快なバランスのため、慣れないうちは距離感が合いにくいことがあります。
「ヘッドがもう少し重い方が安心」というゴルファーには好みが分かれるポイントです。
デザインの好き嫌い
カッパー仕上げやキリン柄のデザインは斬新で個性的ですが、人によっては「派手すぎる」「伝統的でない」と感じる場合も。
特に保守的な見た目を好む方には受け入れにくい可能性があります。
強いアークストロークには不向き
フェースバランス寄りの重心設計のため、インサイドに大きく引いて開閉させるようなストロークにはマッチしにくいです。
意図的にフェースローテーションを使いたい場面では扱いづらさを感じるかもしれません。
限定ゆえ試打・入手性が限られる
数量限定発売のモデルで生産数が限られているため、店頭で試打クラブが少ない場合があります。実物を見ずに購入するケースも出てくるため、自分に合うかどうか判断が難しい側面があります。
もっとも現在は中古市場にも出回ってきているので入手不能ではありません。
ネック形状の特殊性
ロングネックの見た目や構え感に慣れるまで時間がかかる人もいます。
通常のクランクネックやダブルベントネックから持ち替えると、ボールとの距離感や目線の感じ方が若干変わるため、慣れが必要です。
ただし慣れてしまえば問題にはならないでしょう。
購入前のFAQ(よくある不安・疑問の解消)
- ロングネックのパターって難しくない?自分に使いこなせるか心配です。
-
一般に「L字パター(ピン型+ロングネック)」は上級者向けというイメージがありますが、ジラフビーム ダブルワイドはそれとは異なり非常にマイルドな性能に仕上がっています。
確かにロングネック化でヘッドの挙動は通常と変わりますが、本モデルではむしろフェースが勝手に戻ってきてくれる安定感があり、特別な技術がなくても真っ直ぐ転がしやすいです。
実際、中級者の筆者もすぐに慣れてショートパットの安定性が向上しました。
操作自体はむしろオートマチック寄りで、「曲がりにくいパター」と捉えていただければOKです。
- 従来のブレードパターと何が一番違うの?本当に効果がありますか?
-
大きな違いは重心角と重心深度です。
一般的なブレードパターはトウ(先)が下がる重心角で、ストローク中にフェースが開閉しやすい特性があります。
それに対しジラフビームは重心角を限りなくフェースバランス(トウが下がらずフェースが上を向く状態)に近づけており、ストローク中常にフェース面が目標に正対しやすくなります。
これにより方向性が安定する効果は実証済みです。またヘッド前方に重量の大半を配置した浅い重心設計で、打球に順回転がかかりやすく距離感も合わせやすいメリットがあります。
従来のブレードと比べて「直進性」と「安定した転がり」が段違いなので、効果は明らかです。
- 大型マレットと比べてやさしさ(ミスへの強さ)はどうですか?
-
超大型マレット(例えばテーラーメイドSpiderやオデッセイTENなど)には流石に及びませんが、ブレード型としてはトップクラスのやさしさです。
ヒール・トウに配置されたウェイトやH型ネックの剛性のおかげで、芯を外したときのヘッドのブレは最小限に抑えられています。
実際「見た目はブレードだけど打ってみるとマレット並みに易しい」と感じる人も多いです。
一方、Spiderのような極端に高MOIなパターはミスヒット時の距離ロス・方向ブレがさらに少ないので、その点ではマレットが上。ただしジラフビームは構えやすさでマレットに勝る部分もあり、一概にどちらが易しいとは言えません。
総合的には「大型マレット8:このパター9:ブレード6」くらいの易しさイメージです。
- 打感は柔らかい系?それともカチカチ系ですか?
-
「適度に柔らかく、適度にしっかり」という表現がぴったりです。
ホワイトホットインサートを採用しているので基本路線は柔らかめですが、ヘッドに金属(ステンレス・タングステン)が多く使われているためかインパクト音は澄んだ高めの音が出ます。
打感としてはボールがフェースに乗るソフトさと弾く感触のバランスが良く、芯に当たると非常に心地よいです。
「ヌルッ」とした軟らかさではなく「モチッ」とした手応え、と言えば伝わるでしょうか。
硬い打感が好きな方には少し物足りないかもしれませんが、多くのゴルファーが好むフィーリングに調整されていると感じます。
- デザインが独特だけど、アドレス時に気になりませんか?派手すぎない?
-
アドレス時に見える部分はヘッド上面の銅色くらいで、キリン模様やイラストが視界に入ることはありません。
そのため構えたときにデザインが気になることは全くありませんでした(筆者談)。
むしろ銅色は芝の緑によく映えてボールの白も認識しやすく、落ち着いて構えられます。「派手すぎるのでは?」という心配はご無用です。
確かにヘッドをひっくり返したソール面やグリップには遊び心ある柄が入っていますが、プレー中は見えない部分ですので実用上の問題はありません。
人目について恥ずかしいということもないでしょう。むしろラウンド後に仲間内で「それ何!?かわいい!」と話題になるポジティブな面の方が大きいと思います。
- 自分はややフェースを開閉するストロークなんだけど、このパターに変えても大丈夫?
-
はい、大丈夫です。フェースバランスに近いパターは基本的に真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出すストロークにマッチします。
しかし、だからといってフェースを全くローテーションできないわけではありません。
ジラフビーム ダブルワイドも慣れればインサイドインの軌道に乗せることも可能ですし、インパクトでフェースを返す動きも抑制はされますがゼロにはなりません。
「開閉せずに打つ感覚」に最初は戸惑うかもしれませんが、むしろそれに慣れてしまえば安定感が増すメリットがあります。
どうしても違和感がある場合は構えを少しオープンスタンスにするなど調整してみてください。
それでも合わない極端なアーク型ストロークの方は、フェースバランス型ではないブレード(オデッセイなら#1や#9タイプ)を検討した方が良いかもしれません。
どんな人におすすめ?
パターの方向性に不安がある人
ショートパットを外す原因の多くはフェースの向きのブレと言われます。
このパターはフェースが開閉しにくく方向性が安定するため、短いパットを確実に沈めたい人に向いています。
「ここ一番で引っかけて外す」「プッシュしがち」といった悩みを持つゴルファーには大いに助けとなるでしょう。
ストレートにストロークしたい人
普段から真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出すストロークを心がけている人や、センターシャフトパターを試したことがある人にはピッタリです。
フェースバランス系なのでストロークの再現性が高く、思い描いたラインに素直に転がせます。
プロの間でも“ストロークを真っ直ぐに矯正してくれるパター”として注目されているほどで、直進性を求める人におすすめできます。
ブレード型の見た目が好きだが易しさも欲しい人
ジラフビーム ダブルワイドはブレード型の伝統的な形状を保ちながら、マレット型のやさしさを持ち合わせています。
ピン型パターのシャープな見た目や繊細なタッチが好きだけど、「もう少しミスに強ければ…」と感じている中級者の方に理想的な一本です。
ベストスコア90前後~70台の中上級者で、ブレードとマレットのいいとこ取りを求める人にはまさに打ってつけでしょう。
個性的なクラブでモチベーションを上げたい人
周りとは違うデザインのクラブを持つと練習やラウンドのモチベーションが上がるタイプの方にもおすすめです。
キリン柄や銅色の輝きは所有する喜びがあり、コレクター心をくすぐります。
性能はもちろん重視しつつ、持っていて楽しくなるパターを探している人には満足度が高いでしょう。
平均スコア100前後のアベレージゴルファー
一見上級者向けに思われがちですが、実はパッティングが不安定なゴルファーほど恩恵を受けやすいクラブです。
直進性とミスヒット耐性が高いため、パット数削減に直結します。
強いて言えば、あまりにもストロークが不安定な初心者の場合はまず基本を身につける必要がありますが、ある程度パターの打ち方が固まってきたらこのパターに頼るのも良い選択でしょう。
「スコア100切り」の大きなカギであるパット改善に力を発揮してくれます。
あまりおすすめしないケース
フェースを大きく開閉するストロークで長年結果を出してきた上級者(いわゆるL字パターマスター)や、非常に重いヘッドのパター(例えばアイアン型パターやバランスD7以上の重ヘッド)を愛用している方にはフィーリングが合わない可能性があります。
また、奇抜なデザインがどうしても受け入れられないという人は無理に使う必要はありません。
その場合、同じオデッセイのTri-Hot 5Kや従来モデルを検討すると良いでしょう。
記事のまとめ
「GIRAFFE-BEAM DOUBLE WIDEパター」は、ロングネックというユニークな発想とオデッセイの確かな技術力が融合した、新時代のブレードパターです。
ツアープロから一般ゴルファーまで幅広い支持を得つつあり、その直進性の高さと扱いやすさは各種レビューで立証済みです。
ブレード型のシャープな感覚を残しながら、ミスに対する強さと安定感を大幅に向上させた本モデルは、「入れ頃外し頃」のパットに悩むゴルファーの強い味方となってくれるでしょう。
限定モデルならではの所有する喜びや話題性も備えており、ゴルフバッグに加える一本としても満足度は高いはずです。
価格やデザインなど検討すべき要素はありますが、総合的に見て性能面のメリットがそれらを上回る魅力的なパターです。
もしあなたが方向性のブレやパットの不安を少しでも減らしたいと考えているなら、ぜひ一度この「キリンパター」を手に取ってみてください。
構えた瞬間、そして打った瞬間に感じる安定感に、きっと驚くことでしょう。
以上、オデッセイ ジラフビーム ダブルワイド パターの特徴・評価を徹底解説しました。
良い点も悪い点も包み隠さずお伝えしましたので、自身のプレースタイルや好みに照らし合わせて、購入判断の参考にしていただければ幸いです。
パター選びは非常に個人差がありますが、本記事が皆様のベストな一本を見つける一助になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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