ゴルフというスポーツにおいて、「パター」は最も繊細で、しかし最もスコアに直結するクラブです。多くのゴルファーが、技術を磨いてもなかなか解決できない共通の悩みを抱えています。それは、「真っすぐ引いているはずなのに、なぜかインパクトでフェースがブレる」という現象です。
特に短い距離のパットで、打ち出し方向がわずかにズレるだけで、ボールはカップの脇をすり抜けてしまいます。
このフェースのブレは、パターの構造上、避けられない問題とされてきました。特に、ヘッド中央にシャフトが接続される「センターシャフト」のパターは、構えやすさや感覚的な操作性に優れる反面、芯を外した時のねじれ(ミスヒット耐性)が通常のパターよりも弱い傾向がありました。
多くのゴルファーがセンターシャフトを試したいと思いながらも、その安定性の不足から使用を諦めてきた歴史があります。
しかし、今回ご紹介するテーラーメイドの「Spider TOUR X TRUSS TM2 トラスセンター」は、その常識を根底から覆すために開発された、まさにパッティングの悩みを「終わらせる」ための最終兵器です。
テーラーメイドは、マレット型パターの代名詞である「スパイダー」シリーズの高い安定性と、センターシャフトの持つ構えやすさ、そして革新的な「TRUSS(トラス)」技術を融合させました。
本記事では、このTM2パターがなぜショートパットの決定力を劇的に高めるのか、その技術の秘密を徹底的に解説します。競合製品との詳細な比較、実際に使用したゴルファーたちの忖度ない評価、そして購入前に解消すべき不安まで、あなたがこのパターを購入して後悔しないための確かな情報を提供します。
この記事を読み終えたとき、あなたはグリーン上で、これまでとは全く違う自信を感じているはずです。
特徴・スペック:TRUSS TM2の設計思想を徹底解析
Spider TOUR X TRUSS TM2(以下、TM2)は、その見た目の洗練さだけでなく、内部に込められた素材や技術にも大きな特徴があります。ここでは、このパターの基本的な仕様をデータとして整理し、その裏にある設計思想を掘り下げます。
Spider TOUR X TRUSS TM2 基本スペック表
TM2の構造は、複合素材を組み合わせることで、従来のパターでは達成できなかった高い慣性モーメント(MOI)と、繊細な打感を両立させることを目指しています。

Spider TOUR X TRUSS TM2 基本仕様と価格情報
| メーカー | Taylormade |
|---|---|
| シリーズ | Spider TOUR X |
| 発売日 | 2024年3月8日 |
| 新品価格 | 45,540円 |
| 中古最安値 | 31,680円 |
| 中古最高値 | 56,925円 |
| ヘッドの形状 | ネオマレットタイプ |
| ヘッドの素材 | 304SS(ステンレススチール)+カーボンコンポジット、TSSウェイト、HYBRAR®ダンパー |
| ヘッドの重量 | 355g |
| ネックの形状 | トラスセンター(TM2) |
| シャフトの素材 | スチール |
| ロフト角 | 3 |
| シャフトの長さ | 33〜34インチ |
※中古最安値、中古最高値は2025年12月時点
複合素材が実現する「中軽外重」設計
このスペック表で特に注目すべきは「ヘッドの素材」です。TM2のヘッドは、ただの金属の塊ではありません。本体にはステンレススチール(304SS)が使われていますが、内部には非常に軽い「カーボンコンポジット」パネルが組み込まれています。
これは、ヘッドの重さを効率的にコントロールするための工夫です。
例えば、ヘッドの中心部を軽いカーボンにすることで、余った重さを「TSSウェイト」としてヘッドの外周(周り)に集中させています。
これが、パターのミスヒット耐性を高める「中軽外重(ちゅうけいがいじゅう)」設計の核心です。
この設計により、ヘッドの慣性モーメント(MOI:ねじれにくさ)が極限まで高められ、芯を外してしまったときでも、フェースが目標からねじれるのを防いでくれるのです。
価格設定と市場での信頼性
新品価格は45,540円(税込)と比較的高価ですが、このTM2が市場でどのように評価されているかは、中古価格の動向から見て取ることができます。
発売から日が浅いモデルにもかかわらず、中古市場では最安値が約31,680円、最高値が約41,079円と、新品価格の7割以上の価値を安定して維持しています。
これは、単に製品の需要が高いだけでなく、TM2が搭載している「TRUSS技術」や複合素材による高性能が、多くのゴルファーから長期的な価値を認められている証拠です。
初期投資額は大きいかもしれませんが、もし将来的に手放すことになっても、高いリセールバリューが期待できるため、購入時の価格に対する不安を大きく軽減してくれます。
パターの特徴:神安定の技術とフィーリングの変化
TM2の最大のアイデンティティは、もちろん、トラスセンターシャフトと、それによってもたらされる劇的な安定性です。
TRUSS構造(トラスセンターネック)の秘密:ブレを打ち消す三角形の橋
センターシャフトパターが抱える最大の弱点は、シャフトがヘッドの中央一点で接続されているため、打点がわずかにズレるだけで、ヘッドにねじれの力が強くかかってしまう点にありました。
このTM2では、その弱点を克服するために、日本市場限定で開発された「トラスセンター(TM2)」ネックを採用しています。
TRUSS構造の仕組み:ブレを打ち消す三角形の柱
このTM2パターのネックは、大きな橋や鉄塔に使われる「トラス構造」の考え方を取り入れています。トラス構造とは、細い部材を三角形に組み合わせて強度を最大限に高める構造です。
三角形は力を加えても形が崩れにくい最も安定した図形です。シャフトの先端が二股に分かれ、まるで強固な三角形の柱のようにヘッドを支えるイメージで設計されています。
これにより、インパクトでボールが芯を外れても、この三角形の橋がフェースのねじれを瞬時に打ち消します。
結果として、センターシャフトでありながら、従来のセンターシャフトでは考えられなかったレベルの「ねじれに対する強さ」、つまり驚異的な直進安定性を実現しているのです。
劇的な進化を遂げた「打感」:オデッセイにも匹敵する柔らかさ
パター選びにおいて、安定性と同じくらい重要なのが「打感」です。過去のSpiderシリーズは、直進安定性は高かったものの、打感が硬いと感じるゴルファーも少なくありませんでした。
しかし、TM2ではこの点が劇的に改善されています。
複数のユーザーレビューでは、「ピュアロールの硬い感じは全く無くなりホワイトホットを打ってるかのように柔らかくなりました。
これは私にとっては好ましいアップデートでした」と、競合ブランドの人気モデル(オデッセイのホワイトホット)に匹敵する柔らかさを得たことが報告されています。
このソフトフィーリングは、フェースに採用された「Ionomer(アイオノマー)+アルミ」素材と、ヘッド内部の振動吸収材「HYBRAR®ダンパー」によるものです。
テーラーメイドは、高MOIパターでありながら、多くのゴルファーが好む「ソフトでマイルドな打感」を意図的に採用することで、フィーリングを重視する幅広いユーザー層、特にライバルブランドのユーザーを取り込む戦略に出ていると考えられます。
ただし、打感が柔らかくなった一方で、音については注意が必要です。
試打をしたゴルファーの中には、打音が「若干軽い感じがして乾いた感じがする」という評価もあります。
打感と打音は、使っているボールや個人の感覚によって大きく変わるため、購入を決める際は、普段使用しているボールを持参して試打コーナーで確認することが、後悔しないための重要なポイントとなります。
パターの特徴:5段階レーダーチャートと評価の理由
TM2の総合的な性能を、6つの重要項目で評価し、その理由を詳細に解説します。評価は5段階(1:最低 ~ 5:最高)です。
Spider TOUR X TRUSS TM2 性能レーダーチャート

| 項目 | 評価 (5段階) | 評価の理由と技術的な背景 |
| 操作性 | 4 | センターシャフトであり、ヘッドが構えやすく、ストロークの再現性が高い。 ブレード型のような繊細な開閉を求める操作性ではなく、オートマチックな操作性に優れる。 |
| ミスヒット耐性 | 5 | トラス構造と高MOI「中軽外重」設計の相乗効果で、フェースのねじれが極めて少ない。 ユーザーからも「直進安定性は最高に良い」と高く評価される。 |
| 打感 | 4 | フェース素材の変更により、従来の硬さが解消され、非常に柔らかくマイルドになった。 打音の軽さが好みを分ける可能性があるため4点とした。 |
| 重量バランス | 5 | TSSウェイトがヘッド外周に最適配置され、ストローク中のヘッドのブレを最小限に抑える理想的なバランスを実現している。 |
| 重心設計 | 5 | 低重心設計により、インパクトでボールに効率良く順回転を与える。 これにより、芝の上を転がる距離が伸び、ショートパットでの失速を防ぐ。 |
| 価格 | 3 | 初期の新品価格は高い部類に入るが、卓越した安定性と中古市場での価値の安定性を考慮すると、性能に見合った投資対効果は十分にある。 |
他の人気パターの比較:TM2の市場優位性
TM2が市場でどのような位置づけにあるのかを理解するために、特に人気の高いマレット型およびセンターシャフトのライバルモデルと比較します。TM2の真の価値は、この比較によって明確になります。
評価は、各項目の優位性に基づいて◎(優れている)、○(標準的)、△(やや劣る)の3段階で行います。
人気マレット/センターシャフトパターとの比較
| パターの名称 | 打感 | 操作性 | ミスヒット耐性 | 価格帯 | 特徴・使用プロ |
| Spider TOUR X TRUSS TM2 | ○ | ○ | ◎ | ○ | TRUSS構造による高い直進性。 センターシャフトの安定性を革新。 |
| Odyssey TRI-HOT 5K TWO | ◎ | ○ | ○ | ◎ | 高額だが、打感と操作性に優れる。 削り出しヘッドによる繊細なタッチ。 |
| Odyssey ELEVEN 2-BALL | ○ | ○ | ◎ | ○ | MOIが非常に高く、2-BALLアライメントで構えやすさ抜群。 マレット型の安定性を追求。 |
| PING 2023 DS72 | ◎ | ○ | ○ | ○ | 打感・打音の評価が高く、ヘッドの開閉を抑える設計。 幅広いゴルファーに人気。 |
比較分析:センターシャフトの常識を覆す安定性
この比較表から、TM2の市場における最もユニークで強力な優位性が見えてきます。
センターシャフトで「◎」の安定性
従来、センターシャフトパターはアライメント(構え)がしやすい反面、ミスヒット耐性(MOI)が低く評価されがちでした。しかし、TM2は、マレット型パターの代表格であり、MOIの高さで知られるOdyssey ELEVEN 2-BALLと並ぶ「◎」のミスヒット耐性を達成しています。
これは、TRUSS構造が、センターシャフトの最大の弱点である「フェースのねじれ」を技術的に完全に克服したことを示します。
フィーリングの進化
TM2の打感は「○」評価ですが、これは以前のSpiderシリーズからの劇的な進化を意味します。
削り出し系のTRI-HOT 5Kのような極上の打感には一歩譲るものの、マイルドでソフトなフィーリングは、幅広い層にアピールするものであり、高MOIパターとして非常にバランスが取れています。
唯一無二の選択肢
アライメントが簡単でシンプルなストロークがしやすいセンターシャフトでありながら、マレット型の高MOI性能を享受できるパターは、TM2を除いて市場にほとんど存在しません。
「真っすぐ構えたい、でも絶対にショートパットで打ち負けたくない」というニーズを持つゴルファーにとって、TM2は競合他社にはない唯一無二の選択肢を提供していると言えます。
一般ユーザーの口コミ・レビューまとめ:忖度なしのリアル評価
実際にTM2を購入し、使用している一般のゴルファーたちの声は、製品のリアルな性能と、購入後のギャップを測る上で最も重要な情報源となります。ゴルフショップや通販サイトに投稿されたレビューを分析し、良い点と悪い点を抽出しました。
良い点(メリット):絶賛される直進性
TM2の評価の中で、圧倒的に多く寄せられているのが、その直進安定性に関するものです。
驚異的な直進安定性
ユーザーは「直進性は最高に良い」「真っすぐしっかり転がってくれます」「直進性もあるのでしっかり打てる」と、パッティングのブレの少なさを絶賛しています。
この直進性の高さは、TM2の技術的な核心であるTRUSS構造の恩恵を、一般ゴルファーが明確に感じ取っている証拠です。
ショートパットへの強い味方
安定性が高いため、「特に1mほどのパットに不安が少なくなった」という声があります。
これは、3パットの恐怖を減らし、アベレージゴルファーのスコアメイクに直接貢献する大きなメリットです。
打感の改善
前述の通り、「ホワイトホットを打ってるかのように柔らかくなった」と、打感がソフトになった点が好意的に受け入れられています。
従来のSpiderユーザーにとって、このフィーリングの改善は非常に大きな評価ポイントです。
構えやすさ
「センターシャフトと入っているラインのおかげで真っ直ぐセット出来る」という意見があり、センターシャフト特有のシンプルなアライメントの取りやすさが、安定したショットの土台となっています。
悪い点(デメリット):正直な欠点
一方で、購入前に知っておくべき正直な欠点や、使用上の注意点も挙げられています。これらはパターの欠陥というより、高性能な設計がもたらす特性の裏返しであることが多いです。
ロングパットの距離感の難しさ
「ショートパットは改善された様な気がしますがロングパットは打ちにくく一長一短がある様な気がします」という声や、「距離感は微妙」という評価が見られます。
これは、打感が柔らかいこと、そしてヘッドのMOIが非常に高く安定しているため、繊細なタッチでボールの初速をコントロールするのが難しいと感じるゴルファーがいることを示唆しています。
強打の必要性
一部のユーザーは「今までのパターと比べやや強めに打つ必要があると感じた」と述べています。
これは、ソフトなインサートが採用されているため、従来の硬い打感のパターに比べ、同じ感覚で打った時のボール初速がわずかに遅くなる傾向があるためと考えられます。
ヘッドカバーの扱いづらさ
「カバーが分厚く豪華すぎて扱いにくい」という、性能とは関係ないものの、日常的な使用における小さな不満点も報告されています。
筆者の試打インプレッション(ゴルフ歴20年・平均スコア80台)
私自身、ゴルフ歴20年で平均スコアは80台のアベレージゴルファーですが、パターには特にこだわりがあり、これまでずっとピンタイプやオフセットの強いマレット型を使用してきました。センターシャフトは、見た目の美しさには惹かれつつも、「安定性が低い」という先入観から避けてきた経緯があります。
今回、TM2を試打するにあたり、最も注目したのは、本当にセンターシャフトの弱点が克服されているのか、という点でした。

構えやすさとストロークの安心感
まず、アドレスに入った瞬間、センターシャフト特有の構えやすさを再認識しました。
シャフトがボールの中心を指しているため、目標に対して迷いなくセットできます。TM2は、長いサイトライン(目標線)が入っているおかげで、ターゲットラインとフェースを真っ直ぐに合わせる作業が非常に簡単です。
そして、ストロークを始めると、驚くほどの剛性感を感じました。
TRUSS構造のおかげで、ヘッドの挙動が非常に安定しており、軌道がブレるのではないかという不安が全くありません。いつもはショートパットで「引っかけたくない」という心理から無意識にフェースを開きがちになるのですが、TM2はヘッドが常に目標を向いていようとする力が強いため、自信を持って真っすぐ引いて、真っすぐ押し出せます。
これは、高MOI設計とトラス構造の相乗効果であり、センターシャフトの不安定さという私の先入観を完全に覆す体験でした。
打感とボールの転がり
次に、打感についてです。以前の硬いSpiderのイメージを持っていたため、その変化に驚きました。打音は確かに乾いたような軽い音に聞こえるものの、実際にボールに当たるフィーリングは非常に柔らかくマイルドです。まるで、ボールがフェースに吸い付いてから押し出されるような感覚です。
特筆すべきはボールの転がりです。芯を食ったとき、ボールは力強い順回転で芝の上を伸びていきます。
ショートパット(1〜2メートル)では、打ち出しのズレが極めて少なく、カップインする確率が格段に上がったと感じました。ユーザーレビューにもあるように、このパターは本当に「ショートパットに強い」ということを肌で感じられます。
距離感の課題への正直な評価
一方で、ロングパット(10メートル以上)では、私も最初は距離感を合わせるのに苦労しました。
何度か試打するうちに気づいたのは、このパターが提供する「高安定性」と「ソフトな打感」は、ストロークのエネルギーをボールの初速ではなく、安定した転がりに変換する傾向があるということです。
そのため、従来の硬いパターと同じ感覚で打つと、わずかにショートしやすい傾向があります。これを克服するには、いつもより少しだけストロークの幅を大きくするか、強めにヒットする意識が必要です。
しかし、これはこのパターの欠点ではなく、むしろ高性能な安定性の裏返しと捉えるべきです。ショートパットでの絶大な安心感というメリットを享受できるのであれば、ロングパットで少し強めに打つという調整は、十分許容できる範囲であると結論付けます。
このパターのメリット・デメリット
TM2パターの優れた点と、理解しておくべき注意点を、簡潔にまとめます。
メリット(このパターが優れている点)
- センターシャフトの革命: TRUSS構造により、センターシャフトの最大の弱点であった「フェースのねじれ」を克服。マレット型に匹敵する驚異的な直進安定性を実現しています。
- ショートパットの決定力が向上: 高いミスヒット耐性により、1メートル程度のパットの不安が解消され、自信を持ってストロークできるようになります。
- 打感の快適な改善: フェース素材の変更により、従来の硬さが解消され、ソフトでマイルドなフィーリングを求めるゴルファーにも受け入れられるようになりました。
- 構えやすさの極み: センターシャフト特有の、ボールとターゲットに対する集中力の高さと、シンプルなアライメントラインにより、真っすぐセットするのが容易です。
- 高いリセールバリュー: 新品価格は高額ですが、中古市場での価格が安定しており、万が一合わなかった場合でも売却時のリスクが小さいです。
デメリット(購入前に理解すべき点)
- ロングパットの距離調整に慣れが必要: ソフトな打感と高MOI設計のため、繊細な距離感を出すには、ストロークの大きさや強さを調整する慣れが必要になります。
- 初期投資額が高い: 最新の複合素材と革新的な技術が投入されているため、他のパターと比較して新品の購入価格が高めです。
- ヘッドカバーがかさばる: 性能に影響はありませんが、付属のヘッドカバーが大きく分厚いため、キャディバッグ内でスペースを取り、扱いにくいと感じる可能性があります。
購入前のFAQ(よくある不安・疑問の解消)
高価なパターを購入する際には、多くの潜在的な不安があります。ここでは、読者の皆様が購入に踏み切れるよう、よくある疑問や不安を解消します。
- 難しすぎて自分には使いこなせないのではないか?センターシャフトは上級者向けだと聞いたけど…
-
その不安は、TM2が登場する前のセンターシャフトの常識に基づいています。
これまでのセンターシャフトは、フェースがねじれやすく、上級者が繊細な操作をするために使われる傾向がありました。
しかし、TM2は、そのセンターシャフトの弱点(安定性の欠如)を克服するために、TRUSS構造という特別な技術を使って生まれたモデルです。このパターは、ストローク中にヘッドがブレるのを強力に防いでくれるため、むしろパッティングに悩むアベレージゴルファーにこそ最高の武器となります。
難しい操作は一切必要なく、シンプルに真っすぐストロークすることだけに集中させてくれる「やさしいセンターシャフト」だと考えてください。
- 値段が高いが、すぐに買い替えることになったら後悔する?
-
心配無用です。
TM2は、その高性能と革新的な技術により、パターとしての基本性能が非常に高いため、すぐに性能が陳腐化することはありません。長く愛用できる高性能モデルです。
さらに、価格の項目でも述べた通り、このパターは市場での評価が高く、中古市場でも比較的高い価格を維持しています 。万が一、どうしても手に合わなかった場合でも、高いリセールバリュー(再販価値)が期待できるため、他の安価なパターを買ってすぐに手放すよりも、結果的に損失が少なく済む可能性があります。
高価格帯のクラブを選ぶ際には、この「価値の安定性」も後悔しないための重要な判断材料となります。
- センターシャフトは、やっぱりロングパットで距離感が難しいと聞くが、どう調整すればいい?
-
正直にお伝えすると、ロングパットでの繊細なタッチを出すには、慣れが必要です。これはTM2の欠陥ではなく、高性能な安定性がもたらす「副作用」のようなものです。
TM2は、インパクトエネルギーを直進安定性に効率良く変換するため、従来の硬いパターのように「ボールを弾いて飛ばす」感覚が薄れます。したがって、調整方法としては以下の二点を試してください。
- ストロークの振り幅を意識的に大きくする: いつもより5〜10%ほど大きくバックスイングをとり、フォローを出す意識を持つこと。
- ボール初速を出すための試打: 練習場で、いつも使うボールで様々な距離を打ち、このパターの「基準の強さ」を身体に覚え込ませること。
ショートパットの決定力が劇的に上がるという大きなメリットと引き換えに、ロングパットで少し強めに打つ調整を覚えるトレーニング期間だと思えば、許容できる範囲です。
どんな人におすすめ?
このSpider TOUR X TRUSS TM2 トラスセンターは、すべてのアベレージゴルファーにとって救世主となり得るパターですが、特に以下の悩みを持つゴルファーに強くおすすめします。
- ショートパットの決定力を上げたい人 :1〜2メートルの短いパットで、フェースのブレによるミスが多い人。TM2の驚異的な直進安定性は、あなたのショートパットを「入る」ものに変えてくれます。
- フェースのねじれに悩んでおり、驚異的な直進安定性を求める人 :打点が芯を外れることが多く、マレット型の高MOI性能を必要としている人。
- センターシャフトの構えやすさが好きだが、安定性の低さで諦めていた人 :TRUSS構造が、センターシャフトの不安定さというジレンマを解決します。構えやすく、しかも絶対にブレないパターを求めている人。
- 従来のSpiderシリーズの性能は好きだが、打感が硬くて敬遠していた人 :打感がソフトに進化し、フィーリングが大幅に向上したTM2は、過去のSpiderに抱いていた不満を解消してくれるはずです。
その他スパイダーシリーズについては以下にて紹介しております。




記事のまとめ:あなたのパッティングはTM2で生まれ変わる
テーラーメイドの「Spider TOUR X TRUSS TM2 トラスセンター」は、単なる新しいパターではありません。
それは、パッティングにおけるセンターシャフトの限界を技術的に打ち破った、革新的なモデルです。
トラス構造という強固な三角形の橋が、センターシャフトでありながらマレット型に匹敵するミスヒット耐性と直進安定性を提供します。さらに、新しい複合素材の使用とインサートの改良により、多くのゴルファーが待ち望んだソフトで心地よい打感を実現しました。
確かに、初期投資は高額であり、ロングパットの距離感を掴むための調整期間が必要かもしれません。
しかし、そのデメリットを補って余りある、ショートパットでの絶大な安心感と決定力の向上は、あなたのスコアメイクに劇的な変化をもたらすでしょう。
パッティングの悩みから解放され、グリーン上でカップに吸い込まれるボールを見る喜びを味わうために、今こそこの「神安定パター」を手に取り、ゴルフをより深く楽しむ新しい自信を掴んでください。
TM2は、あなたのパッティングを確実に生まれ変わらせる最終兵器です。
