パターはゴルフというスポーツにおいて、最もスコアに直結する道具でありながら、最も個人の感覚や好みが反映される繊細なクラブです。
その中でも、ピン(PING)が展開する「PLD(パッティング・ラボ・デザイン)」シリーズは、世界中のトッププロたちが最高のパフォーマンスを発揮するために開発された、まさに「勝つための道具」として知られています。
本記事では、シリーズの中でも特に高い人気を誇り、多くの勝利に貢献してきた「DS72」というモデルについて、その設計思想から素材の特性、プロの使用実績、そして実際の一般ゴルファーによる試打データに至るまで、あらゆる角度から徹底的に解析します。
本記事を読み終える頃には、DS72があなたにとって最高の一本になるのか、それとも別の選択肢を探すべきなのかが明確に理解できるはずです。
- DS72の特徴・スペック・作り手の考え方が1ページでわかります
- 短いパットから長いパットまで、筆者の使用感をお伝えします
- どんな人に合うのか、逆に合わないのはどんな人かがはっきりわかります
- PLDシリーズの他のモデル(アンサー2やプライムタイン4)との違いがわかります
- 他社の人気パター(スパイダーやオデッセイ)と比べて自分に合うか判断できます
- 新品・中古の値段や、限定モデルの狙い目がわかります
- プロが実際に使って勝ったデータから、本当の実力がわかります
まず結論|PING PLD DS72はこんな人に最適!
まず、ピン「PLD DS72」パターの基本スペックを以下の表にまとめます。
メーカー公式発表値や国内発売情報をもとに整理しました。
| メーカー | PING(ピン) |
|---|---|
| シリーズ | PLD(Putting Lab Design)ミルドパターシリーズ |
| 発売日 | 2022年4月22日 |
| 新品価格 | 66,000円 |
| 中古最安値 | 25,000円 |
| 中古最高値 | 50,000円 |
| ヘッドの形状 | マレットタイプ |
| ヘッドの素材 | 303ステンレススチール削り出し |
| ヘッドの重量 | 365g |
| ネックの形状 | ダブルベントネック |
| シャフトの素材 | スチール |
| ロフト角 | 3 |
| シャフトの長さ | 31~36 |
※中古最安値、中古最高値は2026年1月時
数多くのパターが市場に存在する中で、PING PLD DS72がどのようなゴルファーに対して最大の恩恵をもたらすのかを、調査データと設計特性から導き出しました。
このパターは単に「高級なパター」というだけでなく、特定のストロークタイプやミスの傾向を持つプレーヤーに対して、劇的な改善をもたらすポテンシャルを秘めています。
このパターがおすすめな人
・まず、最もこのパターの恩恵を受けられるのは、ストレートストロークを意識しているゴルファーです。
パターを真っ直ぐに引いて、真っ直ぐに出したいと考えている人にとって、DS72のフェースバランス設計は非常に強力な味方となります。ヘッドが余計な回転(開閉)をしようとしないため、狙ったラインに対してフェースをスクエアに保ちやすく、打ち出しの方向性が安定します。
・次に、安心感と操作性の絶妙なバランスを求めている人です。
近年主流となっている非常に大きなヘッドを持つ「ネオマレット」型パターでは、ミスには強いものの、自分の感覚が損なわれてしまうと感じる人も少なくありません。
DS72は「ミッドマレット」と呼ばれる、ちょうど良いサイズ感の形状をしており、ミスに対する寛容性を持ちながらも、自分の手でボールをコントロールして転がしているという感覚を大切にしたい人に適しています。
・さらに、打音や打感といった「音と手応え」を通じて距離感を養いたいプレーヤーにとっても、このモデルは極めて価値が高いと言えます。
金属の塊から一つひとつ時間をかけて削り出された303ステンレススチールの感触は、ボールがフェースに当たった瞬間の情報を正確にプレーヤーの手に伝えてくれます。距離感を「感触」と「音」で一致させたい人にとって、これ以上の選択肢はなかなか見つからないでしょう。
逆におすすめしない人
一方で、DS72の特性上、以下のようなタイプの方には合わない可能性があります。
・一つ目は、パターに「すべてを任せたい」という、究極のオートマチック性能を求める人です。
例えば、テーラーメイドのスパイダーシリーズやオデッセイの#7のような、慣性モーメント(ミスしたときにヘッドがぶれない力)が極めて高いモデルと比較すると、DS72は操作性を残した設計になっています。
完全に機械的な動きだけで打ちたい人には、もう少し大型のネオマレットモデルの方が向いているかもしれません。
二つ目は、軽いパターを好む人です。
DS72はヘッド重量が約365gと、標準的なパターの中でもやや重めの部類に属します。
この重さを利用して振り子のようにゆったり振るのには適していますが、手首を使ってパチンと軽く弾くように打ちたい人にとっては、ヘッドが重すぎてコントロールしづらく感じることがあるでしょう。
最後に、とにかく「柔らかい打感」だけを追求している人です。
インサート(フェース面に貼られた樹脂などの別素材)が入ったパターのような、モチッとした柔らかさを期待すると、削り出し特有のしっかりとした、芯のある手応えに驚くかもしれません。
打感の好みは人それぞれですが、硬めのしっかりした反応を嫌う人には不向きと言えます。
筆者の試打印象:きら&キャベニキによるリアルな検証
ここでは、ゴルフ歴や平均スコアが異なる2名のテスター、きらとキャベニキの視点から、PLD DS72を実際に使用した際の印象を詳しく解説します。
二人のプレースタイルは異なりますが、DS72というパターが持つ多面的な実力が浮き彫りになりました。

テスタープロフィール
| 項目 | きら | キャベニキ |
| 年齢・性別 | 36歳・男性 | 36歳・男性 |
| ゴルフ歴 | 6年 | 6年 |
| 平均スコア | 85 | 82 |
| 平均パット数 | 32パット | 30パット |
| 現在のパター | オデッセイ ホワイトホット #7 | テーラーメイド スパイダー TOUR X |
| 苦手な距離 | 2m | ロングパット |
| ストローク | 小アーク | 小アーク |
1〜2mショートパット:緊張感の中での安定性
1〜2メートルのパットは、スコアを左右する最も緊張する場面です。
きらは「2メートルのパッティングで左に引っかけるのが課題」と語っていましたが、DS72を使用すると「ヘッドの重みが余計な手首の動きを封じてくれる」と高く評価しました。
特に、ネオマレット型のホワイトホット #7から持ち替えても、寛容性を損なうことなく、よりシャープにラインへ打ち出せる感覚があったそうです。
キャベニキの場合、右に押し出す(プッシュ)ミスが悩みでしたが、DS72のベントネック形状とフェースバランスがこのミスを自然に解消してくれました。
視覚的にも「真っ直ぐ構えやすい」デザインのため、ターゲットに対して迷いなくアドレスでき、1〜2メートルの成功率が格段に向上したと述べています。
5〜10mミドルパット:音と距離感の同調
ミドルパットにおいて重要なのは、振り幅に対する距離感の再現性です。
きらは「ボールがフェースに吸い付くような感覚がありながら、しっかりとした打音が出るので、どれくらい飛ぶかがイメージしやすい」と感じました。
303ステンレスの均質な素材感が、手元に伝わる情報のノイズを消し去ってくれるため、グリーンの速さに合わせた繊細なタッチが作りやすくなります。
キャベニキも、この距離では「打感の良さ」を強調しています。柔らかすぎず硬すぎない、絶妙な手応えがあるため、上りや下りのラインでもタッチを合わせやすいという印象を抱きました。
特に、速いグリーンを得意とするキャベニキにとって、この精密な削り出しフェースによる一貫したボールの転がりは、大きな武器になると確信したようです。
10m超ロングパット:転がりの「伸び」を実感
ロングパットで多くのゴルファーが経験するのは、大きな振り幅になったときに打点がバラつくことです。DS72を試打した際、両名ともに「芯を外したときの距離の落ち込みが少ない」ことに驚きました。
きらは、ロングパットでショートしやすい傾向がありましたが、DS72の重さと転がりの良さがそれを補ってくれました。無理に力を入れなくても、ヘッドの重みだけでボールが最後まで順回転を保ちながら伸びていくため、3パットの危険性が大幅に減少しました。
キャベニキも、苦手なロングパットにおいて、カップの周囲1メートルに寄せる「タッチの合わせやすさ」が格段に向上したと語っています。
ミスヒット時の挙動:プロが好む「絶妙な優しさ」
わざと芯を外して打つテストも行いましたが、DS72はマレット型としての寛容性を十分に発揮しました。トウ(先側)やヒール(手前側)で打ってしまった場合でも、ヘッドが大きくねじれることがありません。もちろん、巨大なネオマレットほどの自動補正能力はありませんが、打ち手のミスを適度に伝えつつ、結果を致命的なものにしないという「使い手に寄り添う優しさ」が感じられました。
また、打点の上下のズレに対しても強いのが特徴です。フェースの上下幅が適度にあり、重心設計が最適化されているため、少し厚めに入ったり薄めに入ったりしても、ボールの転がり(順回転)がすぐに始まるのが印象的でした。
PING PLD DS72とは?設計・特徴・魅力を分解
PINGというブランドは、現代パターの基礎を築いた「アンサー」を生み出した、パター界の歴史そのものと言える存在です。
そのピンが、ツアープロの細かな要望を具現化し、最先端の技術で形にするために設立したのが「PLD(パッティング・ラボ・デザイン)」です。DS72というモデル名には、同社の深いこだわりと勝利への執念が凝縮されています。
PLDシリーズの立ち位置
PLDは、単なる市販品のアップグレード版ではありません。「ツアープレイヤープリファレンス(ツアー選手の好み)」をモデル化するという明確な思想のもとに誕生しました。
世界中のツアー会場で、プロが「もう少しここを削ってほしい」「この音をこう変えてほしい」と要望した内容を、そのまま製品化したのがこのシリーズです。
一般的に、プロが使うパターと一般ゴルファーが使うパターには大きな壁があると思われがちですが、PLDはその壁を取り払い、プロと同じ品質、同じ素材、同じ製造工程の道具をすべてのゴルファーに提供することを目的としています。
そのため、素材選びから最終的な仕上げに至るまで、一切の妥協が排除されているのが最大の特徴です。
素材と削り出し製法:303ステンレススチールの真価
DS72の最大の特徴であり、その価値を決定づけているのが素材と製法です。
ヘッドには「303ステンレススチール」という最高品質の金属が使用されています。この素材は、高級腕時計や精密機器にも使われるもので、錆びに強く、かつ金属としての密度が非常に均質であるという特性を持っています。
製造方法も特別です。
大きなステンレスの塊から、コンピューター制御された機械(CNC)を使って、約4時間以上の時間をかけて一つひとつ精密に削り出されます。型にドロドロの金属を流し込んで作る鋳造製法とは違い、金属の内部に気泡やムラができにくいため、どこで打っても一定の打感と転がりが得られます。
この「詰まった、密度の高い打感」こそが、多くのプロを虜にする理由です。
AMPミーリングの効果:転がりの科学
フェース面を詳しく観察すると、細かい溝が幾何学的に彫られているのが分かります。
これは「AMP(アグレッシブ・ミーリング・パターン)」と呼ばれるピン独自の技術です。この溝の深さと間隔は、長年の研究開発と膨大なテストによって導き出された「最も打感と転がりが良い」とされる設定になっています。
このミーリングには、主に以下の3つの効果があります。
3つの効果
- 初速の安定性
- 溝があることで、インパクト時にボールのカバー(表面)との接触面積が最適化されます。これにより、強すぎず弱すぎない、イメージ通りのスピードでボールを打ち出すことができます。
- ミスヒットへの強さ
- 万が一、芯を少し外して打ってしまったときでも、この溝の構造がエネルギーの伝達効率を調整し、転がる距離の減少を最小限に抑えます。
- ショートの防止
- 削り出し特有のしっかりとした打音が出るため、プレーヤーは耳からも「しっかり打てた」という情報を得られます。これが安心感に繋がり、結果としてインパクトを緩めずにストロークできるようになるため、ボールがカップまで届きやすくなります。
形状と重心設計:ミッドマレットの黄金比
DS72は、上から見たときにアルファベットの「D」のような形をしています。この形状は、直線的なラインと柔らかな曲線が見事に融合しており、目標に対して真っ直ぐに構えやすいという心理的なメリットを生み出します。
さらに重要な技術的特徴が「フェースバランス」という設計です。
パターを指の上で水平に支えたとき、フェース面が真上を向くようになっています。これは、ストローク中にヘッドが回転(開閉)しようとする力を極力抑え、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す動きを物理的にサポートするためのものです。
特に「引っかけ(左へのミス)」が出やすいゴルファーにとって、この設計はストロークの安定性を劇的に高めてくれます。
以下に、DS72の主要なスペックをまとめました。
どんな人に合う?ストロークタイプ&ミス傾向別診断
パター選びにおいて、自分のスタイルに合わないものを選ぶと、どれほど高価な製品でも宝の持ち腐れになってしまいます。
DS72が合うプレーヤーの特性をさらに深掘りします。
合うタイプ
まず、ストローク軌道が「ストレートから、やや円弧(アーク)」を描く人です。DS72はフェースバランス設計ですが、適度なヘッドサイズのおかげで、完全な直線運動だけでなく、少しだけヘッドが自然に動く自由度も持っています。きらやキャベニキのように「小アーク」の軌道を持つ人でも、違和感なくスムーズにストロークできます。
次に、「左への引っかけ」ミスに悩んでいる人です。インパクトでフェースが被りやすい(閉じやすい)傾向がある場合、DS72の重厚なヘッドと、面を保とうとするフェースバランスが、余計な動きを強力に抑制してくれます。アドレスしたときに、ガンメタル仕上げのヘッドが日光の反射を抑えてくれるため、眩しさによる構えにくさを感じることなく集中できるのも大きなメリットです。
さらに、距離感が安定しない、特に「ショートしがち」な人にも強く推奨されます。DS72の転がりの良さと、しっかりとした「カチッ」という心地よい打音は、プレーヤーの潜在意識に働きかけ、自然としっかりと打ち切れるストロークを促します。
合わないタイプ
逆に、フェースの開閉を積極的に使って、扇形に大きく振る「大アーク」タイプの人には、アンサー2のようなピン型パターの方が適しています。DS72は真っ直ぐ動かそうとする力が強いため、意図的にフェースを返そうとすると動きが喧嘩してしまい、フィーリングが悪くなる可能性があります。
また、とにかく「軽いヘッド」を好み、速いテンポで打ちたい人にも合いません。DS72は、ヘッドの重さを活かしてゆったりとした振り子運動で打つことで、その真価を発揮するように設計されています。
最後に、視覚的に「もっと大きな安心感」が欲しいという超大型マレット派の人には、DS72は少し小ぶりに見えてしまうかもしれません。あくまで「操作性が残されたマレット」であることを理解して選ぶ必要があります。
他モデルとの比較
DS72を検討する上で、他の有力なパターと何が違うのかを知ることは不可欠です。PLDシリーズ内での比較、および他社の人気モデルとの違いを詳細に分析しました。
PLDシリーズ内比較:4つの個性の使い分け
PLDシリーズには、DS72以外にも魅力的なモデルが存在します。それぞれのターゲット層を整理しました。
| モデル | 推奨ストローク | 特徴とメリット |
| DS72 | ストレート | クセが極めて少なく、操作性と寛容性のバランスが良い「万能型」。迷ったらこれ。 |
| Anser 2 | ややアーク | ピン型の代名詞。ヘッドを細かく動かし、自分の指先のようにコントロールしたい人向け。 |
| Prime Tyne 4 | ややアーク | 角型のツノ形状。視覚的にターゲットを刺すように狙いやすく、DS72よりも少しオートマチック感が強い。 |
| Anser | ややアーク | 伝統的なアンサー形状。打感と形状の調和を重視するプレーヤーに根強い人気。 |
DS72は、これらの中でも最も「中庸」であり、多くのゴルファーにとって失敗の少ない選択肢と言えます。
他メーカー人気モデルと比較:DS72の優位性
他社のエースパターと比較すると、DS72の独自性がより鮮明になります。
| ライバルモデル | 主な強み | DS72との決定的な差 |
| Spider TOUR X | 圧倒的な慣性モーメント | スパイダーは「機械的なミス補正」が強み。 DS72は「プレーヤーの感性を引き出す」設計。 |
| Odyssey Ai-ONE #7 | AI設計フェースの寛容性 | インサートによる「柔らかさ」のAi-ONEに対し、DS72は「ソリッドな削り出し感」による情報伝達力が圧倒的。 |
| Cameron Phantom 11 | 高いブランド価値と剛性感 | キャメロンが「ステータスと完成度」を誇る一方、DS72は「ツアーの実戦データ」を直に反映させた実利的な価格設定。 |
DS72の最大の強みは、削り出し特有の「情報のフィードバック」です。
インサートがあるパターはミスを優しく隠してくれますが、DS72は「どこに当たったか」「どれくらいの強さで打ったか」を正確に教えてくれます。
この「正直さ」こそが、使い続けることでパッティングの技術そのものを向上させてくれるのです。
一部記事にしているパターもございますので、ご紹介します。



プロ使用例と勝利データ
DS72が単なる「高価なパター」ではないことを証明するのは、世界のトップツアーでの圧倒的な実績です。この形状がいかに「勝てるパター」であるかを、具体的なデータとともに紹介します。
ビクトル・ホブラン:覚醒を支えたDS72
DS72の価値を世界に知らしめたのは、ノルウェー出身の若き天才、ビクトル・ホブラン選手です。彼は2023年に「BMW選手権」と「ツアー選手権」を立て続けに制し、見事にフェデックスカップ年間王者の座に就きました。
特筆すべきは、彼のパッティングスタッツの劇的な向上です。
以前のホブラン選手は「ショットは世界一だが、パットが弱点」と評されていました。
しかし、DS72(彼のためにカスタマイズされたスムースフェースモデルを含む)を手に取ってから、平均パッティングストローク(SG: Putting)でツアー首位を争うほどにまで進化したのです。
彼がDS72を愛用する理由は、その「直進性の高さ」と「タッチの出しやすさ」にあります。
極限の緊張感の中で行われるプロの試合では、わずかなタッチの狂いが数千万円の賞金差に繋がります。
DS72の均質な303ステンレスと精密なフェースバランスが、彼のストロークに究極の一貫性をもたらしたのです。
渋野日向子:日本が誇るスターも「美顔」に惚れる
日本の渋野日向子選手も、DS72(Scottsdale DS72プロトタイプなどを含む)を長年信頼している一人です。
ピンのパター全般に言えることですが、構えたときに目標に対してスクエアに立ちやすいという「構えやすさ」こそが、彼女のような勝負師にとって最大の武器になります。
なぜツアープロはDS72を選ぶのか?
他にも、トルベン・エンゲルをはじめ、欧米の多くの選手がDS72を実戦投入しています。
その背景にあるのは、現代の「高速グリーン」の存在です。非常に速く、かつアンジュレーション(起伏)の激しいグリーンでは、重すぎるヘッドや、感触が鈍いパターはタッチを合わせるのが困難です。
DS72のように「適度な重さで軌道を安定させつつ、打感で距離を支配できる」モデルが、現代ゴルフの最適解となっているのです。
価格・中古相場・買い時:失敗しないための購入ガイド
PLD DS72を手に入れるための現実的なコスト面についても詳しく解説します。
新品価格と流通状況
PLD DS72の新品定価は、税込で66,000円に設定されています。これはピンの標準的なパター(3万円台〜)と比較すると高価に感じられますが、他社の完全削り出しパター(8万円〜15万円以上)と比較すると、むしろ戦略的に抑えられた価格設定と言えます。
ゴルフショップの実勢価格では、52,800円前後から販売されているケースもあり、ポイント還元やセール時期を狙えば、4万円台後半での入手も可能です。
限定モデル「ホブラン・エディション」の魅力
2024年12月には、ホブラン選手の年間王者獲得を記念した「DS72 HOVLAND EDITION」が数量限定で発売されました 。
定価77,000円と高額ですが、通常のDS72とは大きく異なる仕様がゴルフファンの心を掴んでいます。
| 特徴 | 通常のPLD DS72 | ホブラン・エディション |
| ヘッド素材 | 303ステンレス | カーボンスチール(より柔らかい) |
| フェース仕上げ | AMPミーリング(溝あり) | スムースフェース(溝なし・初速重視) |
| 表面仕上げ | ガンメタル | パティーナ(使い込むほど味が出る) |
| サイトライン | フランジ(底面)にあり | トップレール(上面)のみ |
この限定モデルは、素材がカーボンスチールに変更されているため、通常のDS72よりもさらに「重厚で柔らかい」打感が得られます。
また、溝がないスムースフェースは、よりダイレクトなボールの転がりを好む上級者に適しています。限定品のため、見つけたら早めの決断が必要です。
中古相場:賢く手に入れる方法
中古市場では、2022年モデルのPLD DS72が頻繁に流通しています。程度によりますが、24,000円〜36,000円程度がボリュームゾーンとなっており、新品の約半額で手に取ることができます。
ただし、中古で購入する際には「カラーコード(ライ角)」のチェックを忘れてはいけません。
ピンのパターは個人の体格や構えに合わせてライ角が調整されているため、標準の「ブラック」以外のカラー(ブルーやオレンジなど)の場合、自分の構えに合わない可能性があります。
できればショップで実際に構えてみて、ソールが地面にピタッと着くか確認することをお勧めします。
忖度なしの評価:知っておくべきデメリットと改善のヒント
本記事の締めくくりとして、実際のユーザーから寄せられた「不満点」や「注意すべき点」についても隠さずお伝えします。
- パターカバーの利便性: 非常に多くのユーザーが「付属のカバーが小さすぎて、出し入れがしにくい」という不満を漏らしています。削り出しの美しいヘッドを守るためのカバーですが、現場での脱着にストレスを感じ、別途マレット用のカバーを買い直すケースも散見されます。
- 個体差や共鳴音: ごく一部のケースですが、特定の打点で打った際にシャフトとヘッドが共振し、「キーン」という高い金属音が不快に感じられるという報告があります。これは削り出しパター特有の現象でもありますが、購入前に必ず自分の使うボールで試打し、音の感じ方を確認しておくのが賢明です。
- 重量の慣れ: 365gというヘッド重量は、特に軽量なピン型パターから移行した直後は「重すぎて距離感が狂う」と感じることがあります。特に下りの速いパットでは、ヘッドの重みだけで転がりすぎてしまうことがあるため、タッチを合わせるための練習期間が必要です。
- グリップの選択: 標準では「PP58 TOUR M」などのグリップが装着されていますが、手の大きさやストロークの好みによっては、より太い、あるいは細いグリップへの交換を検討した方が、DS72の性能を引き出しやすくなる場合があります。
総評:PING PLD DS72はあなたを次のステージへ導くか
PING PLD DS72は、単なるゴルフクラブという枠を超えた、精密機械のような美しさとツアーレベルの実戦能力を兼ね備えたパターです。303ステンレスの削り出しという贅沢な作りは、あなたに「どこで、どのように打ったか」という貴重な情報を一打ごとに教えてくれます。
あなたがもし、
- ストレートなストロークを究め、自信を持ってカップを狙いたい
- 1〜2メートルの勝負パットで、もう左に引っかけるミスをしたくない
- 一生モノと呼べる、美しくも機能的なパターを所有したいと考えているのであれば、DS72は投資に見合う、あるいはそれ以上の価値をあなたのゴルフにもたらしてくれるはずです。
確かに、パターカバーのサイズなどの細かな欠点はありますが、それ以上にこのパターが提供する「圧倒的な転がりの美しさ」と「打感の心地よさ」は、あなたのパッティングに対するモチベーションを劇的に向上させるでしょう。
ビクトル・ホブランや渋野日向子が信頼したその性能を、今度はあなたの手で体験してみてください。
コースで「カチッ」という澄んだ音が響き、ボールがカップの底に消えていく瞬間、あなたはDS72を選んだ正しさを確信するはずです。
